雌雄モザイクとは、簡単にいっちゃうと、個体の半分がオスで半分がメスになっている状態のこと。大多数の生物は、同じ種でも個体に性別という区別が存在する。オスとメスとで細胞の遺伝的構成は異なり、多くの場合、オスの特徴とメスの特徴は一つの個体で併存することはない。その例外の一つが雌雄モザイクなのだそうだ。
昆虫やクモ類などにはわりとよく見られるが、甲殻類や鳥類などにも見られることがあるという。
雌雄モザイクがもっともよく見られるのはチョウ。大多数の生物は、同じ種でその大きさや色などでオスとメスの差がはっきりと区別できる性的二形性だが、雌雄モザイクはひとつの個体に雌雄が同居する例外として起こる。雌雄モザイクの個体は、仲間のオスとメスのどちらをひきつけるのだろうか。
2.蛾
上記動画の雌雄モザイクのガは左右の触角が、ひとつの個体に毛の生えたオスの触覚と、細いメスの触角とがはっきりと区別できる。
3.ナナフシ
マレーシアのジャングルに棲むこの種類はもともと体が大きいが、メスはオスよりさらに大きく、色もまだらのブラウンではなく、明るいライムグリーンで、オスは飛べるのに対してメスは飛べない。
4.クモ
Extremely rare 2 Gender Spider !
5.ワタリガニ
ワタリガニのオスはブルーのツメを持ち、メスは赤いツメを持っている。2005年5月にヴァージニア州のグインズアイランドで見つかったカニはひとつの個体にブルーと赤のツメがあった。
海洋科学研究所のカニ専門家によると、このカニは左右対称の雌雄モザイクで、体の真ん中から雌雄が分かれている。1979年にも同じようなカニが話題になったことがあるという。
6.ロブスター
最初の記録が残るのは1730年。雌雄モザイクのロブスターは極めて珍しく、雌雄で色の違う特徴的な体をもつ。メスは交配してもしなくても卵を産む。
野生で見つかった雌雄モザイクのロブスターは、その体の半分に卵を抱いていたという。これは海洋資源研究所に送られて卵が観察されたが、ふたつしか孵らなかった。ひとつはオスでもうひとつはメスだったという。
7.鶏
雌雄モザイクは鳥にも見られるが、爬虫類や両生類にはあまり見かけない。これはヘビやカエルは雌雄を簡単に見分けられないからかもしれない。
鶏の場合、雄鶏と雌鶏の筋肉構造が違うため、一方に傾いているように見える。オス側の足には蹴爪があるが、メス側にはない。雌雄モザイクの鶏は日の出とともに時の声をあげるのだろうか。
8.ショウジョウコウカンチョウ(カーディナル)
Exclusive Video Reveals Half-Male, Half-Female Cardinal | Nat Geo Wild
北米では一般的な鳥。オスとメスの大きさはほぼ同じだが、オスはくちばしから尾にかけて明るい赤、メスはもっと地味な色をしている。
体の脇の色が違う層に分かれている雌雄モザイクは珍しいが、時には見つかることがあるかもしれない。
スズメやノドグロアメリカムシクイなどの鳥にも雌雄モザイクは見られる。鳥より高度な動物では、雌雄モザイクはあまり知られていない。
via:8 Amazing Gynandromorph Animals・ / konohazuku
雌雄モザイクは、遺伝子の異常によると考えられているが、鳥類である鶏に関してこれらとは異なる説がある。
その説は、オスの遺伝子を持つ精子とメスの遺伝子を持つ精子の2つが卵子と同時に受精し、1つの卵の中にオスとメスの2つの胚が形成され、それが融合することで雌雄モザイクの鶏が生まれるというものだ。この根拠は、2010年に発表された実験で、雌雄モザイクの鶏の細胞を調べた結果、遺伝子に異常がないことが発見されたことによる。
昆虫で雌雄モザイクが比較的良く観察されることから、「昆虫には性ホルモンは無く、細胞ごとに性別が決定する」という説が昆虫学では定説となっているが、「昆虫にも性ホルモンがある可能性がある」とする研究者もいるそうだ。
また、人間に関してだが、人間の雌雄モザイクは半陰陽や両性具有として存在するが、体の半分でぱっきり分かれている人間などは、コスプレ大会やコミケ以外に実際にはいない。
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