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 一匹でも多くの保護犬や保護猫を、あたたかな家庭に送り出したい。保護施設では小道具を使って映えるプロフィール写真を作ったり、ユニークな広告を作ったりと、様々なアイデアで里親募集を行っている。

 しかし、アメリカ・ニュージャージー州にある動物救済保護施設で仮里親ボランティアをしている女性は、それとは真逆の作戦をとったようだ。

 一時預かりのチワワについて、Facebookで「神経質で男性嫌い、子供嫌い」「他の動物とはソリが湧ない」「地獄のような毎日」と嘘偽りなく赤裸々にチワワとの生活やその性格を綴った。

 すると、このあまりにも正直すぎる広告は、世界中のユーザーらから注目を集める結果となったようだ。

【あまりにも正直すぎる里親募集広告】

 アメリカ・ニュージャージーモリスプレーンズにある動物救済ボランティア団体『Second Chance Pet Adoption League』では、年間約200匹の犬を救済・保護し、養子縁組を行っている。

 4月7日、同団体でボランティアをしているティファニー・フォルトナさんは、仮里親として家で世話をしているチワワの“プランサー”(2歳)のための里親募集広告をFacebookでシェアしたのだが、その内容があまりにも正直で赤裸々だったことから、予想以上の反響を呼んだ。

 Facebookの内容は概ね下記の通りだ。

過去数か月間、プランサーにいい家族が見つかるようにとお世話に努めてまいりましたが、非常に大変でした。

神経質、男性が大嫌い、子供が大嫌い、おまけに他の動物とのそりが合わず、まるでグレムリンのように見えてきました。

プランサーにはそう簡単に引き取り先は現れないでしょう。でも、私は(私の家族も)消耗しきっていて「きっと誰かがプランサーの飼い主になってくれる」と信じないと辛すぎるのです。

私たち家族は、毎日自宅で悪魔のようなチワワと地獄のような日々を過ごしています。

もし、あなたが甘やかされた我が強めのチワワを知っているのなら、すこしは私が話していることが理解できるかもしれません。

当初、プランサーは上質なカシミヤのセーターを着て、ベーコンエッグチーズ・サンドイッチを詰め込まれた木箱に入れられ、ぷくぷくと太った状態でやって来ました。その時、この犬が後に問題になるであろうことを私は直感しました。

前の飼い主だった高齢女性は、プランサーを人間の子供として、とても甘やかして育てていたようです。他の人や犬とも触れ合うことはなかったようで、プランサーは神経質な性質を持つ遺伝的素因も相まって、性格的にかなり問題がある犬になってしまいました。

神経質なプランサーは、家に来た最初の週、私たちにひどく怯えていました。でも私はそんな最初の頃のプランサーの方が好きでした。ただ怯えて静かにソファに横になっていただけですから。家族の誰を困らせることもありませんでした。

 保護したばかりの犬猫が、施設から仮里親の家に移った場合、新たな環境に慣れるのに時間がかかることは、ティファニーさんは経験上周知していた。

 だからこそ、家族は「きっと慣れれば本来の性格が出てくるはず」と口にしていたという。ところが...

 プランサーが家に慣れ、その本性を現した時、ティファニーさん一家の日常生活は一変したという。

男性・子供・動物は嫌いだが、女性には献身的に愛情を注ぐプランサー

 ティファニーさんの里親募集広告は、まだまだ続く…。
プランサーは、女性だけが好きで、男性を嫌っています。もしあなたに夫がいる場合は応募しない方がいいでしょう。プランサー私の家で6か月間男性と暮らしてきましたが、まだ彼を受け入れていません。

プランサーは、女性とのみ絆を結び、献身的に女性を守ろうとします。その点では、彼は国会議事堂の警備員よりも優れた保護愛を提供してくれます。

また、他の動物も嫌いなようなので、もし他の犬や猫を飼っているのなら応募は控えてください。プランサーは、現在私の他の7匹の犬と12匹の猫と一緒に住んでいますが、毎日カオスです。

そして、子供がいる人もプランサーの飼い主には適していないでしょう。プランサーは、今まで子供のいる家にいたことがなく、一度も子供と触れ合ったことがないので、子供がいると悪魔のような鳴き声で怒りをぶつけること請け合いです。

プランサーは、あなたの「唯一」の存在になりたいのです。

「ではプランサーの長所は?」となると…そうですね。信じられないほど飼い主(ただし女性に限る)に忠実なところではないでしょうか。

もし、誰かがあなたを殺そうとした場合でも、おそらく恐怖心からとんでもない鳴き声や凶暴さを見せるプランサーを見て、その人物は悲鳴を上げて逃げ出すことになるでしょう。

マンションで飼うのは難しいでしょう。既に、うちでも隣人男性や子どもに噛みついています。また、人を家に招くとすぐに掃除機のように彼らを排除しにかかります。

でも、基本的な指示も理解できるし、家で留守番をさせても静かにしていて家具を破壊するということもありません。

プランサーは、車に乗るのが好きで、興奮すると「笑顔」になります。

結局、適している飼い主はというと、ひとり暮らしの女性か、母と娘といった女性だけの家族、またレズビアンのカップルになるでしょう。

あるいは、ホラー映画チャイルド・プレイ』の殺人人形“チャッキー”を体に宿したような犬を飼いたいという人ならおススメかもしれません。とにかく私はプランサーと家族になり愛していただける人物を探さなければならないのです。

施設側、プランサーに永遠の家が見つかることを強く望む

 Second Chance Pet Adoption Leagueの代表ステファニーパールさんは、ティファニーさんのこの告知後、世界中から大きな反応があったと話している。
全米に留まらず、世界中から何百件もの問い合わせや「プランサーを飼いたい」という声が寄せられました。

ですが、実際に書類提出までしてくれた人は、多くはありません。

できれば、ニュージャージー州内で貰い手を探したいと思っています。数回プランサーと実際に会って絆を育んで、養子縁組後も必要に応じてフォローアップサポートを受けられる状況にいることが望ましいかと。

どんなに素晴らしい家を所有していても、他の犬や男性、子供がいる家はプランサーにとって適切とはいえず、犬の飼育に経験豊かで永遠に世話をしてくれる飼い主を求めています。


チワワはピットブルに次いで安楽死させられる可能性が高い犬種

 1983年に設立された同施設では、主に地域の小型犬の救済・保護に力を入れており、現在約20匹の犬が一時預かりの里親宅で世話を受けているという。

 今回、プランサーの件がきっかけとなって、施設の他の犬たちにも養子縁組したいという人が現れてくれればとステファニーさんは言う。

機知に富んだティファニーの広告は素晴らしいと思いました。チワワは、アメリカの保護施設でピットブルに次いで安楽死させられる可能性が高い種です。その小さなサイズは、ぬいぐるみのように人気ですが、問題を起こすとすぐに捨てられるのです。

チワワは、その性格上飼育は万人向けであるとは言えないかもしれません。でも、愛して個性をよく理解してやることで絆は深まります。どの犬を飼う時にも言えることですが、その犬の種や個性、異なるニーズなどを十分学んだうえで飼うことを決めて頂ければ、と思います。

 なお、同施設ではプランサーのようなちょっぴりユニークな犬の他、高齢の犬や、他の保護施設でうまく馴染めなかった犬、躾やリハビリに余分な時間がかかる犬、特別な医療ケアが必要な犬など様々な犬を保護し、世話している。

 みんな違ってみんないい。人間にも様々なタイプがいるように犬だって個性がある。それがうまくマッチングできればお互いに幸せになれるに違いない。

 どの犬にも幸せになってほしいと願っている施設スタッフたちは、プランサーにも永遠の家が来まることを強く望んでいる。

written by Scarlet / edited by parumo

 
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