仕事や趣味でパソコンを使っていると、キーボードの隙間やディスプレーなどにほこりや小さなごみがたまることがあります。気になりつつも掃除が面倒だったり、効果的な掃除の方法が分からなかったりして、そのまま放置している人もいるのではないでしょうか。

 もし、ほこりやごみがたまったままパソコンを使い続けると、どのようなことが起こるのでしょうか。また、パソコンにたまったほこりや小さなごみは、どのような方法で取り除けばよいのでしょうか。パソコン周辺機器メーカーのサンワサプライ(岡山市北区)の広報担当者に聞きました。

パソコン周辺はたまりやすい

Q.パソコンを使っていると、キーボードの隙間やディスプレーなどにほこりや小さなごみがたまることがあります。なぜでしょうか。

担当者「住宅やオフィスの室内では、衣類などから出る綿ぼこりが常に舞っています。そうした綿ぼこりはキーボードディスプレーの隙間のほか、静電気が発生している部分にくっつきやすいので、パソコンの周辺にはほこりがたまりやすくなります」

Q.もし、ほこりやごみがたまったままパソコンを使い続けると、どのようなことが起きるのでしょうか。

担当者「パソコンを動かすと内部で熱が発生します。その熱によって、パソコンの部品の温度が上がるとパソコンの性能が低下します。そこで、パソコンは冷却ファンや通気口といった、内部にこもった熱を外に逃がすための仕組みを備えています。

もし、ほこりによって通気口がふさがれたり、内部に入ったほこりによって、冷却ファンがうまく機能しなかったりすると、熱暴走(部品が熱くなり過ぎることによって動作が不安定になり、回路が熱で焼けて故障してしまうこと)する可能性があります。また、ほこりは静電気をためやすい性質を持つため、ほこりがたまった状態で使用し続けると、ショートやショートからの出火につながる可能性もあります」

Q.では、パソコンの掃除の適切な頻度について教えてください。マウスのような周辺機器も定期的に掃除をした方がよいのでしょうか。

担当者「毎日使うパソコンでしたら、できるだけ、小まめに掃除をするのが望ましいです。少なくとも2カ月から3カ月に1度は掃除することをおすすめします。また、マウスもパソコンと同様、毎日使うものなので、定期的に掃除をした方がよいでしょう。感電を防ぐため、掃除のときは事前にパソコンの電源を切り、コンセントを外しましょう。パソコン本体に接続しているケーブルや周辺機器などもすべて取り外してください。

キーボードを掃除するときは、エアダスターキーボードクリーナーを使いましょう。細かい隙間に入ったほこりやごみを取り除くことができます。なお、キートップ(キーボードのキーの上面)が取り外せる製品であれば、キートップを取り外してから掃除をするとより効果的です。

パソコン本体の通気口にたまったほこりやごみは掃除機やOA機器用のクリーニングブラシなどを使って取り除いてください。その際、パソコンの内部にほこりやごみが落ちないように注意しましょう。また、コネクターにたまったほこりやごみはエアダスターで取り除くことができます。

ディスプレーの掃除には、液晶用のウエットティッシュを使用してください。市販のアルコールティッシュで拭くと液晶表面のコーティングが剥がれてしまう可能性があり、おすすめできません。マウスを掃除するときは手あかがたまった表面はパソコン用のウエットティッシュで拭き、接地面側のセンサー周辺にたまったほこりはエアダスターなどで取り除くとよいでしょう。

たまったほこりや汚れを定期的に取り除くだけでなく、ほこりや汚れがたまらないための対策も重要です。例えば、パソコンのパーツの中で最もごみや汚れがたまりやすいキーボードには専用のキーボードカバーを装着したり、パソコンで普段あまり使わない端子にはコネクターキャップをはめたりするとパソコン内へのほこりの侵入を防げます。

なお、製品によってはここまでに述べた方法では手入れができない場合もあります。使用中の製品に合った手入れ方法を知りたいときは掃除前に製品の取扱説明書を読むか、メーカーに問い合わせることをおすすめします」

Q.パソコンの内部にたまったほこりやごみをしっかり取り除くためにパソコンを分解してから掃除する人もいるようですが、問題ないのでしょうか。それとも、専門の業者に掃除を依頼した方がよいのでしょうか。

担当者「デスクトップパソコンに関しては、自作パソコンなどのように内部の構造をあらかじめ理解しているのであれば、ご自身で分解して掃除しても問題ないでしょう。なお、ご自身で掃除するのに少しでも不安があるときやノートパソコンの内部を掃除するときは専門の業者に依頼するのが安心だと思います」

Q.コロナ禍で消毒が推奨されています。ディスプレーの掃除では市販のアルコールティッシュは避けた方がよいということでしたが、キーボードマウスについては市販のアルコールティッシュやアルコール消毒液を含ませた布で拭いてもよいのでしょうか。

担当者「掃除や消毒のときに、アルコールティッシュなどのアルコール製品が使えるかどうかは、製品によって異なります。使用している機器のメーカーに問い合わせてください。アルコール製品の使用が問題ない場合も、製品の故障を防ぐため、消毒前にはパソコンの電源を切り、コンセントを外しましょう。パソコン本体に接続しているケーブルや周辺機器などもすべて取り外します。

アルコールティッシュ以外の物で消毒するときはマイクロファイバーの布、アルコール消毒液(濃度は75%程度)を用意しましょう。布に消毒液を染み込ませてから余分なアルコール分を絞った後、軽くゆっくりと製品を拭き取ります。その際、使い捨ての手袋を使うことをおすすめします。なお、消毒液を直接製品に吹き掛けないでください。また、製品内部に消毒液が入ると故障の原因となります。キーボードマウスの隙間から消毒液が入らないように注意してください」

オトナンサー編集部

パソコンの掃除をしないと…?