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 炊事、洗濯、掃除といった家事労働は結構やることが多い。そこに育児が加わったら尚更だ。それをワンオペで回すとなったら大変だ。

 家事が大好きでマルチタスクを効率よくこなせる人ももちろんいるだろうが、そんな人ばかりとも限らない。感謝や労いの言葉や態度を示してくれればまだ救われるが、そうじゃない場合結婚生活が破綻することも無きにしも非ずだ。

 ポルトガルで、ある夫婦が30年間の結婚生活に終止符を打った。元妻が裁判で、元夫だった男性に対して、30年間の家事労働代金の支払いを求める訴訟を起こしたところ、今年2月に裁判所が男性に支払いを命じたという。『Oddity Central』などが伝えている。

【元妻、30年間の家事労働代の支払いを請求】

 ポルトガル・ブラガ県バルセロスにある最高裁判所は、今年1月14日に、長期間争いが続いていた元夫婦の裁判に最終審判を下した。

 30年間結婚生活を続けたのちに離婚した元妻が、結婚期間中行ってきた30年間分の家事労働代金を、元夫の男性に慰謝料として支払うよう求めていたのだ。

 第一審で、元妻は30年間のの家事労働賃金として、少なくとも24万ユーロ(約3100万円)を要求したが却下された。

 家事労働は、事実上組合の下で法的に義務付けられた仕事ではなく、共通経済への貢献として、その提供は自然義務の自発的履行とみなされる、というのが1回目の裁判の却下の理由だった。

 しかし、「家事は妻の義務」とみなされていた時代は、はるか昔のこと。この判決に到底納得できなかった元妻は、控訴裁判所に抗告。その結果、元妻の訴えが認められ、男性への慰謝料支払いが命じられた。

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30年間の家事に対する慰謝料は約780万円

 この1件は2月にポルトガルのメディアで報じられた。最終的に元夫の男性は、裁判所から女性に対して60000ユーロ(約780万円)の支払いを命じられたという。

 男性は、この判決に異議を唱えたが、裁判所側に却下された。今回の判決では、「家事は明確な経済的価値がある」と判断されたからだ。

確かに、家事は自然になさなければならない労働だが、公平な判断は要求される権利がある。

また、家事は目に見えてその努力が評価される仕事ではないにしても、家事を行い経費を節約することで家庭への豊かさが増加する場合もある。

これまで家事を夫婦で公平に分担してこなかったからこそ、このような補償を元妻が得ることができたのだ。


 今回の判決をこのように述べた裁判長により、30年間毎日家事をして夫の身の回りの世話を行い、家庭経済に貢献してきたのは、誰よりも妻であったということが認められる形となった。

 なお、今回の家事労働の経済的価値は、国の最低賃金を判断基準とし、それに360か月分(30年)をかけて計算。そのうちの3分の1を元妻がこの期間に使った金額として差し引かれたということだ。

written by Scarlet / edited by parumo

 
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