小学生のときから「女の子っぽい」言動でからかわれ、好きになった相手に恋心を伝えられない……。ゲイの青年の半生を描いた、実話に基づいたマンガ『僕が夫に出会うまで』(原作・七崎良輔、漫画・つきづきよし)。

 物語のメイン主人公の恋愛と成長を描きながら、番外編として、母親へのカミングアウトをする話も収録しています。この話が公開された後、読者から「辛い漫画と思ったけど泣かされた」「親も社会も変わってきている」「考えさせられます」とSNSを中心に大反響。作品の累計で4,300万PVを突破しました(2021年2月時点)。

20歳の時、帰省のタイミングで母親にカミングアウトした

 主人公の七崎さんは10代の頃から「男の人が好き」であることを自覚しつつも、それを周囲に言わずに生活をしていました。けれど20歳になり、一生隠し続けることは無理だと悟り、帰省したタイミングで母親にカミングアウトを決意します。

 自分がゲイであることを告げ、雰囲気が重くなりすぎないように「今は幸せなんだ」と明るく伝えたものの、母親はショックを隠せない表情をしていました。そして一言、「……それって、治らないの」。

「治るものじゃないし、治すものでもないよ」と答える七崎さん。けれど、七崎さんの説得もむなしく、母親は「私はまともな子をまともに育てた…私のせいじゃない」と涙をこぼします。しまいには「認められない」「私だって無理だし世間だって認めるわけがない」と七崎さんと向き合うのをやめてしまいます。

「でもあんたを思う気持ちは変わらないから。東京であんたは自由にやりなさい」「だから…金輪際この話はしないで」そう言い残して、母親は部屋へと戻ってしまいます。七崎さんのカミングアウトは後悔に終わり、母親との関係は7年間、ぎくしゃくしてしまいます。

お互いの医療・お金に関わる「公正証書」作成を機に、再び連絡

 その後、七崎さんは将来を約束したパートナーと一緒に「パートナーシップ公正証書※」を作ることに。

 公正証書ではお互いの医療やお金についての契約も交わすため、家族に再度、話すことを決意します。

 思い切って母親に電話すると、息子が将来をちゃんと考えていることに驚いたようでした。7年前は「お父さんには黙っておくから」と頑なだったけれど、今回は「お父さんにも話してみる」と協力してくれました。

※公証役場で公証人が作成する文書。婚姻制度を利用できず、法律で守られないデメリットを補うため、義務や権利、財産についてのお互いの意思や契約の内容を証明する方法のひとつ。公正証書を作成する同性カップルは年々増えている。

厳格だった父親の反応はサッパリとしていた

 後日、母親から電話で「お父さんったら、『あいつ男が好きなのか! 変わってるな! ハハハ!』って大笑いして、それだけ」と聞かされて、驚く七崎さん。高校生のときは、髪の長さを注意するほど厳しかったのに……。

 さらに、母親からも「お相手も真剣にあんたとの将来を考えてる人なんだから、きっと真面目な人なんでしょう」「帰ってらっしゃい。恋人連れて二人で」と電話越しに言われます。

 その後、七崎さんはパートナーと一緒に帰省。パートナーに直接会った七崎さんの両親は、今は彼のことも家族の一員として見てくれています。

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 さらにこの話には続きが。後日、母親から突然の電話を受けた七崎さん。その内容とは——。続きを読むにはこちらから。

 コミカライズ版『僕が夫に出会うまで』は4月22日より全国書店・主要電子書店で発売されます。第1話~第3話を文春オンラインで公開中。こちらから読むことができます。

 今回のコミカライズにあたって、原作者の七崎さんは次のようにコメントしています。

「原作は僕が実際に経験したことを書いていて、ゲイの当事者の方から『自分の人生と似ていて救われました』という声をいただくこともありました。今回のコミカライズ版は、原作のエピソードを活かしつつ、さらに読みやすくなっていると思います」

 七崎良輔さんによる原作エッセイ『僕が夫に出会うまで』も併せてお楽しみください。

 

(文春コミック/文春コミック)

『僕が夫に出会うまで』より。©文藝春秋