代替テキスト
(写真:アフロ

「社会不安、社会危機を解消するため、個人の自由を大きく制限することがあると、国会の場で決定していくことが重要だ」

緊急事態宣言の発令が決定した4月23日、府庁で行われた会見でこう述べたのは大阪府吉村洋文知事(45)だ。大阪では4月13日以降に1,000人を超える陽性者が報告されるなど、感染が急拡大している。

毎日新聞によると、吉村知事は現行の法令が個人の行動に踏み込んでいないとの認識から「自由の制限を含む法令が必要」と主張。

20日に行われた会見でも、「究極のことを言うと」と前置きした上で「日本の法体系では個人の自由が重視されている。個人の自由を制限することはやってない。本質的にはそこをやらなければいけないのでは」と個人的な見解を述べていた。

感染拡大を食い止める観点から、人流を抑制する必要性を訴えてきた吉村知事。しかし、この発言にSNSでは批判の声が上がっている。

《個人に補償もしてくれないのに? なんの義務を果たせと仰るの?》
《今も自由制限されてるのに。国がちゃんとしてくれたら、こんな事にならん。外国みたいに、生活するのに必要な金額はここまで補償しますとか…全然ないやん》
イソジンが効くとか軽率に言っちゃうノリでこういうこと言うのやめてくんないかな…》

■個人補償はなく、協力金は滞った状態

宣言の発令に伴って、広範囲の業種に休業や時短要請が出されることとなった。これまでも制限を受けてきた飲食店に関して、酒類の提供を行う店は休業。提供のない店は、夜8時までの時短営業が要請される。休業となると個人の収入にも影響が及ぶことから、補償についての関心が高まっている。

各紙によると、飲食店への協力金は「まん延防止」の対象地域と同じく、店ごとに1日4万円から上限20万円が支給。百貨店などの大型商業施設には1日20万円、施設のテナントには2万円支給されるという。しかし、個人向けの給付金といった補償はない模様だ。

いっぽう大阪では、今年1月から申請開始した飲食店向け協力金が十分に行き届いていないことも明らかになってきている。

NHKの報道によると、1月14日から2月7日までの「第1期」で、1日6万円の協力金が支払われたのは申請件数56,000 件のうち3分の1程度。2月8日から同月28日までの「第2期」では、申請件数51,000件のうち約6%。そして「まん延防止」が適用される直前までの「第3期」については、支払いは始まっていないという。

個人向けの補償はなく、協力金すら支給が滞っている状態で「個人の自由を制限する」とは――。

昨年8月には「嘘のような本当の話」として、「イソジン」などポビドンヨードを使ったうがい薬が新型コロナに効果があるかのように喧伝した吉村知事。その発言がきっかけで、うがい薬が品切れになるなど大きな混乱を招いた。

さらに今年1月8日に2度目の宣言が出されると、吉村知事は翌月に「独自の解除基準を作る」と表明。そして政府に“前倒し解除”を要請したことで宣言は解除されたが、1カ月足らずで感染者は急増した結果となった。

度重なる“大言壮語”によって、吉村知事は府民からの信頼を失うことにならないだろうか。