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はじめに

次はいったいなにをすればいいんだ?最新の超ホットなゴルフを開発するにあたって、フォルクスワーゲンは自問自答したことだろう。

【画像】フォルクスワーゲン・ゴルフRとライバル 全16枚

問題の根源は先代、すなわちゴルフVIIのRモデルにある。2014年に登場し、2017年にアップデートされたそれは2019年に生産を終了したが、あまりにも出来がよかったのだ。

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テスト車:フォルクスワーゲン・ゴルフR    MAX EDLESTON

繊細さと高額そうな雰囲気を兼ね備えた魅力的なルックス、なめらかなハンドリングと全般的にみごとな乗り心地で、先代ゴルフRは同世代のホットハッチを代表する一台となった。もちろん、むちゃくちゃ速い。

それだけに、改善の余地をみつけるのは難しいとさえ思えた。次はいったいなにをするというのか、われわれも疑問を感じずにはいられなかったほどだ。

その答えを探るのが、今回のロードテストである。敢えていうなら、ゴルフRは多くの点でトラディッショナルなままだが、大胆なイノベーションもまた、ひとつふたつみつけられる。しかし、詳細にチェックしていくまでもなく、ウォルフスブルクのプライオリティがここ数年で変化してきたことはすでに承知している。

4WDのハイパフォーマンスなゴルフは、1988年に登場したゴルフIIのラリーに源流を見出せる。しかし、それはホモロゲーションモデルとして5000台が限定生産されたのみだ。

このレシピで造られた高性能なゴルフが人口に膾炙したのは、4代目と5代目に設定された、V6搭載のR32でのことだった。6代目のRはエンジンを直4へスイッチしたが、出力はダウンするどころかむしろアップして、しかもハンドリングには一層磨きがかかった。

ゴルフRは実用的でありながら意欲的なモデルでもあり、なにより走りが魅力的だ。このクルマの人気が大きく高まり、ゴルフRは単なるゴルフのトップモデルであるだけでなく、フォルクスワーゲン全体のフラッグシップともいえる存在にまで成長した。そんな中で、7代目のRが登場したのである。

英国では、ゴルフの販売台数の1割がRモデルになると、フォルクスワーゲンは期待を寄せている。この数字はなかなか驚くべきものだが、この世界第2位の巨大メーカーにとって、いま、ゴルフRの重要度はいかほどのものなのだろうか。

彼らは今後も末長く繁栄していくために、EVで構成されるサブブランドのIDを次のチャプターの基軸として重要視している。ゴルフRのベクトルは、それとは正反対にあるのではないかと思わずにはいられない。

電動化へと突き進む風潮にあっては、ゴルフRは時代錯誤なクルマなのかもしれない。それは認めよう。それでもわれわれは、このクルマそのものの出来栄えがいかほどか、そちらのほうが気になってならないのだ。

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

フォルクスワーゲンは、ゴルフRの基本となるレシピをどれほど発展させたのか、と問われれば、答えは「なにも変わっていません」ということになる。

横置きされたEA888ユニットはエヴォ4へ進化し、出力は20ps引き上げられたが、基本は先代と同じエンジンだ。ホットハッチのトップレベルが400psの大台を超えるなかにあっては、保守的に思えてしまう。

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ブリヂストン製タイヤは、われわれの好みからすると乗り心地が硬く、常に寛容というわけではなかった。ホイールのヴィジュアル的なインパクトは、まちがいなく絶大なものがある。テスト車にはエストリルと銘打たれたオプションの19インチが装着されていた。    MAX EDLESTON

おそらく、これは意図的なものだ。日常使いでのドライバビリティを強調するためか、はたまた、2007年に誕生したアウディ開発エンジンから信頼性を担保して無理なく引き出せる出力の限界に達したのかは推測するしかないが。

いずれにせよ、このクルマの0−100km/hは、先代にコンマ1秒後れを取る。元凶はウェイトだ。1476kgという車両重量は、先代比16kgの増加。ただし、パワーウェイトレシオはほぼ変わらない。

それ以外にも、類似性は強い。先代より長く、広く、低くなったとはいえ、その差はわずか。ホイールベースも2mm延びたのみだ。先代ではモデルライフの途中で3ドアとMTを廃止しているが、新型ははじめから5ドアの7速DCTのみが設定される。

詳しくみていくと、もっと興味深いことがわかる。これまで通り、地上高は通常のゴルフより20mm低いが、スプリングレートとスタビライザーの硬さは先代より1割ほど増しており、運動性をよりシャープにしようとしたことがうかがえる。

前輪のネガティブキャンバーも増し、アルミブレーキキャリパーは600g軽く、ドリルドディスクの直径は17mm拡大されて357mmとなった。フロントアクスルは、強固なアルミの新型サブフレームにより、バネ下重量が3kg削減されている。

それよりはるかにエキサイティングな追加ポイントは、外から眺めてもわからないところにある。それは、ハルデックス式4WDシステムに加えられた、Rパフォーマンス・トルクベクタリングだ。

リアディファレンシャルは、電動機械式クラッチユニットでサンドウィッチされている。リアアクスルへは、エンジンが発生する駆動トルクの最大で半分が送られるが、必要に応じてその全量を片側へ伝達することも可能だ。

これは、3代目のフォードフォーカスRSに搭載されたのと同種のシステムで、これを含むRパフォーマンスパッケージを選択すると、ドリフトモードも追加される。これを使えば、その機会が来た際に、車をうまくオーバーステアへ持ち込める。

テスト車にそのオプションパッケージは未装着だったが、DCCことアダプティダンパーは装備していた。これには、標準仕様のパッシブダンパーと異なり、セッティングが複数用意されている。

内装 ★★★★★★★★☆☆

フォルクスワーゲンがゴルフRのインテリアにできることは限られているが、もし深いバケットシートを据え付け、もっとワイルドでレーシーに仕上げられたとしても、そうはしなかったはずだ。Rを冠するゴルフは、歴代いずれも控えめに仕立てられてきた。その伝統は、最新版でも変わらない。

たしかに、ゴルフの速いバージョンに乗っていることは間違いなくわかる。デザインの多くをGTIと共有しているのだ。ブルーのチェック柄が入ったファブリックに、レザーとアルカンターラを組み合わせたシートは、このクルマの正確にピッタリくる。

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シンプルなインテリアには、スポーティなシートやステアリングホイールが装着される。運転に集中できて快適な環境だ。ただし、インフォテインメントシステムの操作性には問題がある。    MAX EDLESTON

それは穴開け加工された黒いレザーのステアリングホイールや、アルカンターラのドアトリムにもいえることだ。リアシートも深さがある。そして、各部にRのロゴがあしらわれる。

さらに満足感を、とくにパフォーマンスカーにおいて覚えるのはシンプルさだ。それをフォルクスワーゲンは、ゴルフのキャビンの構造にもたらしている。

昔ながらのシフトレバーに代わるのは、シフトバイワイアのスイッチ的なノブだ。それ自体は魅力的なアイテムではないが、幾らかの省スペースにはなっている。また、ダッシュボードカーボン調トリムや、明らかに硬いプラスティックにはがっかりするかもしれないが、有機的なシェイプのモールディングはモダンな感じで悪くない。

インフォテインメントシステムを使う必要さえなければ、気を散らされる要素はほとんどない。直感的に運転できるドライビングポジションと、十分な広さだけがそこにはある。

充実した標準装備には、30色のアンビエントライトや10.0インチ画面のデジタルコックピットプロ、USB−C充電ポート、ワイアレス充電デバイス、パーキングセンサーが含まれる。

走り ★★★★★★★★★☆

ホットハッチのパワーウォーズでは後続にオーバーテイクされてきたゴルフRだが、320ps/42.9kg-mに4WDの組み合わせは、これ以上のパフォーマンスが必要かと疑問を感じるに十分だ。

ローンチコントロールを使えば、ゼロ発進から4.4秒で97km/hに達する。ただ、DSGギアボックスが自動的にクラッチをかなり滑らせるので、もう少しいいタイムが出る可能性もある。

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その落ち着きとトラクション、信頼できるレスポンスにより、このクルマを速く走らせるのはイージーだ。しかし、リアアクスルのトルクベクタリングの恩恵を十分に享受できるのは、本気で飛ばす熱いドライバーだけだろう。    MAX EDLESTON

それでも、これは996世代のポルシェ911GT3に匹敵する数字だ。当時は驚くほど速いと評した、あの996GT3と同等の加速をするのである。

しかもゴルフRは、2速以上にシフトアップすることもなかった。ゴルフRより100psほどパワフルなメルセデスAMG A 45 Sを同じ環境でテストすれば、0−161km/hのタイムは9.3秒なので、その差はたったの1秒だ。ゴルフRは、その寸前で4速にシフトアップするまで、加速は衰えなかった。

加速テストに続き、新たなブレーキシステムの性能をテストするべくフル制動に移る。113km/hからの完全停止には、自信をもたらすようなペダルフィール以上に、大径ディスクがものをいう。45.9mという所要距離は、より車重が軽くトレッドが広いホンダシビック・タイプRより80cm短かった。

だが、そうした数字以上に衝撃的だったのは、爽快なドライビングだ。全開アタックをしているときでさえ、それが感じられたのである。

これは諸刃の剣でもある。というのも、パワートレインが楽に変速するさまは、ほとんどダルいといってもいいくらいなのだ。このDCTは、機敏な変速に定評があるが、現行世代では、レースモードであってもじつにシームレスなシフトチェンジをみせる。2100rpmで達したピークを5350rpmまでキープするトルク特性が、パワーデリバリーより優先されているところもある。

このパワートレインは、まちがいなく高性能だ。しかし、その加速感がときとして、あまりにも洗練されすぎているようにも思えてしまう。カタパルトから打ち出されるような継ぎ目のない速度の上がり方は、まるで速いEVのようだ。

トラクションに関しては、ドライ路面の直線を走っている限り、破綻することはないはずだ。ホイールが跳ねることも、トルクステアも発生しない。4WDシステムの4モーションが前後の駆動力をきっちり配分し、ひたすら加速していく。

ただし、コーナリング重視でESPをスポーツモードにすれば、テールをブレイクさせることもできる。もちろん、それをして楽しむには、時と場所を選ばなければならないが。

使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆

インフォテインメント

フォルクスワーゲンの新世代インフォテインメントシステムに感じた問題は、ソフトウェアの反応の遅れと、やや疑問を覚えるメニューのレイアウトもあるが、なにより、実体スイッチが完全に排除されていながら、タッチ式の操作系の配置が悪いことだ。

ゴルフRに装備されるディスカバー・ナビゲーションのタッチ式10.0インチディスプレイも、その点は例外ではない。音量調整のような単純作業さえやりにくいだけではなく、その操作中に誤って手が触れて、走行モードや安全装備のメニューを呼び出してしまうこともある。

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操作系をほぼすべてタッチ式にしているのはともかく、そのレイアウトに問題があるため、操作中に別に機能を意図せず呼び出してしまいがちなのが、このシステムの問題点だ。    MAX EDLESTON

同時に、ステアリングホイール上のタッチ式スイッチも、機能は多彩だが、意図せず無用な機能を起動させてしまいがちだ。グラフィックやシステムの能力は高いのに、常にフラストレーションを覚え、簡単な操作でさえも無駄な時間を割かれてしまう。

10.0インチ画面のフルデジタルメーターは、少なくとも鮮明さはかなりのもの。中央に回転計を表示できるモードがあるのもいい。表示は直感的に認識できながら、見栄えもいい。

燈火類

フォルクスワーゲンのIQライトと呼ばれるLEDヘッドライトが標準装備。ほぼ非の打ちどころのない機能ぶりで、対向車の眩惑を防止するダイナミックライトアシストも備える。

ステアリングとペダル

ドライビングポジションは、MQBを用いるクルマのまさに典型的なそれ。この上なくやる気にさせてくれるわけではないが、快適で配置は上々なうえに、調整も効く。

操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆

ほとんどの場合、ゴルフRの乗り心地は心地よく、より軽量なゴルフGTIより重厚な乗り味だ。しかし、張りのある基礎に支えられたしなやかさは、パフォーマンスがこのレベルにあるクルマにはピッタリだと感じられる。

きわめて融通が効き、DCCダンパーセッティングをもっともソフトなほうへ寄せれば、波の大きい足取りは非常にリラックスしたものになる。はっきりした上下動は、1970年代フランス車を彷彿させる。

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ホットハッチには珍しくフラットな乗り心地だが、先代より没個性的なところもある。本気で走るなら、後輪駆動的なバランスを生むトルクベクタリングを備えた、Rパフォーマンス仕様を選びたい。    MAX EDLESTON

それを望まなければ、足回りのセッティングを締め上げればいい。ただし、ダンパーをどの状態にしても、セカンダリーライドのパタパタ音を立てるようなところは消せない。その要因は19インチホイールにありそうだが、強化されたサブフレームとハードなスプリングも影響しているだろう。

B級道路に向いているのはスポーツモードだろう。もしくはそこから、硬軟どちらかお好みで1〜2ノッチ動かしてもいいかもしれない。全開というほどではなく飛ばすなら、過去のゴルフRを人気モデルに押し上げたようなバランスとスタビリティを発揮してくれる。

サスペンションが路面へなめらかに反応しつつもボディをフラットに保つ能力は、まるでトップレベルのモーグル選手のようだ。このクラスでは、なかなかレアな存在だといえる。

事実、もしも批判すべきがあるとすれば、このみごとなまでの安定感が、やや個性を犠牲にしているという点だ。新型Rは、先代のように表現力豊かな走りをみせてくれることがない。

また、ステアリングは正確で、リニアに手応えが増すので自信を持って操作できるが、これもかつてみられたナチュラルなコミュニケーションがやや足りないというテスターもいた。

ただし、それらは難点といっても些細なものにすぎない。全般的にみれば、精密で、雰囲気のあるホットハッチだ。

実際、Rパフォーマンス・トルクベクタリングを備えた新型ゴルフRは、あらゆる点で先代より魅力的なクルマに仕上がっている。ただ、全開で攻めないと個性を発揮してくれないというだけのことだ。

先代モデルは、いつでもすばらしくニュートラルだ。ひとつには、フロントアクスルがターンインを忠実にこなすからであり、さらにクレバーな電動油圧式4WDが、ふたたびパワーオンするやいなや、エンジン出力を後輪へとどんどん送り込むからでもある。

Rパフォーマンス仕様のゴルフRは、その先代をベースに、ときとしてとびきりの効果も発揮してくれる。

どんなにドライビングが不器用でもアンダーステアを出さないだけでなく、外側の後輪へ駆動力配分を集中する能力により、きちんと運転すればホットハッチにはめったにない性質も引き出せる。多少ながらもパワーオーバーステアに持ち込めるのだ。

明らかに、その領域へは意図して持ち込むことが求められ、作動ぶりはいつもシームレスなほどナチュラルなわけではないが、それでも十分にナチュラル。それほどムキになって走らせていなくても、このデバイスはエキサイティングで満足感のある後輪駆動的なバランスをもたらしてくれる。

快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆

構造的にみれば、通常のゴルフVIIIと大差ない。不快な点の大半はインフォテインメント系に覚えるフラストレーションで、それはゴルフRに特有の欠点ではない。

シートは快適でありながらサポート性にも優れ、ドライビングポジションの調整幅も広い。日常使いするホットハッチとしては、ほぼ右に出るもののないクルマだ。

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ホットハッチとしてはみごとな乗り心地で、静粛性も一般的なゴルフとほとんど変わらない。ただし、19インチタイヤを履いたテスト車では、低速での乗り心地に閉口させられた。    MAX EDLESTON

ロープロファイルタイヤとしなやかさが足りないサスペンションはロードノイズの元凶となりがちだ。それだけに、2020年にテストしたマイルドハイブリッドのゴルフ1.5 eTSIとの比較結果は、思いがけず興味深いものとなった。

われわれは快適性や静粛性も重視しているが、その点でもゴルフRはなかなかのものだ。4速全開時を別にすれば、騒音レベルが1.5 eTSIとほとんど変わらなかったのである。概して、高速道路では問題を感じることがない。

玉に瑕、といえるのが、低速域での乗り心地である。粗い路面ではガタガタして、それ以外での優れたロードマナーさえ台無しにするほどだ。そのため、われわれがゴルフRを購入するとしたら、標準装備の18インチホイールを選びたいところだ。

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

このクラスの価格帯が上昇しているとはいえ、それでもゴルフRは、いまや疑いの余地がないほど高価なクルマになった。アウディS3も、BMW M135i xドライブも、メルセデスAMG A35も、みんな4万ポンド(約560万円)に近いが、もっともその大台に近いのはゴルフRなのだ。

弁解の材料を探すなら、ライバルたちを上回るパワーと、充実した装備内容が挙げられる。マトリックスLEDや3ゾーンエアコンは標準装着。先代ゴルフRより上昇した金額には、競合モデルに勝る運動性をもたらす新型Rパフォーマンス・トルクベクタリングの追加分が含まれる。

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ゴルフRの残価予想は悪くない。とはいえ、アウディメルセデスといったプレミアムブランドのライバルに比べると、わずかに下回る。こればかりはしかたのないところだ。

DCCアダプティダンパーが必要なら、800ポンド(約11.2万円)ほどの出費を求められる。それさえ除けば、とくにオプションを追加せずとも満足できるはずだ。

燃費に関しても、期待に応えてくれるはずだ。テスト時のツーリング燃費は15.5km/Lで、そこから導き出される計算上の航続距離は800kmほどになる。大人4名が快適に過ごせて、しかも0−97km/hが4.5秒を切るクルマの燃費としては、なかなかのものだ。もっとも、全開で飛ばせば、7km/L近くまで落ちることになるが。

スペック

レイアウト

レイアウトについて、目新しい点はとくにない。プラットフォームはおなじみのMQBで、直4ターボユニットはフロント横置き。7速DCTを介して、四輪を駆動する。

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンク。テスト車のアダプティダンパーは、オプション設定されるアイテムだ。車両重量は実測1520kg、前後配分は61:39だった。

エンジン

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MQBプラットフォームを用いた、横置きFFベースの4WDという点は新型でも変わらない。アダプティダンパーはオプションで用意される。

駆動方式:フロント横置き四輪駆動
形式:直列4気筒1984ccターボ、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ82.5×92.8mm
圧縮比:9.3:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:320ps/5200-6600rpm
最大トルク:42.9kg-m/3000-4600rpm
エンジン許容回転数:6750rpm
馬力荷重比:217ps/t
トルク荷重比:29.0kg-m/t
エンジン比出力:161ps/L

ボディ/シャシー

全長:4290mm
ホイールベース:2619mm
オーバーハング(前):878mm
オーバーハング(後):781mm

全幅(ミラー含む):2070mm
全幅(両ドア開き):3640mm

全高:1458mm
全高:(テールゲート開き):1990mm

足元長さ(前席):最大1105mm
足元長さ(後席):640mm
座面~天井(前席):最大1000mm
座面~天井(後席):950mm

積載容量:374L

構造:スティールモノコック
車両重量:1476kg(公称値)/1520kg(実測値)
抗力係数:0.31
ホイール前・後:8.0Jx19
タイヤ前・後:235/35 R19 91Y
ブリヂストン・ポテンザS005
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)

変速機

形式:7速DCT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:3.19/8.5 
2速:2.75/13.4 
3速:1.90/19.5 
4速:1.04/26.2 
5速:0.79/34.6 
6速:0.86/43.0 
7速:0.66/55.8 
最終減速比:4.471:1(1、4、5速・後退)/3.35:1(2、3、6、7速)

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:11.0km/L
ツーリング:15.5km/L
動力性能計測時:5.3km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):8.7km/L
中速(郊外):12.7km/L
高速(高速道路):15.0km/L
超高速:13.7km/L
混合:12.8km/L

燃料タンク容量:50L
現実的な航続距離:549km
CO2排出量:177g/km

サスペンション

前:マクファーソンストラットコイルスプリング、アダプティダンパー
後:マルチリンク/コイルスプリング、アダプティダンパー

ステアリング

形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:1.8回転
最小回転直径:10.9m

ブレーキ

前:357mm通気冷却式ディスク
後:310mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS、ブレーキアシスト
ハンドブレーキ:電動、センターコンソールにスイッチ設置

静粛性

アイドリング:43dB
全開時(3速):80dB
48km/h走行時:59dB
80km/h走行時:65dB
113km/h走行時:68dB

安全装備

ABS/ESC/ACC/レーンアシスト/リアトラフィックアシスト
Euro N CAP:5つ星(1.5L・左ハンドル)
乗員保護性能:成人95%/子供89%
交通弱者保護性能:76%
安全補助装置性能:78%

発進加速

テスト条件:湿潤路面/気温10℃
0-30マイル/時(48km/h):1.8秒
0-40(64):2.6秒
0-50(80):3.4秒
0-60(97):4.4秒
0-70(113):5.5秒
0-80(129):6.9秒
0-90(145):8.5秒
0-100(161):10.3秒
0-110(177):12.5秒
0-120(193):15.1秒
0-130(209):18.3秒
0-140(225):22.5秒
0-402m発進加速:12.9秒(到達速度:179.3km/h)
0-1000m発進加速:23.3秒(到達速度:227.7km/h)

ライバルの発進加速

ライバルの発進加速
アウディS3スポーツバック(2020年)
テスト条件:湿潤路面/気温13℃
0-30マイル/時(48km/h):2.0秒
0-40(64):2.8秒
0-50(80):3.7秒
0-60(97):4.8秒
0-70(113):6.2秒
0-80(129):7.7秒
0-90(145):9.5秒
0-100(161):11.6秒
0-110(177):14.1秒
0-120(193):17.2秒
0-130(209):21.1秒
0-140(225):26.3秒
0-402m発進加速:13.4秒(到達速度:173.2km/h)
0-1000m発進加速:24.2秒(到達速度:219.7km/h)

中間加速

20-40mph(32-64km/h):1.7秒(2速)/2.8秒(3速)

30-50(48-80):1.7秒(2速)/2.2秒(3速)/3.2秒(4速)/5.3秒(5速)

40-60(64-97):2.3秒(3速)/2.9秒(4速)/4.0秒(5速)/6.5秒(6速)

50-70(80-113):2.5秒(3速)/3.0秒(4速)/3.9秒(5速)/5.2秒(6速)/9.6秒(7速)

60-80(97-129):2.6秒(3速)/3.1秒(4速)/4.0秒(5速)/5.3秒(6速)/7.9秒(7速)

70-90(113-145):3.2秒(4速)/4.2秒(5速)/5.6秒(6速)/8.1秒(7速)

80-100(129-161):3.5秒(4速)/4.4秒(5速)/6.0秒(6速)/8.7秒(7速)

90-110(145-177):4.6秒(5速)/6.5秒(6速)/9.7秒(7速)

100-120(161-193):5.0秒(5速)/6.9秒(6速)

120-140(193-225):6.0秒(5速)/7.7秒(6速)

140-160(225-257):7.7秒(5速)

制動距離

テスト条件:湿潤路面/気温10℃
30-0マイル/時(48km/h):8.0m
50-0マイル/時(64km/h):23.7m
70-0マイル/時(80km/h):45.9m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.77秒

ライバルの制動距離

アウディS3スポーツバック(2020年)
テスト条件:湿潤路面/気温13℃
30-0マイル/時(48km/h):9.8m
50-0マイル/時(64km/h):26.9m
70-0マイル/時(80km/h):52.7m

各ギアの最高速

1速:57.9km/h(6792rpm)
2速:90.1km/h(6750rpm)
3速:132.0km/h(6750rpm)
4速:177.0km/h(6750rpm)
5速:233.4km/h(6750rpm)
6速:249.4km/h(5813rpm)
7速(公称値):250.0km/h(4461rpm)

7速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):2015rpm/2302rpm

結論 ★★★★★★★★☆☆

ゴルフRの価格は考えものだ。テスト車の場合は4万5000ポンド(約630万円)近いのだが、これでもRパフォーマンスパッケージやアクラポヴィッチ製エキゾーストは含まれていない。疑問が湧くのも当然だ。

日常使いできるホットハッチプライスが、正真正銘のスポーツカーといえる性能と、4つのシートや広い荷室を持つクルマ、たとえばBMW M2コンペティションに近い領域に足を踏み入れているのだ。なかなか難しい問題だ。

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結論:ゴルフRの製法としては、もっともおもしろい産物だが、価格は高い。    MAX EDLESTON

この疑問に、ある程度明確な答えを出すのが、今回テストしたゴルフVIIIのRバージョンだ。ある点では断固たる答えを出せるが、ほかの点では説得力に欠ける、ともいえる。

このクルマは、先代ほど寛大で、簡単に好きになれるものではない。たとえ、そのハンドリングのエキサイティングさや満足感が、メルセデスAMG A35のような競合車種には見出せないものであったとしてもだ。

さらに、多くの部分で、ほかもうらやむようなバーサタイル性がある。ただし、普段使いするようなセッティングでの乗り心地にはいくばくかのただし書きをつけざるを得ない。

このクルマの速さや安定感、これまでにないセンスといったものは称賛に値する。どれも、4WDの高性能ハッチがひしめく中でも際立っているのだ。しかしながら、ホットハッチとしては高すぎる。

5000ポンド(約70万円)安いホンダシビック・タイプRで、もっと多くのものを得られるのも事実だ。そのほうがより精密で、アジャスト性も高く、より夢中になれるのである。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

先代の魅力の柱の1本が、即金でもローンでも際立つバリュー・フォー・マネーだった。今回はやや違って、テスト車の4万5000ポンド(約630万円)近い価格は、BMW M2コンペティションの中古車でもどうにか買える金額だ。

マット・ソーンダース

できれば18インチホイール仕様に、ミシュラン・パイロットスポーツ4Sを履かせて試してみたい。PS4Sは経験上、ブリヂストン・ポテンザよりソフトなフィールで、それでいてグリップも強力だ。より円熟味のあるクルマになるはずだ。

オプション追加のアドバイス

2000ポンド(約28万円)のRパフォーマンスパッケージは必須ではないが、それを選ぶと使えるドリフトモードは、トルクベクタリングの効果を高めてくれる。785ポンド(約11万円)のDCCアダプティダンパーは必須といえるが、ホイールは標準装備のヘレスこと18インチのままにしておいたほうがいい。

改善してほしいポイント

・リアのトルクベクタリングは、もっとプログレッシブに作動するようにしてほしい。
・なめらかでない路面を低速で走ると突き上げがつらいので、改善してもらいたい。
・エンジンルームを、もうちょっとスペシャルな雰囲気にしてほしい。


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