現地時間4月25日(日本時間4月26日)に開催された第93回アカデミー賞授賞式。主演男優賞に輝いたのは、『ファーザー』(5月14日公開)のアンソニー・ホプキンスで、6度目のノミネート(過去に主演男優賞3回、助演男優賞2回)となったが、アカデミー賞主演男優賞では史上最高齢となる83歳での受賞という快挙を果たしたが、授賞式には参加しなかった。

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『ファーザー』は、現実と幻想の境界が曖昧になっていく認知症の父親とその娘による親子の絆を見つめた感動の物語。ホプキンスは自身と同名で生年月日も同じ父親役に扮し、娘役は『女王陛下のお気に入り』(18)のオスカー女優オリヴィア・コールマンが演じた。監督は原作舞台を手掛けたフロリアン・ゼレールで、本作が長編初監督作となった。主演男優賞のほか、作品賞、コールマンの助演女優賞、脚色賞、編集賞、美術賞の6部門でノミネートされた。

プキンスは「私は父を演じたんです。父は認知症ではありませんでしたが最後の数週はその兆候が見えました。死を恐れるあまりとても怒っていて、目が合うだけで身がこわばりました」と、主人公アンソニーを演じるにあたり、自身の父親を参考にしたと語っていたが、その熱演をぜひスクリーンで確かめていただきたい。

有力視されていたNetflixオリジナル映画『マ・レイニーのブラックボトム』(配信中)の故チャドウィック・ボーズマンを押さえ、2度目のオスカーに輝いたアンソニー・ホプキンス1937年生まれ、英国出身。世界中の人々を戦慄させた『羊たちの沈黙』(91)のレクター博士役での主演男優賞受賞から30年ぶりの受賞となった。

文/山崎伸子

『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスが主演男優賞を受賞/写真:SPLASH/アフロ