現地時間2021年4月24日、故DMXの追悼式が米ニューヨークのバークレイズ・センターで営まれた。薬物の過剰摂取による心臓発作で病院に運ばれ、数日間生命維持装置に繋がれていた彼は、4月9日に50歳で死去した。

 追悼式は、現地時間の午後4時からDMXの公式YouTubeで生配信が開始される予定だったが、諸事情により開始は6時半以降までずれ込んだ。同会場は、パンデミックの影響で現在10%のキャパシティーで運営されているため、この“セレブレーション・オブ・ライフ”(人生を祝う会)は、家族と親しい友人だけで執り行われた。

 米紙ニューヨークタイムズによると、式の開始前、Ruff Rydersオートバイ・クラブのメンバーなど1,000人以上の葬列が、DMXの地元だったヨンカーズからブルックリンまで続いた。車体に“Long Live DMX”(DMX万歳)とペイントされたモンスター・トラックが、真紅の棺を荷台に乗せて葬列を先導していた。

 追悼式ではサンデー・サービス・クワイアが賛歌を合唱し、DMXの子ども数名と友人たちがステージでスピーチやパフォーマンスを披露した。中でも彼の8歳の娘は、「Slippin’」の歌詞を、“私は成長している、うなだれないよう学んでいる”などと変えながら、父譲りの堂々としたラップを故人に捧げた。

 DMXを“兄弟だった”と振り返ったナズは、映画のセットで過ごした時間について語った。DMXが1stアルバムをリリースする前、「彼は自分の旅が始まることが分かっていた」とナズは述べ、「俺に向けられた彼の目には涙が浮かんでいた。ヒップホップアイコンになるという、これから乗り出そうとしていた自分の旅を理解していたんだ」と懐かしんだ。

 ラッパーのイヴは、Ruff Rydersファミリーに囲まれながら、「男性として、父親として、友人としてのDMXを知っていた私としては、本当につらいよ、みんな。私が祈っているのは、願っているのは……(DMXの死後の)旅が順調であったことを神に、天使に、先祖に祈っている。彼が力と共に眠り、愛と共に眠ることは分かっているけれど、それ以上に彼は安らかに眠るでしょう」と、感情のこもった言葉をステージで述べた。

 またスウィズ・ビーツは、「彼は今日、ショーを遅れて開始した。すでにあの世で勝手なことしてるんだろうよ、言ってる意味分かるよな?」と語り始め、「これだけの人たちが、彼が生きていた頃に顔を出してくれていたらよかったのに。彼は(この世に)いた時、みんなを必要としていたんだよ。俺たちは、(生きている間に)お互いを祝うことを学ばなければならない」と述べた。

 DMXの葬儀は、翌25日に営まれ、BETとYouTubeで配信された。

故DMXの追悼式にナズ/スウィズ・ビーツ/イヴらが参列