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人とクルマは仲間という考え方

text:Kenji Momota(桃田健史
editor:Taro Ueno(上野太朗)

トヨタが2021年4月8日に発表した「アドバンスド・ドライブ」の枕詞は、「人とクルマが仲間のように共に走る高度運転支援技術」というものだ。

【画像】運転支援技術 アピールポイント【ミライ/レジェンド/レヴォーグ/スカイラインを比べる】 全162枚

高度運転支援システムといえば、スバルアイサイト」、日産「プロパイロット2.0」、そしてホンダが世界で初めて自動運転レベル3の機能を装備した「ホンダセンシング・エリート」など、各社から最新技術が目白押しだ。

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トヨタ・ミライ(白)

正直なところ、筆者(桃田健史)のように自動運転や運転支援技術の取材機会が多いメディア関係者にとっても、まだそれぞれの特長をしっかり把握できていないように思える。

一般的なクルマの試乗では「走る/曲がる/止まる」を基本として、パワートレインの体感、乗り心地、ハンドリングなどを比較できるが、そこにさまざまなデジタル技術が上乗せされ、各社で少しづつ違うステアリングの機能スイッチの操作を短時間に把握して的確におこなうことは、交通状況が変化するなかで結構難しい。

むろん、各社から提供される広報資料や、各社ホームページに掲載されている動画などを見れば、理屈としての技術は分かるが、やはりクルマを実際に乗ってみて、その体感のリアル感が抜けきらないうちに他社のモデルに乗ることで、各社それぞれの特長を知ることにつながる。

さて、今回は……。

特殊感なし イメージは重厚な高級車

国の自動運転プロジェクトの一環で開催されたメディア向け試乗会で、各社モデルを一気乗りすることができた。

順番としては、日産「スカイライン」、スバルレヴォーグ」、ホンダレジェンド」、仏ヴァレオの実験車両、独コンチネンタルの実験車両が乗用タイプと自動運転小型バス、金沢大学の実験車両、ベンチャー企業のティア4と日本交通が連携した自動運転タクシー、そして最後にトヨタ「ミライ」という合計9台を2日間かけて乗った。

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トヨタ・ミライ

このうち、自動車メーカーのモデルではそれぞれ、違ったルートを筆者自らが運転することができた。

そのうえで、本稿ではトヨタ「ミライ」の試乗体験を紹介する。

第2世代となった燃料電池車の「ミライ」。走り出してしばらく一般公道を走っていると、このクルマが燃料電池車であるとか、電気モーターで駆動しているといったことをふと忘れてしまった。

あくまでも重厚な高級車というイメージであり、特殊なクルマという違和感はまったくない。

アドバンスド ドライブについても同様で、仰々しいスイッチがあるわけでもなく、そのためゆったりとした気分で走行できた。

助手席にはトヨタの開発担当者が座り、操作方法やクルマの状態についてアドバイスをしてくれた。

「アドバンスド・ドライブ・レディ」

走行中、ダッシュボード内の右上には、使用可能な地点までの残り距離が表示されている。

アドバンスド・ドライブの基盤となる、高精度三次元地図が使用可能な自動車専用道の最寄りの入路までの距離を示している。

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トヨタ・ミライ

首都高速の有明入路から本線に入る。しばらくして「アドバンスド・ドライブ・レディ(準備中完了)」の表示が出た。

これは、高精度三次元地図上でGPSを使った衛星測位で自車位置を確認している。

ただし、「GPSはあくまでも自車位置確認のきっかけであり、トンネルに入っても車載のカメラ、レーダーライダーなどの各種センサーが周囲の状況を判断して走行していく」(トヨタ開発者)という。

アドバンスド・ドライブ・レディ」の状態でステアリングスポーツの右側にあるメインスイッチを1回押す。すると、ダッシュボード内の表示色はグレーとなり、ステアリングに手を添えたハンズオン状態になる。

さらにこのまま数秒間待っているとダッシュボード内の表示色がブルーに変った。これで、ハンズオフが可能になる。

ちなみに、コロナ対策でマスクを着用していたが、ドライバーモニタリングカメラの認識によって、マスクをしているとハンズオフの状態にならなかった。

また、ハンズオフに切り替わってからマスクとつけると数十秒後にハンズオンの状態に戻った。

運転が「楽」 クルマとの一体感も

次に、自動での追い越しを体験した。

前車との速度差が大きいクルマが判断すると、「追い抜きますか? 」という表示が出る。ステアリング上の操作ボタンで「はい」を押し、ハンドルを保持して進行方向を目視で確認すると自動で車線変更が始まった。

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アドバンスド・ドライブを搭載するレクサスLSとトヨタ・ミライ    トヨタ

また、ハンズオフの状態でウインカーを1段目まで1秒押しても車線変更ができた。

「相対速度差で、斜め後方から接近してくるクルマと6秒以上の差があると自動で車線変更する」(トヨタ開発者)という。

その後、千鳥町でいったん首都高速を降りて、Uターンしてから都心環状線C1に向かった。

C1方面への分岐地点では、あらかじめカーナビでルート設定しているため、分岐の少し手前で自動で車線変更してくれた。

C1に入ると50km/h規制となるため、ハンズオフにはならない設定となった。

かなり曲率がきついコーナーが続いても、操舵の補助量とタイミングは適格である。

こうして約1時間に渡り、ミライに搭載されたアドバンスド・ドライブを初試乗したが、端的に運転がとても楽で、疲れが少なかった。

ただし、運転する楽しさがクルマのシステムに奪われている、という感じでもない。

トヨタがいう「チームメイト」、ドライバーとクルマが仲間になるという表現。

こうして試乗してみると、たしかにそんな雰囲気がある。


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