北川景子と永山瑛太共演の金曜ドラマ「リコカツ」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)は、現代ならではの価値観と時代が変わっても普遍的な男女のもめ事を“リコカツ”というキーワードを通じて描き出す“離婚するかもエンターテインメント”。このたび、WEBザテレビジョンでは、本作の脚本を務める泉澤陽子氏、植田博樹プロデューサーにインタビューを実施。作品が誕生した経緯や舞台裏などを語ってもらった。

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「リコカツ」は、現代的で自由な家庭で育った自分に正直な咲(北川)と、厳格な自衛官一家で育った堅物人間の紘一(永山)は、運命的な出会いをきっかけに交際ゼロ日でスピード結婚。幸せな新婚生活が始まると思われたが、互いの生活習慣の違いや結婚生活に求める価値観の違いで意見が食い違って大げんかに発展。売り言葉に買い言葉で、新婚早々離婚を決意するが、周囲になかなか離婚の決意を切り出せず、水面下で離婚に向けた活動“リコカツ”を始める姿が描かれる。

■泉澤氏「2人が言って面白くなるようなことを書くように…」

――本作品が誕生した経緯を教えてください。

植田博樹プロデューサー(以下、植田P):今からさかのぼること3年くらい前に、ちょっとお恥ずかしい話になるんですけれども、「うちは離婚はあるのかな?」という話を家族でしていたことがありまして…そんな中、「“結婚ゼロ日婚”の人が、即離婚する」というようなニュースを見て、その時に“離婚から始まるラブストーリー”を考えました。

うちの夫婦は娘が結婚したことがきっかけで離婚の話が出たので、熟年離婚ってあるんだな…と、大変お恥ずかしい話なんですけれど、自分自身の実体験みたいなところが企画の始まりです。

――この話を最初に聞いた時、泉澤さんはいかがでしたか?

泉澤陽子氏(以下、泉澤氏):日本でも“3組に1組が離婚する”といわれているくらい(離婚は)身近なことだと思っていて、「夫婦で離婚を考えたことのない人っていないんじゃないかな?」って。なので、(お話を聞いて)誰もが身につまされつつ、身近に感じられるテーマとして面白おかしくドラマにできるのではないかと感じました。

――北川景子さん、永山瑛太さんをキャスティングした経緯がありましたら教えてください。

植田P:咲の「気が強いんだけど寂しがり屋」というキャラクターを、北川さんに演じてもらいたいという思いが企画から実現までに3年かかりました。北川さんのように本音をばさばさ言っても許される説得力のある役柄を演じられる女優さんってなかなかいないと思っているんです。

また、瑛太さんですが、彼には「最高の離婚」(2013年フジテレビ系)という大名作があるのですが、あのキャラクターとは全く違う、真逆の“自衛隊キャラ”を演じてもらいたいと思っていたのです。瑛太さんは「オレンジデイズ」(2004年TBS系)という作品で知ったのですが、実は瑛太さんって男っぽい方で、その男っぽさもドラマで生かせないかと思っていたんですよね。

そこである時、咲のような美女を演じる北川さんと、瑛太さんが野獣を演じるという組み合わせを思い立ち、その面白さにこだわって、お2人のスケジュールが合うのを2年くらい待ちました。

――泉澤さんが脚本でこだわっている部分がありましたら教えてください。

泉澤氏:オリジナルのドラマを書かせてもらう機会っていうのは初めてくらいのことなので、プレッシャーも感じつつ、楽しんで書かせていただいています。

TBSさんの火曜ドラマのような作品も好きなのですが、今回は金曜ドラマの枠なので、大人が見ても楽しめるような、けっこう深い部分まで話を作っていくということを意識して書いています。

キャストが決まったことでイメージできる部分が広がったので、2人が言って面白くなるようなことを書くようにしています。個人的にコメディー要素も好きなので、いっぱい入れていきたいと思いつつ、本質はラブストーリーなので、“キュン”とする部分は大事にして、そのバランスに気をつけて描くようにしています。第1話ラストで紘一が咲を助けるシーンは、お薦めです。

■植田P「新しい人生のスタイルのようなものが提案できたら…」

――作品に込められたメッセージがありましたら、教えてください。

泉澤氏:結婚や離婚は、社会生活を送りやすくするために人間が考えた制度なのに、その制度によって生きづらくなっている人っていると思うんです。そういった人たちをひっくるめて作品に登場させることができればと思いますし、そういう制度の中で揺れ動く気持ちをドラマの中で面白く描ければいいなと思っています。

植田P:結婚って紙切れ一枚だとか、弾みだったりとか、一つの区切りみたいなものを乗り越えた感じがあると思うんです。けれども、このドラマで描きたいのは「それって結構さまつなことじゃないか?」 ってことなんですよね。

離婚を決意してから、何が気に入らないかということを咲と紘一が互いに挙げるシーンがあるんですけれど、考えてみたらこれだけだったのか…っていう。もしかしたら、離婚をすることで本当の夫婦の愛が戻るのかもしれない…そういうストーリーが生まれてきそうな気がしてきています。

離婚をしたから不幸だとか、結婚をするから幸せだとか、そういうことを超えた2人のラブストーリーを泉澤さんが紡ぎ出してくださっていると感じています。

周りの人がどのように思うかとか、国がどう決めているかということではなくて、「2人が居心地のいい関係だったらいいんじゃない?」というようなドラマが作れたらいいなって思っています。

――見どころをお願いします!

植田P:結婚はしているけれど、離婚をしようとしているという“かせ”があるというのが、これまでのラブストーリーとは違うところかな?と思っています。ラブストーリーなんだけれど、ホームドラマとしての部分がどうしても絡んでくる…「ホームコメディなの?」「ラブコメディーなの?」「ラブストーリーなの?」と、よく尋ねられるんですが、まさにそれの“ハイブリット版”ができました。

第3話からはそれぞれの“リコカツ”が動き出し、そのことによるハッピーみたいなものが出てきます。これまでのドラマだと、離婚したら弁護士が出てきたり、財産をどうするかとか、そういう展開があると思うんです。けど、泉澤さんは“人は変わっていく時に輝いていく”ということを書いてくださっています。

離婚という形が本当にいいのか?といった新しい人生のスタイルのようなものが提案できたらと思っているので、今後を楽しみにしていただけたらと思います。

第3話あらすじ

キャンプの夜、林の中で道に迷った咲(北川景子)を見つけ出し、背負って帰ってくれた紘一(永山瑛太)。どんな時も自分を守ってくれる紘一に咲は素直に感謝し、紘一も喜ぶ咲を見てうれしく思う。

そんな時、咲の母・美土里(三石琴乃)が2人の新居にやって来て「ここに住む」と言い出す。原因は夫・武史(佐野史郎)の浮気で、美土里は離婚する気だという。

一方、離婚届を残して出て行った紘一の母・薫(宮崎美子)が、箱根の温泉旅館で働いていることが判明。夫の正(酒向芳)はメンツを気にして迎えに行くことを拒否したため、紘一と咲が休暇を取って会いに行くことに。

離婚を決めていた2人だったが、初めての旅行はどこか楽しみで、周囲からも「新婚旅行」とひやかされ、まんざらでもなかった。

そんなある日、同じスポーツジムに通っている紘一と貴也(高橋光臣)はなんとなく気が合い、サウナで互いの身の上話を始める。さらに、箱根行きの前夜、紘一の職場で新婚旅行壮行会が行われ、その帰り際、紘一は部下の純(田辺桃子)から「相談がある」と言われる。

同じ頃、咲は編集長(松永天馬)に、ファッション誌の部署から小説や文学作品を扱う文芸部への異動を告げられる。

運命の出会いをした北川景子“咲”と永山瑛太“紘一”が結婚!/(C)TBS