
カリフォルニア州南部、ロサンゼルス港から南南西38kmの位置に浮かぶサンタ・カタリナ島の近海で、2万7000本もの大量の樽(たる)が発見されたという。
どうやら第二次世界大戦当時に投棄されたもので、中身は殺虫剤や農薬として使われていた「DDT」である可能性が濃厚であるようだ。
おびただしい数の樽を撮影したのは、米カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリップス海洋研究所のグループだ。
じつは古い記録から、1930年代から海洋保護法が施行された72年までの数十年間、この辺りの海はゴミの投棄場として利用されていたことが知られていた。
なにぶん深い海の底のことだ。その詳しい投棄場所や規模はこれまで不明だったが、今回、過去に堆積物や海洋生物から高濃度の有毒化学物質が検出された海域が調査された。
3月10~24日にかけて、サンタ・カタリナ島とロサンゼルス海岸に挟まれた146平方キロにわたる水深900メートルの海底を、ソナーを搭載した海底ドローンで調査。
その結果、現在では各国で使用が禁止となった、有機塩素系の殺虫剤、農薬であるDDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)が入っていると疑われる2万7345本の樽のほか、広範囲にわたって瓦礫(がれき)が発見されたとのことだ。
Tens of thousands of toxic DDT barrels found dumped in ocean | New York Post
長期的な影響は不明
尚、 海洋生物や人間への長期的な影響はまだ不明であるという。
しかし10年前に堆積物から高濃度のDDTが検出されただけでなく、それが海洋生物に取り込まれているらしいこともわかっている。
たとえば2015年の調査では、自然死したハンドウイルカの死体から、DDTなどが高濃度で検出された。そうした人工的な化学物質は、アシカで発生しているがんに関係していると考えられている。
Scientists find huge suspected toxic DDT dumpsite off California coast
References:Thousands of barrels of suspected toxic DDT found dumped in California ocean / Massive DDT dumping ground found off the Los Angeles coast is bigger than anyone thought/ written by hiroching / edited by parumo
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