―[ひろゆき連載コラム「僕が親ならこうするね」]―


◆『鬼滅の刃子どもに見せてよいか?

子どもに漫画やアニメを見せてもいいのか?」

 この議論、昔からありますが、基本的に各家庭の方針に任せてよくないですか。漫画やアニメの内容も知らないで「けしからん!」と十把一絡げにするのは、子どもに対してダメな理由をきちんと説明できていない親にありがち。あまり意味がないと思うんですよね。

 少し前に「『鬼滅の刃』を子どもに見せるのはどうなの?」というのが子を持つ大人の間で話題になりました。見せたくない派の意見としては、「首を切られる残酷なシーンのある漫画を見せていいのか」というもの。続編アニメの放送が発表され「(吉原)遊廓編は、子どもに説明できない」というものでした。

 たしかに、首がはね飛ぶグロテスクな描写のある漫画やアニメを見た際にショックを受ける子どももいると思います。そういう耐性のない子どもには見せないほうがいいかもしれません。でも、遊廓の説明ができないから見せないというのは少し違うかな、と。

 花魁は実在していましたし、普通にテレビや映画でも吉原の描写とともに出てくることもあるので、そういう事実は事実として学ばせてあげればいいと思うのですよ。

ネット動画をきっかけに歴史を知ることも

 僕は三国志水滸伝、史記や戦国時代ナポレオンフランス革命時代と、世界史日本史の知識の多くを漫画で学びました。

 最近だとネット動画をきっかけに、海外や歴史を知るという人も増えてきています。僕はイタリアルネッサンス期は『チェーザレ』、北欧のバイキング知識は『ヴィンランド・サガ』、ローマ時代は『ヒストリエ』。最近だとアイヌ民族の文化は『ゴールデンカムイ』と、漫画で知りました。

 高校生のときには『週刊少年ジャンプ』で連載していた前田利家の甥、前田利益主人公にした漫画『花の慶次』で戦国時代に興味を持ち、原作である歴史小説『一夢庵風流記』まで読んだものです。

◆普通の生活では、歴史に興味を持つことは少ない

 世の中には「歴史を知りたければ、漫画ではなく、歴史書を読むべき」と考える人もいるかもしれません。でも、普通に生活していたら歴史なんかに興味を持つ機会は少ないです。でも漫画の力を借りれば、子どもも「読んでみよう」となり、結果として歴史や文化を学べるわけです。

 そういう役に立つ漫画もあるのに、内容を知りもせずに否定するのは知識を得ようとすることを制限し、好奇心を殺すことになります。あまり良くないですよね。

 もちろん、「しょうもない漫画を読んでも意味がない」という意見には同意。恋愛漫画を読んでも、何の知識も増えないので無駄だと思っていたりもしています。

◆下品なことから遠ざけるのは不可能

 だからといって、止めることも難しいです。

「下品な描写のある漫画を子どもに読ませるとマネをするから、読ませたくない」と親が考えたとしても、子どもは親にバレないようにどこかで見ます。そもそも下品なことから遠ざけるなんて、学校に通っている時点で不可能です。

 どうせ覚えてしまうのなら見せても問題ないし、下品なことを覚えたからといってすべての子どもがマネするとは限りません。もっと自分の子どもを信じてあげたらどうですか?

 業界団体による年齢制限とか推奨年齢とかも、その基準がどの子に対しても正しいってものではありません。だから、下品や残酷を理由に制限して、子ども好奇心を殺す必要はないと思うのですよ。

ひろゆき
西村博之(にしむらひろゆき)’76年、神奈川県生まれ。フランス在住、たまに日本。2ちゃんねるニコニコの元管理人で、英語圏最大の掲示板サイト『4chan』現管理人。SPA!誌面にて11年間にわたり「ネット炎上観察記」を連載。近著に『自分は自分、バカはバカ』(SBクリエイティブ)など

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『鬼滅の刃』映画公式HPより