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(写真:時事通信

「収益のほとんどを自分たちのものにし、費用は全て開催国に押し付けている」

こうIOC国際オリンピック委員会)を痛烈に批判したのはアメリカの有力紙『ワシントン・ポスト』。これは5日の同紙(電子版)に掲載されたコラムで書かれたもの。

開催まで80日を切るも、東京オリンピックパラリンピックへの不安は高まるばかりだ。

日本国内の新型コロナウイルス感染者数は増加の一途をたどり、6日に政府は緊急事態宣言の期限が5月31日まで延長し、対象都道府県も6都府県に拡大する方針を固めた。

5日には、東京都知事選に3度出馬した弁護士・宇都宮健児氏(74)が五輪開催中止を呼びかけるオンライン署名を開始。わずか1日で10万筆も集めるなど、大きな反響を集めた。

しかし、主催するIOCからは日本国民の心情を逆撫でする発言が相次いでいる。各メディアによると4月22日IOCのトーマス・バッハ会長(67)は緊急事態宣言が発出される方針を受けて、「五輪とは関係ない」と発言。28日にも緊急事態宣言について「日本国民を守ろうとしているということ。称賛したい」と他人事のようなコメントをしていたという。

そんなIOCへのワシントン・ポストの批判は冒頭のものだけに留まらない。同紙はバッハ会長について“ぼったくり男爵”と揶揄し、IOCを「地方行脚で食料を食い尽くす王族」とたとえた上で「開催国を食い物にする悪癖がある」と批判。

また開催に否定的な日本の世論や、ひっ迫した医療体制などについてもふれ、「新型コロナウイルスが世界的に流行する中でオリンピックを開催することは非合理的な決定だ」と綴っていた。

こうしたIOCへの怒りの声は世界中からも集まっている。

イギリスの高級紙『ガーディアン』は3日の紙面で、「医療界からの悲鳴は、日本でパンデミックが悪化し続けているにも関わらず、IOCや主催者が疲れ果てた医療従事者に耐え難い負担をかけている可能性があるという警告だ」と開催に疑問符を唱えた。

またドイツの『南ドイツ新聞』も4月30日、「IOCと日本政府は、全体を公平に見ることができない」と、偏った視点から五輪開催を強行していることを伝えていた。

一貫して無責任な姿勢を貫き続けるIOC。果たして世界中からの批判にどのように向き合っていくつもりなのだろうか――。