下請けの下請けでゲームボーイアドバンスソフトの開発に携わったことがあるので、そのときの様子をお伝えしたいと思います。なかでも、「最短で作ってくれ」と言われたときの開発をお話しいたします。

大手メーカーの下請けでソフトハウスが開発を担当することになりました。そのソフトハウスの下請けでストーリー(シナリオ)とゲームデザインをすることになりました。最低でも半年は期間があると思っていたのですが、信じられないことに……。

4か月で作るとのことでした。実質の開発期間は3か月程度で、すぐに発売するそうです。で、メーカーの担当者に言われたのが「こだわらなくていいからカタチにしてくれ」ということ。つまり「発売延期」だの「作り込んで完成度を高める」などの行為はありえないということです。

でも「とりあえず完成させる」ことを目指して開発が進みました。どんなゲームも完成を目指すのが当たり前ですが、こんかいの開発はいつもとは何か違います。開発期間が少ないのにストーリーもののゲームなので、頭に浮かんだものをどんどんストーリーやシナリオ、ゲームデザインに突っ込んでいきました。

しかし「こだわらなくていいからカタチにしてくれ」というスタンスでありながら、メーカー担当者はいろいろと注文をつけてきました。しかし「ならもっと時間がほしい」と突っぱねることはできません。アーティスティックな考えは入れられないし、受け入れられないのです。さらに小さなソフトハウスがメーカーに文句を言うことはできません(少なくともここのソフトハウスは)。

3か月じゃ難しいと思っていたのですが、なんとか作ることができました。なんとかなるものです。『週刊ファミ通』のレビューもそこそこ良かったと思います(記憶が正しければ)。そのときはなんとかなりましたが、メーカーがソフトハウスにムチャな要望を言ってくることが多々あるのです。次の機会があれば、もっとムチャなメーカーの要望をお伝えしたいと思います。

聞き手: Pinky

※この記事は、ガジェ通ゴールドラッシュの「pinky」が執筆しました。