東京オリンピック開催をめぐり、国民からは中止にすべきとの声が多く出ているが、海外の人々はオリンピックについてどのように思っているのだろうか。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の出身国ドイツでも、オリンピックに関する報道は出ているが、日本ほど多くはないようだ。

 現在ドイツでは、新型コロナウイルス関連の報道がほとんどで、テレビやネットニュースを見てもオリンピックに関するニュースがメイントピックとして扱われていることはあまりない。報道されるのであれば、“日本の政府はオリンピックを開催したいと考えているが、多くの国民は反対している”という内容のものがほとんどである。

 オリンピックに関する報道があまりない大きな理由は、そもそもドイツ国民の多くがオリンピック開催は不可能だと考え、すでに彼らの興味から外れているからだろう。現地在住の日本人によると、新型コロナウイルスの収束の糸口が見えないにもかかわらず、現段階でもオリンピックを開催しようといまだに考えている日本政府の様子を見て、ドイツ人からは「日本政府は頼りなさすぎる。多くの日本人が反対しているというニュースを見たけど、日本人は政府に世論を無視されていてかわいそう」「開催なんて絶対無理なのに政府は開催に対していまだにあいまいな態度で迷走している。ドイツだったら大規模なデモが起きている」「ドイツは今年9月のオクトーバーフェストの中止をすでに発表したけど」などと言われ、同情されたそうだ。

 またドイツのSNSをのぞいてみると、笑って涙を流す絵文字付きで「日本はまだ全然ワクチンを接種していないのにオリンピックなんて無謀すぎ」「政府に踊らされる日本人。日本人じゃなくてよかった」などの投稿が見受けられる。前出の在独日本人はこういった状況について「オリンピックを開催しようとしている日本を笑いものにしているようです。皮肉を交えたジョークのつもりで、『日本はオリンピックやるんでしょ?』と言われることもあります」と話した。

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 ただ、ドイツ国民は日本人ほどオリンピックに熱がないという面も無視できないだろう。ドイツではサッカーワールドカップサッカー欧州選手権などサッカーに対する熱の方が強い。今年に限らず、サッカーのイベントごとの方が店のディスプレイサッカーイベント仕様に派手に装飾されたり、観戦イベントが各地で行われたりと盛り上がる。現地のドイツ人は「サッカーワールドカップがコロナ禍で中止になってしまったら反対運動が起きるだろう」とどれほどサッカーが大切なのかを伝えていた。

 東京オリンピックの開会式まで80日を切ったが、開催に対して否定的な声は日本国内でも多い。政府は開催の意向を示しているが、そんな政府の姿は一部の海外の人たちに笑いものにされているようだ。

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