3度目の緊急事態宣言が延長、まん延防止等重点措置も発令で自粛が続く日本。これまで取材してきた新型コロナの影響が直撃し困ってる人々を今一度振り返りたいと思う。コロナ解雇にあった年収600万円40代の声、そして専門家の分析とともにコロナ解雇の実態に追った、2020年7月5日記事を再掲載する。

◆再就職活動に励むも、73社全敗中

▼清田徳明さん(仮名・44歳)職種:飲食チェーン/役職:課長級/失職理由:解雇/年収:600万
飲食チェーンにてアルバイトから正社員登用され15年間勤務。日中はもっぱら自室で求人サイトを眺めエントリーを続ける日々を送る
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 2020年5月末に発表された4月の有効求人倍率は1.32倍で4か月連続で減少。日本の労働市場が急速に悪化している現状も数字となって現れ始めていた。

 関東圏を中心に展開する飲食チェーンエリアマネジャーを務めていた清田徳明さん(仮名・44歳)も悪化する状況を肌で感じている。緊急事態宣言の延長が発令されたGW明けに解雇通知され、転職サイトを経由して73社へと応募を続けているが、面接まで行ったのはたったの2社だった。

「解雇されてからの2週間で50社に応募しましたが、6月に入った時点で返答は1件もなし。年齢的に厳しいことは重々承知していましたが、ここまで何もないものなのかと。20歳から24年間必死に働いてきたつもりですが、解雇され、再就職市場でも黙殺され、自分の人生を完全否定された気分になって滅入りますよ」

 再就職活動を始めた当初は「10年以上働いてノウハウもある飲食業に再び戻りたい」と考えていたが、コロナ禍においてマネジャー級の募集は皆無。そこから製造、小売り、印刷、食品加工、ホテル、娯楽、タクシーと「ほとんど選り好みせず、手当たり次第に応募した」というが、それでも面接へと繋がる連絡は一切なかったという。

「転職エージェントとも面談しましたが、『精神的に堪えますが、今は諦めずに耐えるしかありません』と励まされるだけ。たまに企業側からのスカウトメールも届きますが、短期契約での介護職や住宅系の営業ばかり。最近になってようやく面接が2件決まりましたが、どちらも1次で不採用の通知が届きました」

 2人の小学生の子供には無職状態にあることは告げておらず、「パパも流行りのテレワークだよ」と嘘をついて自宅で転職サイトを眺める日々を送っている。

「こんな状況、ひとりだったらとっくに死んでいるかもしれません。家族にいい思いをさせてあげたいけど……自分が情けないですね」

◆本格的な正社員解雇の嵐は2021年以降!?

 コロナ解雇の深刻さはまだ始まったばかりだ。全国コミュニティユニオン連合会の会長を務める鈴木剛氏は「正社員のコロナ解雇はこれからが本番」と断言する。

リーマン・ショック時もそうでしたが、経済危機下において先にクビを切られるのは派遣社員契約社員の非正規雇用者。そこから3~6か月のタイムラグがあって、だんだんと正社員が切られていきます。私たちのユニオンに非正規労働者からの派遣切り・雇い止めの相談が急増したのは4月に入ってから。企業側からすると、現在はまだ非正規労働者を整理している段階です。

 それでも採算の目処が立たない。変わらず業績が苦しいとなったとき、いよいよ正社員が整理され始める。コロナ収束の見通しが立たない以上、コロナ解雇の件数は、2020年いっぱい右肩上がりで増え続けると考えられます」

 経営コンサルタントの中沢光昭氏も、コロナ解雇が一段落し、企業の採用活動が再開するのはまだまだ先だと見る。

「業績が落ち込んだ企業はもちろん、コロナの第2波、第3波を恐れて採用に及び腰になっている企業が採用活動を再開するためには、コロナの収束が絶対条件となります。理論上、完全にコロナ感染を防げるワクチンか、感染してもすぐ治療できる薬が世界中に普及しない限り、コロナ収束とは言えません。

 そうした状況になるのは、早くとも2021年以降のはず。それまではどの企業も採用を控え続け、コロナ解雇された人々の苦境は続くのではないかと考えています」

 解雇されるも地獄、そこから再就職活動に励むもまた地獄。労働市場に吹き荒れる解雇の嵐の前に、希望の光は今のところゼロということか。世界中で未曾有のパンデミックを引き起こしたウイルス同様、コロナ解雇の病理は相当に根深い。

【経営コンサルタント・中沢光昭氏】
経営コンサルとして活動する傍ら、経営者として破綻会社などの再建・変革実績を多数持つ。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社新書)など

【労働運動家・鈴木 剛氏】
全国コミュニティユニオン連合会会長。労働組合が再建した企業等の役員を務めている。著書に『中高年正社員が危ない』(小学館101新書)など

<取材・文/週刊SPA!編集部>
2020年7月5日記事を再掲載。専門家の分析は取材時の状況です

―[コロナ禍の日本]―


自宅にい続けても息が詰まるので、最近は近所の公園でスマホ片手に時間を潰す。とはいえチェックしているのは求人情報サイトだった