緊急事態宣言慣れした街の人々

 東京、大阪など4都府県で発令された緊急事態宣言下での2度目となるゴールデンウィーク羽田空港東京駅では目立った混雑はなかったものの、昨年のゴールデンウイークと比べると各地で人出が増加しているようだった。酒類を提供する飲食店は休業が要請され、それ以外は午後8時までの時短営業となったわけだが、夜の街ではどのように変化したのだろうか。緊急自体宣言よりも一足早く、「まん延防止等重点措置」が適用されていた大阪・兵庫の夜の街で働く人達に話を聞いた。

◆生活がかかっているからありがたいが……

 話を聞いたのは大阪・梅田のキャバクラに勤務する20代の女性。今回の休業要請について、このような不満を漏らした。

「『マンボウ』のときは午後8時までの時短営業で今回は休業要請となったのですが、梅田の飲み屋は宣言下でも通常営業している店が少なからずあります。キャバクラももちろん例外ではなく、うちの店も罰金覚悟で営業しています。働き手側からしたら生活がかかっているのでありがたいのですが、開いている店が密になってしまうので感染への不安はありますね。

 特にお客さんからは『もう、麻痺しちゃったよね』という声も多く、接客中につけているフェイスシールドを『外してよ』と言ってくる人も。中には普通にマスクを外して飲んでいるお客さんもいて、店側が注意しても、すぐに顎マスクに戻ってしまいます。見回り調査が来るのであれば対面接客に変えたほうがいいと思うのですが、お客さんに言いづらいですよね」

 彼女が働くキャバクラは今の時点では『見回り隊はまだ来ていない』という。

◆バレるまでは続ける

 一方、大阪市内のキャバクラに勤務する30代の女性からはこんな話も。

緊急事態宣言が始まって2週間弱が過ぎましたが、知り合いのキャバクラは休業要請を無視してマンボウのときからすでに夜10時まで営業していると言っていました。1日6万円の協力金と言われても従業員がキャスト合わせて10人以上いるので、どうしようもできないのだとか。

 休業に応じない場合は30万円以下の罰金だそうですが、見回り調査で2回以上注意されたら罰金だという話を聞くのでバレるまでは営業を続けるそうです。GWに入り、他に飲みに行く店がないのかお客さんも増えているようです。看板は出さずに黒服が街に立って、客引きをしていると聞きましたね」

◆大阪はノンアルでも商売ができるが近隣地域では無理

 大阪でも梅田などの繁華街では緊急事態宣言下でも多くの人の姿があった。「罰金覚悟で休業に応じない」という店がある一方で、対象的だったのは兵庫県尼崎。「まん延防止等重点措置」からの対象地区でもあった尼崎は大阪と神戸の中間にあり、阪神尼崎駅周辺には多くの飲み屋やスナックが軒を連ねている。

 しかし、「まん延防止措置」初日に市の職員が駅前商店街を見回りしたことで、今では街のネオンが消えてひっそりと静まり返っている。スナックでママを努める女性にリモートで取材を行った。

「大阪ならお酒を提供しなくても定食を出したりカフェ営業として店を開けたら、お客さんは来ると思うんです。午後8時までだとしても定時上がりの会社員の人なんかは行くと思います。でも、尼崎は大阪や神戸に勤める人のベッドタウンなので飲みに来るのは夜9時以降。うちの店も今年の1月まで週末営業をやっていたのですがお客さんが全然来なくて、もう3ヵ月以上休業しています。

 それに『マンボウ』からカラオケも自粛しないといけないと聞いているので、緊急事態宣言が解除されても以前のような営業スタイルに戻すのには難しいと思います。スナックに来るお客さんはカラオケを楽しみに来る人が多いので、そこを自粛となると『店に来てほしい』ともなかなか言いづらくなりますよね」

 今回、取材して感じたことは「まん延防止等重点措置のように見回り調査はまた来るのか」という疑問が多く上がったことだ。仮に来たとしても宣言解除後、カラオケの自粛はどこまでがOKなのか、フェイスシールドカウンター越しだけでも問題ないのか……といった戸惑う声が多く聞かれた。

 曖昧な基準のまま適用された「まん延防止等重点措置」から、今回の3度目となる緊急事態宣言感染者の増加を抑え込むことに本当に効果はあるのだろうか。

〈取材・文/カワノアユミ〉

【カワノアユミ】
東京都出身。20代歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。裏モノ・夜ネタを主に執筆。アジア日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。ツイッターアカウント@ayumikawano

休業要請を受けて店を閉める阪神尼崎のスナック街