犬は飼い主に忠実なだけでなく、仲間に対しても強い愛情を持ち、困っているときは全力で助けようとする思いやりを持っている。
このほど南アフリカで、そんな犬の美しい友情と我慢強さを思い知らされる出来事が起きた。飼い主が留守中、自宅にあるプールに落ちた小型犬をなんとか助け出そうと、仲間の犬がつきっきりで励ましながら、試行錯誤を続け、30分以上かけて救助に成功したのだ。
プールの中でずっと犬かきの状態でなんとかふんばっていた小型犬だが、もう少し救助が遅ければ、溺れてしまったかもしれない。
犬が濡れていることで監視カメラの映像をチェックした飼い主は、根気強く仲間の犬を助けようとする犬の姿を見て思わず涙があふれたという。
【うっかりプールに落ちて危機一髪の状況になった13歳のポメラニアン】
夫妻は3匹の犬を飼っており、いずれも泳ぐことはできるが、プールで遊ばせる時にはつねにそばで見守っており、犬が勝手にプールに入って遊ぶようなことはなかった。
不審に思った2人が監視カメラを確認してみると、そこには驚くべき光景が。
プールサイドを歩いていたチャッキーが、うっかり脚を滑らせてプールの中に転落してしまったのだ。
チャッキーが落ちた場所にはプール内に階段があり、普段チャッキーはその階段の浅い部分で遊んでいた。
普段なら、そこから自力でプールサイドに上がることができるのだが、突然のアクシデントにパニックになったのだろう、チャッキーは脚が届かない深い部分へと泳いでしまった。
必死でもがくように泳ぐチャッキーだが、13歳という老犬のため体力には限界がある。しかも飼い主は不在だ。
そんなチャッキーの危機一髪の状況に気が付いたのは、仲間のジェシーだ。
根気強くチャッキーを助け出そうと奮闘するジェシー
スタッフォードシャー・ブル・テリアのジェシー(7歳)は、バイロンさんとメリッサさんが4年前に地元の動物保護施設SPCAから引き取った保護犬で、ジェシーにとって夫妻は3番目の飼い主だった。前の飼い主は、ジェシーが他の犬と仲良くできないという理由で保護施設に戻したそうだ。
しかし、夫妻に引き取られたジェシーは、初日からすぐに夫妻の2匹の犬と仲良くなった。ジェシーにとって、チャッキーは大事な友達だ。
普段、泳ぐことができるが、水を怖がる癖があるジェシーは、プールに入らずになんとかチャッキーの窮地を救おうと試行錯誤していたようだ。
決してプールから離れようとせず、チャッキーがプールサイドに近づくと駆け寄っていく。それを何度も繰り返した後、チャッキーの耳をくわえて引き上げることを試みた。
しかし、水で滑ってうまくいかず、ジェシーは飼い主に助けを求めるかのように吠えるが、飼い主はいない。
何としてでも自分が助けなければ…そう思ったのか、ジェシーは何度もチャッキーの体をくわえてプールサイドに引き上げようとしている姿が監視カメラに捉えられている。
そうこうしているうちに34分後がすぎた。チャッキーの体力も限界に近づきかけたその時、ついにジェシーはチャッキーの救助に成功した。
仲間を絶対に助けたいという強い、そして諦めない気持ちが、チャッキーの命を救ったのだ。
プールから上がったチャッキーの体をチェックするかのように顔を近づけていたジェシー。やがて二人は寄り添いながらプールから移動していった。
事故防止のためにプールにカバーをすることに
チャッキーとジェシーは、その後庭の方へと駆けていく様子がカメラに収められていた。その間もずっとジェシーはチャッキーに寄り添っていた。監視カメラを確認して、改めてチャッキーが無事であったことに安堵したバイロンさんとメリッサさんは、犬が犬を助けたこの救出劇について、後のメディア取材で次のように話している。
ジェシーがいなければ、チャッキーは溺死していたことでしょう。これまで、プールにカバーが必要だとは思いもしていませんでしたが、今回の件でそれはとても重要なことなのだと気付かされました。
プールには、すぐにカバーをつけることにしました。
夫妻だけでなく、この動画を見た多くの人が、ペットとカバーのされていないプールは危険と隣り合わせになる可能性があることを実感したようだ。
しかしそれだけでなく、犬がいかに我慢強く、仲間を思いやる気持ちが強いかということにも改めて気づかされたようで、シェアされた動画を見た人たちからはジェシーを称賛する多くの声が相次いでいる。
written by Scarlet / edited by parumo
追記:(2021/05/10)本文を一部訂正して再送します。
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