皆さんはいまだ続くコロナ禍の中、感染対策をしながら、少しずつでも外食を楽しんでいるだろうか。出された食事の量が思ったより多かったり、苦手なものが入っているときは、「残してもよいか」、「同伴者やお店に失礼ではないか」と対応に迷うことがあるかもしれない。「教えて!goo」にも、「外食で残すのは、印象が悪いですか?」と質問が寄せられていた。そこで今回はマナー講師である矢部恵子さんに、外食で食事を食べきれそうにない場合、同伴者やお店に対してどのようにふるまうのがよいか話を聞いた。

■同伴者への適切なふるまい

家族や友人、職場の上司などとレストランへ食事に行き、頼んだメニューを食べきれそうにない場合はどうすればよいだろうか。

「同伴者が気心知れた人なら、『お腹いっぱいで食べられそうにない』、『よかったら食べてくれない?』と言いやすいですよね。一方、上司との会食などの場合はどうふるまうべきか迷うかもしれません。もともと食が細い場合や食欲がないときは、注文する際『少なめでお願いします』と伝えるとよいでしょう。残すことはマナー違反ではありません。しかし食べきれそうにないことがあらかじめわかっていれば、先に伝えておいたほうが気持ちよく食事の時間を過ごせます」(矢部さん)

矢部さんいわく、早めに伝えられなくても気にしすぎる必要はないとのこと。

「食べようと思っていたのに残してしまった場合も、『おいしかったけれど、お腹がいっぱいになってしまって……』と伝えれば問題ありません。無理して完食したり、気を使いすぎないでください。食事の席では、同伴者と心地よく、楽しく過ごすことがいちばん大切です」(矢部さん)

食べきれないことを素直に伝えても、失礼な行為にはならないとわかり安心した。

■レストランへの適切なふるまい

では、お店に対してはどのような気遣いが適切だろうか。

「食事を残してしまい心苦しく感じる場合は、スタッフがお皿を下げるときやお会計のときなどに、『おいしかったです。でも食べきれずごめんなさい』などと伝えましょう。そうすれば、後ろめたさを感じず再訪しやすくなりますよね。とはいえ、同伴者への対応同様、あまり気を使いすぎず、食事を楽しむことを優先してください」(矢部さん)

では、食べ残しをテイクアウトにしてもらうのは、マナーの観点から見てどうだろうか。

「アメリカなどでは『ドギーバッグ』という繰りかえし使える容器を持ち歩き、食べ残しをテイクアウトする文化が浸透しています。お店や料理、食材によっては持ち帰れない場合もありますが、日本でも食品ロスや環境問題などに取り組む企業やお店が増えてきています。持ち帰り可能か、お店の方に気軽に相談してみてください。もちろんマナー的にもまったく問題ありません」(矢部さん)

日本でもドギーバッグ普及委員会という団体が2009年から活動している。食品ロスを減らすことに加え、「適量注文を心がけよう」、「持ち帰ったあとも大切に食べきろう」という趣旨があるそうだ。日頃からそういったことを心がけ、テイクアウトも上手に取り入れながら、外食をさらに楽しめるとよいだろう。

●専門家プロフィール:矢部 恵子(銀座フィニッシングスクール ティアラファクトリー
㈱エリタージュ代表取締役。パークハイアット東京勤務後、スイスにて就職。帰国後、外資系証券会社勤務を経て、銀座フィニッシングスクール ティアラファクトリーを設立。現在は、銀座校・パリ校にて、上質なプロトコールマナーを指導している。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)