絶滅危惧種の野生生物を間近で見ることができる機会を得ることは、幸運と呼べるかもしれない。しかし、アメリカ・カリフォルニア州の住民は、そうそう喜んでばかりいられないようだ。
絶滅危惧種に指定されている巨大なカリフォルニアコンドルが、15羽以上で民家のウッドデッキに襲来。
植木鉢などの物を壊したり、至る所に糞をまき散らしたりして住居を制圧中なのだという。『Fox News』などが伝えている。
カリフォルニア州カーン郡テハチャピに住むシンダ・ミコルズさんは、自宅テラスのウッドデッキに15~20羽にもおよぶ巨大なカリフォルニアコンドルが襲来し、驚いた。
カリフォルニアコンドルは、世界最大の猛禽類の1つで、1967年からアメリカ合衆国連邦法により、また1971年からはカリフォルニア州法によって絶滅危惧種として保護されている鳥だ。
翼を開くと2.7メートル、全長最大1.4メートル、体重14kgにまでなる巨大なカリフォルニアコンドルが、シンダさん宅に降りて来ては、デッキに止まって寛いだり、物を壊したり、至る所に糞をまき散らしているという。
シンダさんの娘シエナさんは、5月5日に自身のTwitterでこの様子をシェア。
Over the weekend ~15 California condors descended on my moms house and absolutely trashed her deck. They still haven’t left. It sucks but also this is unheard of, there’s only 160 of these birds flying free in the state and a flock of them decided to start a war with my mom 😭 pic.twitter.com/bZyHsN58Bk
— Seana Lyn (@SeanaLyn) May 5, 2021
画像を見ると、タグのついたカリフォルニアコンドルが何羽もシンダさん宅のウッドデッキにいるのがわかる。
このタグは、保護されている鳥の特徴で、どの繁殖プログラムに属しているかを追跡する目安になるそうだ。
She does think this is pretty amazing but also the worst. They don’t have to leave her property but leave the house alone. They keep hanging out on her roof and railings messing with stuff and pooping everywhere. Trees are fine but not the house please 🙏 pic.twitter.com/QhE9XVERZF
— Seana Lyn (@SeanaLyn) May 5, 2021
鳥たちは、シンダさんが姿を見せても一向に怯えることなく、ウッドデッキや屋根の上に居座り続けていたようだ。
シエナさんのツイートには、「保護下にある絶滅危惧種の鳥の姿をこのように仲間で見ることは素晴らしいことではあるが、自宅の植木鉢を破壊されたり、網戸やウッドデッキの塗装に損傷を与えられたりすることに、母はほとほと困り果てている」と綴られてある。
絶滅状態を免れたカリフォルニアコンドル
シエナさんのTwitterには、カリフォルニアコンドルの繁殖・保護活動を行っているアメリカ合衆国魚類野生生物局が、次のように回答した。
シンダさんの自宅は、ちょうどコンドルの歴史的な生息地に建っているようです。コンドルがシンダさんの自宅に来るのはそうした理由からです。もし、このような事態が再発した場合、お宅の損傷を防ぐためにホースで水をかけたり、スプリンクラーを使用してみてください。
また、拍手や叫び声をあげたり、案山子を置いたりして、直接コンドルを傷つけない方法で追い払うようにしてください。野生のコンドルには触れないことをお勧めします。
このアドバイスを受けたシンダさんは、早速屋根に止まっていたカップルのコンドルにホースで水を撒いてみたところ、鳥は飛び去り、近くの木々に避難したようだ。
Good morning to everyone especially my mom who gave these two condors on her roof a “shower” this morning with a hose. Now they’re back chilling with the rest of the flock on her tree. Watching. Waiting. Doing condor things pic.twitter.com/dU9NPcsFGd
— Seana Lyn (@SeanaLyn) May 6, 2021
以降、彼らはシンダさん宅への制圧をやめ、民家上空を旋回しているだけの状況が多くなったことをシエナさんはTwitterで報告している。
Mom had to run errands and leave the house. Thankfully they didn’t trash it the moment she left but she did return home to 6 circling overhead. Our theory is they go off to do condor things like look for food during the day but they always return for cocktail hour in the evening pic.twitter.com/LNvb4qDhWK
— Seana Lyn (@SeanaLyn) May 7, 2021
なお、このカリフォルニアコンドルは今も絶滅危惧種に指定されてはいるが、個体数が回復した、いわゆる保護の成功例のひとつだ。
1980年代には数十にまで減少していたこの鳥は、野生生物保護活動家らの献身的な繁殖プログラムの導入によって、絶滅寸前の危機から救われたのだ。
現在、アメリカに野生のカリフォルニアコンドルが300羽しかいない。飼育下のものと合わせても500羽しかいない希少な鳥だ。
そのうちの15羽も集まるなんてこれは奇跡に近いが、居座られた住人としては困惑してしまうのもわからないではない。
written by Scarlet / edited by parumo
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