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 アメリカ国内では銃を規制すべきか、せざるべきか、この種の議論が毎日行われている。銃規制賛成派も反対派も説得力のある強力な論拠を持ち合わせており、この論争の決着はなかなかつきそうにない。悲劇的な事件がニュースで流れるたびに更に銃に関する議論は白熱する。

 海外サイトにて、銃に関する統計をもとにした15の事実が紹介されていた。この統計はすべて2016年1月1日付けのもので、2015年を対象としている。

 アメリカ国内で銃によって死亡した人とアメリカが関わった戦争で死亡した人ではどちらが多いのか?よちよち歩きの幼児はどれくらいの頻度で発砲事故を起こすのか?それらの事実が明かされている。

【15.2015年度だけで372件の銃乱射事件があった】

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 アメリカでは2015年で372件もの銃乱射事件が起きた。被害者の合計数は1,870人にものぼり、死者数は475人。

 銃乱射事件追跡データベースでは、正確な数が分かるよう、すべての事件の統計を記録している。銃乱射の定義は、「1つの事件で4人以上を殺害または負傷させた事件(発砲者も含め)」である。総件数372件というのは、アメリカ国内における1日発生件数が1件を上回ることを示している。とても恐ろしい現実である。

 ハーバード大学の損害防止研究センター(Injury Control Research Center)によると、アメリカ人の22%(5人に1人以上)が銃を所持していると言う。そのうち25%の人は5丁以上の銃を所持しており、8%は10丁以上の銃を所持しているそうだ。10丁以上の銃を所持しているアメリカ住民はデンマークに住む人の数よりも多いということになる。

14. 2015年度だけで学校での発砲事件は64件あった

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 銃に関する暴力事件を研究している「エブリタウン・フォー・ガン・セーフティ・リサーチ(Everytown for Gun Safety Research)」の調べによると、2015年度アメリカ国内の学校で起きた銃事件は64件あったという。2012年のコネティカット州、サンディフックの小学校で起きた悲劇の後、この団体は銃事件に関する正確な数字を記録し続けた。この数字は死亡者や負傷者に関係なく、(つまり死者や負傷者がが出ていない場合でも)学校で起きた銃発砲事件の数を示している。

 2015年12月16日、アメリカ連邦議会はサンディフック事件の被害者に対し25回目となる黙とうを行った。しかし、黙とうを25回行っただけでは悲劇は防げない。そして黙祷を行うたび、議会員に対する国民の反発が起こる。黙とうだけでその後何のアクションも起こさない議員たちへの怒りからきている。

 彼らが何をしようと(何かすればの話だが)銃による暴力は止まないというのが一般常識らしい。しかし、完全に阻止はできなくとも軽減する手段を講じることはできるはずだ。しかし、全米ライフル協会が議員たちを支持し、1300万ドル(約137億円)もの多額な献金する限り何も変わらないだろう。

13. 2015年度だけで銃で死亡した人は1万3286人以上

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 ちなみにこの数字は2015年度の最後の週は含んでいない。「ガン・バイオレンス・アーカイブ」の報告によると、アメリカで去年、銃により死亡した人の正確な数は1万3286人だ。最後の週も足せば、その数はさらに増えるだろう。負傷した人の総計数は2万6819人。この数字には銃で自殺した人は含まれていない。なので自殺人を加えたらこの数はさらに増える。

 FBIによると、盗まれた銃が発見されるのは10パーセント以下だという。不法所持されている銃のほとんどは盗まれた銃で、その数は何万にものぼるという説もある。

 フロリダのデュバル郡では2015年だけで、400丁を超える銃が車から盗まれている。そのうち60%は鍵をかけていない車内から盗まれたものだ。フロリダ州のピネラス郡では、警察官殺しに使われた銃は車から盗んだ物だった。

12. 世界一銃による殺人事件が多いアメリカ

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 2012年に発表された統計によると、アメリカでは一人当たりの銃による殺人の数は10万人あたり2.9人。一方、英国では0.1でアメリカのほぼ30分の1ということになる

 さらに詳細を見てみると、アメリカの全ての殺人事件のうち、60%は銃に関するものだった。殺人事件の半分以上である。カナダでは31%、オーストラリアでは18.2%。英国では10%だ。

 2015年の8月、米国ミズーリ州最大の都市、セイントルイスでは銃の盗難数が70%に増加。ほとんどは鍵のかかっていない車から盗まれている。

11. 戦死者よりも多い銃による死者

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 アメリカ政治の事実を公開しているタンパベイ・タイムズのプロジェクト「ポリティファクト」によると、1968年から2011年の間で約140万人が銃によって殺されている。

 この数はこれまでアメリカが参戦してきた戦争で亡くなった人よりはるかに多い。独立戦争からイラク戦争までの間で、戦争で亡くなった人の数は約120万人だ。

 多くの盗まれた銃が殺人に使われており、全米の警察も盗難の被害にあった人に対し手段をとり始めたが少しばかりぬるいようだ。コネチカット州のオレンジでは、38口径のリボルバーを盗まれた被害者に対し、危険管理の過失という軽罪を課した。リボルバーはトラックにあったようで、そのトラックに鍵はかかっていなかった。

10. テロ対策費用は約105兆円を超える

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 アメリカ国内にはおよそ3億丁の銃があると言われている。この数なら国中の人が銃を1丁ずつ持てるが、複数所持している人がいるので、前出のように実際に銃を所持しているのはアメリカ国民の22%である。

 全米ライフル協会によると、サンディフックの悲劇の後で、会員数が急激に伸びその数は約500万に急増したという。

 アメリカはテロ対策費用として2001から2014年度までの間に、約1.5兆ドル(約150兆円)の国防予算を対テロ戦争に費やしていたという。そのおかげでテロによる死亡者の数は減り、米国住民は安心するかもしれない。しかし、それでも日々の銃による犯罪を防ぐには十分な数字ではない。

 2001年から2011年まで、アメリカ国内において毎年平均して1万1385人が死亡している。この数字は米国外務省、米国司法省が発表している数である。そのうちテロによる死亡者は1年につき平均517人である。しかし、911同時多発テロ事件のあった2001年を除外するとその数は年間31人にまで落ちる。

9. 2015年度では1日に36人が銃により亡くなっている

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 2015年の12月23日時点で、アメリカ国内では5万件にのぼる銃事件があった。その死者数は1万2942人である。

 アクシデント的な発砲や殺人事件、マフィア関係、自己防衛などすべての事件を合計した数字だが、銃により自殺している約2万人は含まれていない。自殺が含まれていないとは言え、1日で36人の人が銃により亡くなっている。

8. 銃による死亡者30万1797人、テロによる死亡者71人

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 今や何らかのテロによる事件が毎日ニュースのヘッドラインを飾っている。しかし、ここ10年を振り返ると、アメリカ本土を襲ったテロ事件で亡くなった人よりも、銃により死亡した人の数の方が圧倒的に多い。

 過去10年で、アメリカ国内で銃により死亡した人はおよそ30万2000人。一方、アメリカ本土で起きたテロ事件により死亡した人の数が71人である。銃で自殺したか銃で殺された知人がいるアメリカ人は40%にものぼるそうだ。

7. アメリカ国内で銃の乱射事件が起きていない主要都市は1つだけ

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 ここでいう銃乱射の定義は、「1つの事件で4人以上を殺害または負傷させた事件(発砲者も含め)」であり、死亡者の合計数は関係ない。ここ18ヵ月で100を越える都心部で何件もの銃乱射事件が起きている。

 死亡した人の数が多くない限り、その多くは全国ニュースにはならない。地元のニュースにもならない。それほど銃の乱射事件は多発しているのだ。

 2013年以降、銃乱射事件が起きていないたった1つの都市がある。人口40万人のテキサス州のオースティンだ。ここがアメリカ全土で一番安全な場所なのかもしれない。(今のところ)

6.銃乱射事件の死亡者は銃による死亡原因の2%

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 サンディフック小学校銃乱射事件のや、最近ではオーランドやダラスの銃乱射事件はニュースのヘッドラインを飾った。1つの事件で複数の死亡者が出るとニュースにのぼる。

 しかし実際このような事件は年間の銃による死者数の約2%しか占めていない。Voxジャーマンロペスによると、銃による死亡事件の98パーセントは地元の小さなバーや、駐車場、道端、寝室で起きているということだ。

5. 日々の死者数の半分は黒人男性

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 「プロ・プブリカ」発行の記事によると、アメリカ国内における銃による日々の死者数の半分は黒人男性ということだ。しかし、アメリカ全体で見ると黒人男性の比率は6パーセントしかいない。

 バージニア州の元連邦検事のティモシー・ヒーフィー氏によると、人種によって隔離された貧しい地域で起こるためこれらの事件が報道されることはめったにないという。もし白人の高級住宅街で起こった事件ならいち早く取り上げられるだろう。

 それでもニュースになるのは一般市民からの激しい抗議があった場合だけだ。事件そのものより、どれだけ人々がその事件に関心を示しているのかがニュースの基準となるからだ。

4. 2015年に銃により亡くなった子供の数は756人

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 「ガン・バイオレンス・アーカイブ」によると2015年だけで、756人の子供が銃により亡くなっている。アメリカでは毎日18歳以下の子供が平均で2人以上亡くなっていることになる。

 さらにその数字は悲しいストーリーを物語っている。2015年に銃で死亡した子供(18歳以下)のうち、12歳以下が全体の75%を占めているのだ。さらに衝撃的なのは、この12歳以下の子供達の大半が見知らぬ人ではなく、知り合い(家族や友達)によって撃たれて亡くなったという事実である。

 2015年8月18日ミズーリ州ファーガソンで暮らすジャマイラ・ボールデン(9歳)ちゃんは、ベッドルームのベッドに横たわり宿題をしていた。その時、窓の外から発砲され、ジャマイラちゃんは殺された。だが警察はこの犯人をまだ特定できないでいる。

3. 1週間に1度の割合で幼児による発砲事件が起きる

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 2015年、ワシントンポスト誌は幼児が誤って誰かを撃ってしまう事件が1週間に1度起きていると報道した。その報告書によると、誤って自分を撃ち、死亡してしまったケースは19件(2.7週に1度の割合)、誤って自分を撃ち、怪我をしたケースが25件(2週間に1度の割合)、誤って他人を撃ってしまったケースが13件(4週間に1度の割合)、そして誤って他人を撃ち殺してしまったケースが2件あった。

 2015年で、合計59件。平均すると週に1回、幼児による銃事件が起きている。この報告書で言う幼児とは3歳児以下を指す。

 銃暴力防止の弁護士たちは銃の保管とスマートガンの規定を押している。スマートガンは所有者しか発砲できない仕組みの銃である。しかし反対勢力が強く、これらの規定が実現されるかは当面の間極めて望みが薄いという。

2. 銃は車の事故と同じくらいアメリカ人の命を奪っている

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 アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、銃は今や車の事故と同じくらいアメリカ人の命を奪っており、両者とも過去15年で、年間10万人中10.3人を殺しているという。

 それでも最近は車の安全性が向上し事故の死者数も減ってきている。だが、銃による死者数は減ってはいない。銃の普及率が増えるほど、銃による事件も増えるからだ。

1.銃による家庭内暴力

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 DVと呼ばれる家庭内暴力だが、家の中に銃がある場合事態はさらに悪化する。理性を失って怪我をさせてしまう事件が、銃の存在により殺人事件になってしまうこともあるからだ。

 どんな理由にしろ家庭内暴力は許されない行為だが、そこに銃がからむと、たいていの場合、死者が出る。その確率は銃が無い場合の12倍だ。カルフォルニア州の法務長官が発表した統計によるものだ。

 生きていれば、数時間または数日後にでも、頭を冷やし問題を解決しようとすることができるかもしれない。だが死んでしまったらもう二度とやり直すことはできない。

via:15 Shocking Gun Statistics You Won’t Believe/ translated melondeau / edited by parumo


追記(2021/5/14): 本文の一部を修正して再送します

 
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