新卒時はバブル崩壊、就職氷河期、そして今はコロナ禍リストラ、失業危機とシビアな社会人人生を歩む40代、50代の会社員。何かと板挟みになることも多く、疲弊している人も多いだろう。しかし、ここで思考停止してしまっては、あっという間に時代から置き去りにされてしまう。人生はまだ中盤戦、今から「イケてる中年」にアップデートする方法を探る!

◆中年が抱く生きづらさの正体とは

「イケてる中年」への道を探る第一歩として、「中年が何に孤独や生きづらさを覚えているのか?」という具体的な実態を把握するところから始めたい。

 週刊SPA!は、「自分の居場所がない」と感じる40代、50代男性会社員500人にアンケートを実施した。まず、Q1「おじさんと言われて傷つきますか?」では55%が「はい」と回答。おじさん扱いされることに傷ついていることが判明した。その理由を、ビジネスコンサルタントの大塚寿氏はこう分析する。

「『心が若い』と言えば聞こえはいいものの、言い換えれば『成熟していない』ということです。これは企業にも責任があり、日本企業では今の40代、50代にマネジメントの専門的な研修をほとんど受けさせておらず、気持ちがプレイヤーのままの人が非常に多い。

 それゆえ、俯瞰で見れば『まあ、実際おじさんだしな(笑)』と解釈し、大人な対応をすべきひと言に、『馬鹿にするな!』と憤ってしまうのです」

◆職場の生きづらさの原因は、自分自身にある

 さらにQ2「職場で辛いことは何ですか?」という質問には、4割近くが「仕事が楽しくない」と回答した。その背景について、ライフシフトジャパン取締役の豊田義博氏はこう読み解く。

「年功的な昇進、昇給を信じ、チャレンジしない保守的な仕事の仕方をしてきた結果とも言えます。当事者にとっては『裏切られた』という思いが強いかもしれませんが、アンケートで3割が『尊敬できる上司がいない』と答えているように、そうした仕事の仕方がつまらないと内心気づいていたはずです。

 にもかかわらず、若い頃から不満を押し殺す“心のブレーキ”ばかりを積み上げてしまい、いざ40代、50代になって変化を求められたときに“心のアクセル”を踏めない人が非常に多い。それでは自分が尊敬できないと思っている上司と何ら変わらず、後輩から慕われるはずもありません」

 また、「仕事のできない後輩が多すぎる」「後輩から尊敬されない」「かわいがっている部下や後輩がいない」といった若者とのジェネレーションギャップについて、大塚氏はこう指摘する。

マネジメントスキルセットプレイヤーとは別なので、専門的な研修を受けていない40代、50代は、基本的に“教えるのがうまくない”と思っていたほうがいい。『俺らは見て覚えてきた!』と言うかもしれませんが、その結果『給料が安い』『仕事が楽しくない』が4割では、説得力はゼロ。

 だからこそ、丁寧に説明したうえで、仕事に向き合う背中で語る、具体的なやり方を見せるなど、教えるほうにも工夫と試行錯誤が必要となります」

◆妻とのレスで、一生温もりとは無縁に

 Q3「家庭で辛いことは何ですか?」から家庭の生きづらさに目を向けると、もっとも多かった回答が「妻とのレス」だった。

「妻とはここ10年間レスで、お金もないので風俗に行ったり不倫することもできない。自分はこのまま女性の肌の温もりを感じることなく一生を終えるのかと思うと気持ちが塞ぐ」(50歳・小売り)といった悲痛な声が寄せられた。夫婦問題カウンセラーの高草木陽光氏は、こう話す。

「辛辣なことを言うようですが、家庭を顧みず、寄り添うことを怠った結果でしょう。もし家事・育児を妻に丸投げしてきたのであれば、夫はいない人と同じ。家事・育児を任せて成立するのは、それだけの収入があってこそです。

 妻も女性ですから、体を許すには『頼りになる』『大切にしてくれる』などの安心感が必要。まずは、どう信頼回復するか。妻をもう一度口説く気持ちで、地道に積み重ねるほかありません」

◆生きづらさの根底にあるものとは

 こうした悩みの背景を、大塚氏は「社会的な問題」と指摘する。

諸悪の根源は収入が少ないこと。自分たちよりも上の世代は『働いていれば管理職になり、それなりの給料をもらって戸建てに住み、子供を育てながら飲み歩いたり、趣味に生きたり』という余裕がありました。

 しかし、40代、50代の半数以上が年収600万円未満となった今、そうしたライフモデルは実現不可能です。ところが、男女間の雇用格差が残っている世代でもあるので、家計における男性の責任は依然として重い。

 結果、給料は上がらないのに、住宅ローン、教育費、老後資金など『稼ぐこと』へのプレッシャーばかりがのしかかるという悲惨な状況です」

Q4「プライベートで辛いことは何ですか?」でも「お金がない」が圧倒的な生きづらさの根源に。だからこそ、我々中年は「お金に頼らないイケてる生き方」を真っ先に見つける必要があるのだ。

ライフシフトジャパン取締役 豊田義博氏】
リクルートワークス研究所特任研究員。高知大学客員教授。共著に『実践!50歳からのライフシフト術―葛藤・挫折・不安を乗り越えた22人』(NHK出版)など

ビジネスコンサルタント 大塚 寿氏】
エマメイコーポレーション代表取締役。著書に『できる40代は、「これ」しかやらない 1万人の体験談から見えてきた「正しい頑張り方」』(PHP研究所)など

【夫婦問題カウンセラー 高草木陽光氏】
HaRuカウンセリングオフィス代表。カウンセリング数は8000人超。著書に『なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか』(左右社)など

<取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/髙橋慶佑 アンケート協力/パイルアップ>

―[[イケてる中年]の肖像]―


※画像はイメージです