バイクのことを「単車」と呼ぶことがありますが、車輪が2つあるにもかかわらずなぜ「単」という字が付くのでしょうか。その語源は、古くまでさかのぼります。

何気なく使っていた言葉の本当の意味

バイクやスクーターなど、原動機付きの二輪車を「単車」と呼ぶことがあります。単車の「単」とは、一体何を意味しているのでしょうか。また、この呼び方はいつからあるのでしょうか。

「単車」という別称の起源は、おおむね第二次世界大戦前後のようです。当時は、バイクの側方に「サイドカー」、つまり「側車」を取り付けて走ることが多い時代でした。オートバイ事情に詳しいジャーナリストによると、側車つきに対してバイク単体で走ることから「単車」と呼ばれたそうですが、たとえば次のような諸説もあるといいます。

・エンジンのシリンダーが1本だけの当時に、「単気筒」から
・回転数に乏しく、「タンタンタン」といった音を出していたことから

ただ、さすがに信ぴょう性の薄い説もあるとのことでした。

なお「タンタンタン」説については、それを補強するような事実もあります。「バイクのふるさと」と呼ばれ、大手バイクメーカー3社(ホンダヤマハスズキ)を生んだ静岡県浜松市では、バイクを別名「ポンポン」と呼ぶことがあるそうです。

ホンダが最初に製作したバイクは、自転車に補助エンジンを搭載したものでした。浜松市の産業振興課によると、この補助エンジンの音に由来する名称として、今も70代以上で「ポンポン」と呼ぶ人がいるとのこと。同様に「パタパタ」と呼ばれる場合もあるとか。

もっとも、「単車」という言葉自体、最近は見聞きする機会が減っていると、バイクの性能が高まっていった歴史とともに、バイクの黎明期に生まれた言葉も、だんだんと人々の記憶から薄れていったのかもしれません。

ホンダの原付二種「モンキー125」(画像:ホンダ)。