陸上自衛隊の最新式戦車、10式戦車が制式採用されてから10年経ちます。その間にどれだけの数が調達され、どこに配備されているのでしょうか。配備先の駐屯地で見ることもできますが、じつは自衛隊以外にも配備されています。

「日本の最新戦車」登場は東日本大震災の前

陸上自衛隊2021年現在、3種類の戦車を保有しています。いちばん古い74式戦車、数の上で主力とされている90式戦車、最新戦車として現在、調達が進められている10式戦車です。

各々の戦車の頭につく○○式というのは、おおむね制式採用になった西暦年から採られたもので、74式戦車1974(昭和49)年、90式戦車1990(平成2)年、10式戦車2010(平成22)年に制式化されたというのを表しています。

ということは、「陸上自衛隊の最新鋭戦車」と形容される10式戦車ですら、すでに制式採用から10年以上が経過しているといえます。この間にどれだけの数が生産され、どこまで配備が進んだのでしょう。

そもそも10式戦車は、厳密にいうと、2009(平成21)年12月に防衛大臣の「部隊使用承認」を得る、という形で採用が決まったのち、2010(平成22)年度予算で13両調達されたのが最初です。

戦車の調達は、たとえるならば完全オーダーメイドの家具を作ってもらうのに近く、注文してから納入までタイムラグがあるため、実際、10式戦車の量産車が防衛省陸上自衛隊に引き渡されたのは2012(平成24)年初頭でした。

このように、国会で予算が成立してから実車が部隊に引き渡されるまで、おおよそ2年ほどかかるため、これまでの累積調達数と実際の配備数には差があります。ちなみに、2020(令和2)年度予算までの調達数は111両。2021年4月までに、そのうち90両強が陸上自衛隊に引き渡されているようです。

では、約90両ある10式戦車の量産車は、いまどこに配備されているのでしょう。

10式戦車が配備されているのは6か所

10式戦車は、他国の戦車と異なり外国へ輸出などしていないため、試作車含め全数が日本国内にあります。10式戦車が配備されているのは、北海道および本州と九州にある6か所の駐屯地になります。

北海道には道央の上富良野駐屯地(上富良野町)に所在する第2戦車連隊と、東千歳駐屯地(千歳市)に所在する第71戦車連隊に、10式戦車が配備されています。

本州には土浦駐屯地(茨城県阿見町)、富士駐屯地(静岡県小山町)、駒門駐屯地(静岡県御殿場市)の3か所に10式戦車が配備されています。ただ、土浦駐屯地は武器学校、富士駐屯地には富士学校と、それぞれ自衛隊の教育・研究を行う機関が所在し、それら学校の教材として配備されているため、各々数両ずつと非常に少ないです。

まとまった数が配備されているのは駒門駐屯地で、ここには機甲教導連隊と第1戦車大隊という2つの戦車部隊が配置されており、両部隊とも15両程度ずつ運用しています。

九州では、玖珠駐屯地(大分県玖珠町)の西部方面戦車隊に10式戦車が配備されています。なお同隊は、九州・沖縄地区で唯一の戦車部隊であるため、逆にいうと、九州・沖縄のほかの駐屯地に現役戦車は配備されていません。

よって、これらの駐屯地で行われている記念行事などに足を運ぶと、10式戦車を間近で見られます。

しかしながら、前出の6か所の駐屯地以外で10式戦車を見られる場所もあります。

「自衛隊以外」に10式戦車を保有する所とは…

10式戦車は採用(部隊使用承認)される前に、試作車をいくつか製作しています。これらのうち数両は、教材や展示車両として残されており、場合によっては見ることが可能です。

代表的なのは、東京と埼玉の都県境に位置する朝霞駐屯地(東京都練馬区)の一角にある「陸上自衛隊広報センター」(通称、りっくんランド)です。ここの屋外広場に10式戦車の試作車1両が展示されています。ほかにも、富士学校のある富士駐屯地でも試作車が展示されています。

また陸上自衛隊以外で、唯一10式戦車を保有するのが、防衛省の下部組織である防衛装備庁の陸上装備研究所(神奈川県相模原市)です。ここでは10式戦車の試作車1両が各種試験用としていまでも使われており、施設が一般公開された際などに見ることが可能です。

なお、北海道や九州などでは、一般道を10式戦車が走ることがあるため、タイミングがあえば、その周辺でも動く10式戦車を見ることができます。

北海道大演習場で実弾射撃を行う第7師団 第71戦車連隊の10式戦車(画像:陸上自衛隊)。