長時間労働で発症リスクが上がる?

長時間労働で発症リスクが上がる?

長時間労働は脳卒中や虚血性心疾患による死亡率を高める――。世界保健機関(WHO)は5月17日、長時間労働によって2016年の一年間に亡くなった人は全世界で74万5000人にのぼるとする推計を発表した。

WHOと国際労働機関(ILO)の推計によると、週55時間を上回る長時間労働の結果、2016年には脳卒中で39万8000人、心疾患で34万7000人が亡くなっていた。長時間労働が原因で亡くなった人数を2000年と比較すると、脳卒中で19%、心疾患で42%も増えていた。

テレワークで職場と自宅の境界線があいまいに」

また、週55時間以上働いた人は週35~40時間働いている人と比較して、脳卒中を発症するリスクが35%高く、虚血性心疾患を発症するリスクが17%高くなる。さらに、週55時間働く労働者は現在、世界人口の9%を占めており、その割合は増えているとしている。

WHOのテドロス事務局長は、

新型コロナウイルスは明らかに多くの働き方を変えました。テレワークが多くの産業で定着し、職場と自宅の境界線があいまいになっています。さらに、多くの業界で人員が減らされ、その分、仕事を続けている人たちが長時間労働を余儀なくされています」

と警鐘を鳴らす。その上で「脳卒中や心臓病のリスクを負う価値のある仕事などありません」と述べ、政府や企業などに対して長時間労働を避けるための対策を求めた。

長時間労働によって世界で年間74万5000人が死亡 テドロスWHO事務局長「脳卒中や心臓病のリスクを負う価値のある仕事などない」