コロナ禍では、スーパーやドラッグストアで働く人たちの苦労がクローズアップされました。コロナ禍でなくても接客業は気疲れするものですが、特に昨年のマスクや消毒用アルコール不足時にはクレーマーの対応に悩み、苦慮したという声も聞きます。そこで今回は、接客業でよくあるクレーマーたちの特徴について聞いてみました。

「ないものはない」が通用しない

「スーパーも同じ状況だと思うけど、クレーマーには当たり前のことをどんなに説明しても話が通用しない」と嘆くのは、ドラッグストアに勤務している30代のAさん。

「『このマスクはどこも品切れです』『テレビでも連日報道されているのでご存知かと思いますが、消毒用アルコールは品切れです』と、何度言ったことか。本当に地獄のような日々だったけれど、あの大騒ぎを機に変なことを言うクレーマーが増えた気がする。言えば出てくると思っているのかもしれないけれど、そんなもの隠す理由がない。なぜ当たり前のことがわからないのだろう…」と言います。

コロナ禍の初期には様々な衛生関連用品が枯渇し、大騒ぎになりました。「あのとき、『ないものはない』『全国的に品不足だ』『隠しているわけではない』と何度説明しても、何分も何十分も食い下がるお客さんが多かった」とのこと。

こういうクレーマーは、頭ではわかっていても心情的に引き下がれないのでしょうか。いずれにせよ、自分勝手な振舞いは店員だけでなく、他の客の迷惑にもなることを考えてほしいものです。

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無駄に引き留めて電話を切らない

続いて、保険会社のコールセンターで働く20代のBさんです。「おそらく暇で退屈して電話をしてくるんだと思うけれど、質問が尽きてもなんだかんだでイチャモンを付けたり、無駄話をしたりして電話を切らせないように話を続ける人がいる」とのこと。

Bさんは「電話が繋がりにくいから、ようやく電話が繋がるといじわるな気持ちで電話を切らない人もいる」とも言います。

「最初は保障について知りたいと電話してきたのに、その疑問が解消しても『オタクのホームページは見づらい』『オタクの保険金は安い』みたいなイチャモンをつけ、挙句の果てに『じゃあもし~だったらどうするんだ』『万が一~が起きたらどうなるんだ』みたいな『もしも』の話ばかりして電話を切らせない」のだそう。

「『コロナにかかったら~』『コロナにかかって~みたいな治療をしたら…』『コロナで死んだら~』というようなシミュレーションはもちろん大事だし、そういう不安を払拭してあげるのが保険の役割だと思っているけど、あまり無駄に長引かされると電話を待っているほかの人にも迷惑がかかる。そういう人にははっきりと『xx様、ほかのお客様がお待ちですので~』と切り出すこともある」と話していました。

大きな声をあげて虚勢を張る

「一番嫌だなと思うクレーマーは、大きな声を出して怒鳴ったり、汚い言葉で罵ったりするタイプの人かな」と話すのは、メーカーのカスタマーセンターで働く40代のCさんです。

「私たちの応対に問題があり、お客様を嫌な気分にさせたり、不快に思わせたりするようなことがあったら、それは対応しているこちらの落ち度ももちろんあるので誠心誠意、謝罪をする。でも、そこまで罵られるようなことじゃないって内心思うこともある。中にはオペレーターの『ら抜き言葉』が気にいらないという理由で20分怒鳴り続けた人もいた」とのこと。

大きい声をあげられると恐怖心を感じるもの。「コロナでストレスが溜まっている人も多いのかもしれない。ほんの些細なミスを目ざとく見つけてあげつらい、粘着質にずっと話し続ける」と言うCさん。たとえストレスがあっても、他人を罵ることで解消しようとするのはお門違いでしょう。

上から目線で専門用語を使う

証券会社のコールセンターで働く30代のDさんは、「上から目線でからんでくる人が多くて、指摘したがりの人がクレーマーになりやすいイメージ」と話します。

「金融機関に電話してきているからかもしれないけれど、バカにされたくないという気持ちが出ている人が多い気がする」のだそう。

「コロナ禍で証券会社は口座開設者がかなり増えたけれど、若い人は『イチから教えてほしい、何も知らないから』というケースが多い。それはそれで大変だけど、まだマシ。40~50代の人は専門用語を使ったり、わざわざ難しい言葉を使ったりして威圧するような感じで話をしてくる」と続けるDさん。

「威圧するだけで済めばいいけれど、クレーマーの人たちは威圧した挙句、難しい言葉を使って一瞬でもオペレーターが聞き返そうものなら『勉強不足だ』とか『教養がない』とか、人格否定するようなひどい言葉を投げつけてくることもある。そういう人たちのプライドを折らないように対応するのは大変」と嘆いていました。

おわりに

今回は、接客業で働いている人にクレーマーたちの特徴について聞いてみました。接客業の経験がある人はいずれも心当たりがあるかもしれませんね。せめて自分は周囲に迷惑をかけるようなクレーマーにならないよう注意したいものです。