前腕が先天的に欠損し、妊娠中に医師から「中絶を勧めます」と言われたお腹の子が2歳になった。母親は妊娠中の心の葛藤や娘への想いをブログやInstagramに綴っており、子育ての経験を通して前向きな発信を続け人気を呼んでいる。そんな一家に最近、1匹の子犬がやってきたという。『FaithPot』などが伝えている。

カナダバンクーバー近郊に住んでいるヴァネッサマクラウドさん(Vanessa McLeod)は、妊娠19週の時に受けた超音波検査の翌日、お腹にいた第2子アイヴィちゃん(Ivy)に異常があることを告げられた。

助産師に「大切な話がある」と呼び出されたヴァネッサさんは「赤ちゃんの命に関わるような大変な病気なのではないか」と心配でたまらず、電話を受けた直後からずっと泣き続けたという。

ヴァネッサさんは「もしかしたら心臓の疾患かもしれないし、口蓋裂などの奇形かもしれない…と様々なことが頭をめぐり、胸がいっぱいでした。でも助産師は『この子には両方の前腕と両手がありません』と言うのです。四肢があるのは当然のことだと思っていた私は、まるで不意打ちのパンチを食らったようで呆然とし、その場で泣き崩れました。どうしたらいいのかわからなかったのです」と当時を振り返り、こう続けた。

「でも一緒に助産師の話を聞いていた私の父がこう言ったのです。『この子は私たち家族にとってなくてはならない存在になるよ。きっと様々なことを私たちに教えてくれるに違いない。必要な存在なんだ。この子は神様からの恵みだよ』とね。

「ただその時の私は父の言葉の意味を理解できるはずもなく、その日は拒絶、怒り、悲しみ、罪悪感、絶望感…様々な感情に苛まれ、それをどう処理していいのかわからずに泣き続けました。夜は眠ることができず、腕がない子供たちのことや義手についてネットで調べ続けました。そうしているうちに少しだけ、『この子には希望があるのではないか』と感じることができたのです。」

「その翌日のことでした。私と夫はバンクーバー小児病院を訪れ、そこで衝撃的な言葉を突きつけられました。検査の後に私が期待していたのは『腕がなくても大丈夫。この子にたくさんの愛情を注いであげてください』―そんな言葉だったのに、医師はこう言ったのです。『この子は質のある豊かな人生を送ることができないでしょう。中絶を勧めます。少しだけ時間をあげますから、夫婦で話し合って下さい。』」

「そうして2人きりになった時、夫は私にこう言いました。『僕はどんなことがあってもこの子を守る。この子を育てたい』とね。私だって、お腹の中の娘が愛おしかった。そして医師には『妊娠を継続したい』と伝えました。ただ病院を出る時、私は再び号泣し夫にこう聞いたのです。『なぜ、私たちにこんなことが起きたの? なぜ』とね。自分の中で気持ちの整理ができなかったのです。」

「それでも出産が近づいてくると、私の気持ちに大きな変化がありました。私は『アイヴィを身ごもったのには理由があるのではないか。アイヴィは何百万といる母親の中で、わざわざ私を選んでくれた。アイヴィは私を必要としているんだ』と思うようになったのです。そしてそれが次第に『アイヴィが私を必要としているのではなく、私がアイヴィを必要としているんだ』と気付いたのです。」

こうしてアイヴィちゃんは2019年2月28日、出産予定日より約3.5週間早く誕生し、腕がある子と同じように寝返りをし、お座りをし、立って歩けるようになり、もうすぐ2歳3か月を迎える。お絵描きをする時は足を使うが、ヴァネッサさんは「アイヴィにとって前腕がないことは普通のこと。それが大変だとか、人とは違うという認識はしていないようですよ」と笑う。

そんなヴァネッサさんは一家のInstagramを頻繁に更新しており、先月22日には「世界のみなさん、“ラッキー”に会ってちょうだい」と言葉を添え、子犬と遊ぶアイヴィちゃんの姿を投稿しこう説明した。

「『アイヴィと同じように腕(足)がない子犬を探しています』と4月6日にSNSに投稿したところ、同日に私たちの住む町で、前足がない子犬が誕生したのです。これは運命としか思えません。まだ小さいので我が家にやってくるのには時間がかかりますが、その日が来るのが待ちきれないわ。 ウエルカム。ラッキー!」

実はヴァネッサさんが、アイヴィちゃんと同じ病気を持つ犬を探すことにしたのには、次のようなわけがあった。

「アイヴィはまだ2歳ですが、いつか『なぜ自分は前腕がないの?』と聞いてくる日がきっと来るでしょう。そんな時、『人と違っているということは美しいことよ。あなたと同じように生まれたラッキーを見てごらんなさい』とアイヴィに伝えることができると思うのです。ラッキーはこれまで何度か我が家にやってきて子供たちと遊んでいますが、アイヴィはとても喜んでいるんですよ。」

「私たちの中には青い目の人もいれば、緑の目の人もいます。ブロンドの髪の人もいれば、茶色の髪の人もいます。腕がある人もいれば、ない人もいてそれぞれに外見は違います。でも人が生きていることには意味があり、価値があると思うのです。だからアイヴィには『普通と違ってもいいんだよ』ということを、日々の生活の中で教えていけたらと思っています。」

「そして私に中絶を勧めた医師にはこう言いたいのです。『アイヴィはとても豊かな人生を送っていますよ』とね。

画像は『Vanessa McLeod 2021年5月8日付Instagram「We got a little visit with Lucky today」、2021年4月26日付Instagram「Lucky pupdate」、2021年4月22日付Instagram「Hi world, meet Lucky」、2019年10月6日付Instagram「No words」、2019年3月26日付Instagram「My family」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

海外セレブ・芸能のオンリーワンニュースならテックインサイト