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photo by Pixabay

 地球上に広がるこの世界は美しく素晴らしい場所でもあるが、同時に悲惨なまでに恐ろしい場所でもある。自然の力によって歴史や風景が一変することもある。と同時に人の手によって恐ろしいまでの破壊がもたらされることもある。

 災害は自然現象や人為的な原因によって、人命や社会生活に被害が生じる事態を指す言葉だが、いつ何時それが自分の身に降りかかるか予測できないのが一番恐ろしい。

 だが、こうした経験は、再び悲劇が起こることを防ぐための教訓として活かされる。法の整備、適切な数の救命ボート、火災の際の非常口、救急隊の確保などは、多くの人の犠牲があったからこそなされたものも多いのだ。我々は過去の悲劇から学ばねばならない。ここでは日頃の暮らしを一変させた15の災害を見ていこう。

【15. 2010年メキシコ湾原油流出事故(2010年)】

 2010年メキシコ湾原油流出事故は史上最悪の原油流出事故だと考えられている。2010年4月の引火爆発で海底へ伸びる採掘パイプが折れ、87日間にわたりメキシコ湾に原油が流出し続けた。

 11人が亡くなったほか、環境や生物への被害も甚大。オイルまみれのペリカンウミガメなどの姿は広く同情を集め、BP社は世界でもっとも嫌われる企業の1つにまでなった。

 石油関連企業により強度の高い油田のケーシングと爆発防止措置が義務付けられたのは、5年にわたる清掃作業を経たのちのことである。

14. ヒンデンブルク号爆発事故(1937年)

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 飛行船黄金期であった1930年代ドイツ製のヒンデンブルグ号もまた例外ではなかった。世界初の航空路線であったヒンデンブルグ号は、当時の大西洋横断最速の手段。空の旅の未来と喧伝された機内は、豪華な食事、音楽の生演奏、快適な寝室と喫煙室まで備えていた。しかし、1937年の事故によって、黄金時代は突然幕を閉じる。

 出火すると、船体はあっという間に炎に包まれ、ほぼ一瞬で崩壊した。乗員乗客97人中35人と地上の作業員1名が死亡。旅客船の初就航から30年、全世界で2,000のフライトがあった商用飛行船だが、この事故を機にぱったりと途絶え、世界はより経済的な空の旅へと移行した。


13. アメリカ同時多発テロ事件(2001年)

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 2001年9月11日以来、世界の旅は大きく変わってしまった。テロリスト旅客機を乗っ取った手口が明らかになるにつれて、空港のセキュリティは大幅な見直しを迫られるようになる。

 例えば、それ以前、折りたたみナイフ、はさみ、カッターなどを機内に持ち込むことができた。実行犯たちも以前は金属探知機に引っかかっていたが、結局は搭乗を許可されてしまったのだ。

 現在ドアは防弾扉となり鍵もかけられるようになった。さらに国内線であってもセキュリティチェックが厳重となり、パイロットはピストル所持すら認められるようになった。

 しかし、2015年にドイツ人のパイロットが操縦室のドアをロックし、機体を墜落させ自殺を図ると、こうしたセキュリティの強化は強い批判を浴びるようになる。それでも、テロ活動が一層活発となった現在ではより強固なセキュリティが導入される可能性もある。

12. チェルノブイリ原子力発電所事故(1986年)

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 1986年チェルノブイリ原子力発電所で発生した火災によって、原子力発電所のものとしては史上最悪の1つに数えられる事故が起きた。

 ソビエト連邦(現ウクライナプリピャチで起きた爆発によって大量の放射性粒子が撒き散らされ、近隣の住民に直ちに避難命令が発令。31名の死者が出たほかにも、現在まで続く放射線の影響を残している。

 事故によって原子力発電所のあり方について深刻な疑問が突きつけられ、原子力発電所の建設を取りやめる国、安全に関する法令を新たに見直す国など、原発との付き合い方について各国に修正を迫ることになった。

 なお、類似の事故が2011年の福島でも起きている。原発の安全性は依然として解決を見ない問題なのである。

11. ニューヨークを襲った猛吹雪(1888年)

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 アメリカの記録史上では最悪の吹雪として知られる別名”グレートホワイトハリケーン”は、1888年にアメリカ東海岸、とりわけニュージャージーニューヨークに甚大な被害を与えた。

 強風とともに大雪が降り積もり、気温は1ヶ月もの間-14℃にまで低下。鉄道も道路も使用不能となり、都市輸送網の安全性について疑問を投げかけることになった。死者は400名以上。住人は何日も屋内に閉じ込められ、株式市場も2日間閉鎖。

 この吹雪が過ぎ去ると、地下鉄が提案され、電信と電話関連のインフラも地下に敷設。将来の天候災害に備えることになった。

10. トライアングル・シャツウェスト工場火災(1911年)

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 アメリカ史上最悪の火災事故の1つとして記憶される1911年トライアングル・シャツウェスト工場火災は、世界中の工場労働者の作業環境をがらりと変えることになった。

 マンハッタンのど真ん中にあるビルの最上階3階分を占めていた工場は、若い移民の女性のみを雇用していたことで有名だった。

 英語を話すこともままならない彼女たちは、1日12時間シフトで働き、給料もかろうじて生活できようかという最低限のもの。スウェットショップ(労働搾取工場)と呼ばれる場所であった。

 管理者は消火にあたろうとしたが、バルブが錆びて故障していたため断念。火災が広まると、女性作業員たちは逃げ始めるが、エレベーター4つのうち3までが故障していたため、エレベーターシャフトから飛び降りて死ぬ者が続出。

 また階段や出口へのドアに鍵がかかっていたため、少女たちの多くが生きたまま焼かれた。消防士が到着するも梯子が届かず、ビルの窓から身を投げる者もいた。わずか数分で145名が炎、煙、身投げのいずれかで命を落としている。

 こうした安全基準の欠如に怒った労働者組合はキャンペーンを開始し、8万人以上の人々が参加。国際婦人服労働組合の成長を促した事件である。

 また非常口や消火設備も刷新されることになった。なお、管理者側に落ち度があることは明らかであるにもかかわらず、裁判で彼らが有罪となることはなかった。

9. ペストの蔓延(1340年代~)

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 人類史上最悪の疫病の世界的流行の1つとして悪名高い黒死病ことペストは、世界で2億人もの人々の命を奪った。

 1340年代初頭の中央アジアから発し、まず中国の人口の3分の1を奪い、やがて他の世界にも拡散。輸送船に乗ってイタリアに伝播したころが流行のピークで、ヨーロッパ全人口の30~60%がペストの犠牲となった。

 入港する船の検疫が始まったのはこれが切っ掛けである。これ以外にも労働者階級の待遇についても見直しがされた。このペスト流行の最中における貧しい者への待遇の酷さに対する怒りから、ヨーロッパ各地で農民が暴動を起こし、報酬と生活環境の改善を求めるようになったからだ。

8. 薬害サリドマイド禍(1957年)

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 1957年西ドイツで販売されたサリドマイドは、不安神経症、不眠、ストレスの治療薬として流通していた。世界で多用されるようになると、やがて店頭でも妊婦のつわり治療薬として販売を開始。

 それから間もなく、5,000~7,000人の新生児がアザラシ肢症という手足の奇形を抱えて生まれていることが明らかとなった。

 最終的には2,000人の新生児が亡くなり、1,0000人以上が深刻な先天的な障害を負う。すぐさまサリドマイドが疑われ、使用に関する厳格な規制が定められるとともに、こうした薬剤の開発のあり方についても見直される。

 面白いことに、サリドマイドは動物実験を見直す切っ掛けともなっている。その開発中に使用してた動物には人間の新生児のような影響がなかったため、その有効性に疑問を抱かせたのだ。

7. 韓国フェリー転覆事故(2014年)

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 2014年4月16日の朝、476人を乗せた中型フェリーのセウォル号が韓国仁川から済州島への航海中に転覆。300人以上が亡くなった。

 犠牲者の多くが高校生だったこともあり、事故の経過が世界中で報道された。船長と船員に主な責任があるとされたが、マスコミには厳しい報道管制が敷かれた。

 事故当時、乗客は客室に待機するよう指示され、その間に船長と船員がまず救助される。さらにセウォル号が法定基準の2倍の貨物を積載していたことも判明。安全基準が緩く、検査官が安全上の不備を無視することも常態化していたが、現在では大きな変更がなされたと専門家は主張している。

 それでも、遺族はきちんとした原因究明を求めており、事件の最終的な解決を見るのはまだ先になりそうだ。

6. ハリケーン・カトリーナ(2005年)

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 2005年8月29日現代社会に最大級の被害をもたらした大型台風がアメリカ、メキシコ湾を襲った。最大風速は時速280キロメートルに達し、その進路にある一切合切を吹き飛ばしていった。

 被害はルイジアナ州、ミシシッピ州、アラバマ州で特に大きく、その余波に世界中が凍りついた。

 カトリーナの勢いが衰えても、政府はその被害の大きさに完全には気がついていなかったようで、被災者や企業からの訴えを無視。これほどの災害に対する具体的な対策がなかったことから、特に貧困層は弱い立場に置かれた。

 2,000人以上が亡くなり、今日にいたるまで復旧作業は続いている。政府の初期対策のまずさに抗議が殺到し、同じ悲劇を二度と起こさないための対策が導入されることになった。

5. ダッカ近郊ビル崩落事故(2003年)

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 2013年、バングラデシュで8階建ての商業ビルが崩落。負傷者2,500人以上、死者1,000人を超え、ニューヨークトライアングル・シャツウェスト工場火災を超える史上最悪の縫製工場事故となった。

 縫製工場のほかに、銀行や商店などが入居していた本ビルでは、事故前日には亀裂が発見され、使用を禁止するよう警告が出されていたが、所有者はこれを無視。翌朝の通勤ラッシュで亀裂が広まり、数分で地表階のみを残し崩壊した。

 5階以上の3階部分が違法に積み増しされていたこと、低水準の建材など、原因はいくつも考えられる。ビル所有者と工場経営者などが逮捕された。工場作業員の劣悪な労働環境を浮き彫りにした。

4. キングス・クロス火災(1987年)

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 最近150周年を迎えたロンドン地下鉄駅は近代的な公共交通機関の旗手として、大きな事故を起こしたことはほとんどなかった。しかし、1987年11月18日地下鉄史上最悪の事故の現場となってしまう。

 駅へと続く主要エスカレーターの1つで火災発生の報を受け、消防士が到着。ところが、火災現場にたどり着けず、駅からの避難を決定する。

 しかし、そのときには火災が広まり、高温のガスが発生。ガスは駅の塗り直された天井に吸収。切符売り場はあっという間に強烈な熱によって炎と黒煙に包まれた。

 実は、火災以前、この塗装は火元になると数度にわたり指摘されたことがあったが、無視されていた。火災で30人以上が犠牲となり、新しい安全基準が導入される切っ掛けとなる。

 火災の原因がエスカレーターに捨てられた1本のマッチであったことから、喫煙は全面的に禁止され、エスカレーターも木製から金属製のものに作り変えられた。

3. グランドキャニオン空中衝突事故(1956年)

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 今日では空の旅はこれまでにないほど安全なものとなったが、それも過去の悲惨な事故から学んだおかげだ。そうした苦い教訓の1つがグランドキャニオン空中衝突事故である。

 1956年グランドキャニオン上空でユナイテッド航空のダグラス DC-7とトランスワールド航空のロッキード L-1049が衝突。乗員と乗客のほとんどが一瞬で命を落とした。

 メディアと両航空会社は航空管制官の責任を追及するが、最終的に過失はないとされた。それでも当時事故が増加傾向にあったことから、事故に対する懸念は増大

 。これを機に航空管制の方法は大きく見直された。また、原因究明に必要となる情報が不足し調査が思うように進まなかったことから、フライトレコーダーの搭載が義務化された。

2. ヒルズボロの悲劇(1989年)

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 1989年のヒルズボロの悲劇はイギリスサッカーシーンを一変させたのみならず、80年代イギリス政治史においても特筆すべき事件となった。

 FAカップ準決勝リヴァプール対ノッティンガム・フォレスト戦において、ゴール裏の立ち見席に収容能力を上回る観衆が殺到。負傷者766人、死者96人という大事故となった。

 大型サッカー場の安全基準は大幅な見直しを受けることになるが、当時、安全の軽視や不適切な警備規定を隠すために、メディアはいくつものでっち上げを報道。

 リヴァプールのファンに原因があるとした。それについての謝罪が行われたのは2012年になってようやくのことである。キャメロン首相も”二重の不正義”に言及し、事件で苦しんできた家族に対して謝罪した。

1. タイタニック号沈没事故(1912年)

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 おそらく歴史上最も有名な大事故といえば、タイタニック号沈没事故ではないだろうか。同時多発テロ事件と同じく、この事故も世界中から注目を浴び、航海のあり方を大きく変えた。

 不沈船と銘打たれていた豪華客船タイタニック号は、大西洋を公開中に氷山に衝突し、1,500人以上の命とともに海に沈んでいる。

 しかし、事故原因の調査が開始されると、ショッキングな事実が明らかとなる。救命ボートの数は乗客の半分を乗せられる分しかなく、1等船客が優先的に乗せられた一方、3等船客は見殺しにされていたのだ。

 この事故を受けて、”海上における人命の安全のための国際条約”が締結。船の安全基準は劇的に改善されが、それは多くの犠牲者の上に成り立っている。

via:15 Disasters That Changed The Way We Live/ translated hiroching / edited

 
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