中国は科学技術や製造業などで大きな発展を続けているが、個別の分野に目を向けるとまだまだ他の国に及ばない分野もあるようだ。中国メディアの網易はこのほど、ハイエンド工作機械の分野で中国は日本やドイツに遠く及ばないと指摘する記事を掲載した。

 日本工作機械工業会がまとめた2020年工作機械受注実績によると、2020年の工作機械受注額は9018億円だったが、このうち外需が5774億円を占めた。外需のうち中国への輸出が2019億円を占めている。

 記事によると、中国はハイエンド工作機械の国内需要のうち、9割以上を輸入もしくは外資からの調達に依存していると指摘し、しかも、そのほとんどが日本とドイツからの調達と強調。中国メーカーのハイエンド工作機械には「精密性と安定性に欠ける」という問題があると指摘し、どうしてもシェアを獲得できないのが現状だと指摘した。

 さらに、ハイエンド工作機械に関係する技術は日独が握っており、日独の工作機械がないと「飛行機も製造できない」ほどだという。そのため、中国ではハイエンド工作機械の分野にも力を入れるようになっており、大量の人材と資金を投入していると指摘し、以前は人材が海外へ流失することが多かったのでなかなか中国国内での発展が進まなかったものの、最近では多くの人材が国の発展のために帰国するようになっているので、将来的にハイエンド工作機械の分野でも中国は良い成果を出せるようになるとの楽観的な見方を示している。

 とはいえ、中国は2010年の時点で10年以内にハイエンド工作機械の国内供給8割を目指すとしていたが、ふたを開けてみれば1割にも満たないのが現状だ。高度な技術が求められるハイエンド工作機械の分野で、中国が日独の牙城を崩すのは難しいと言わざるを得ないだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

日独の工作機械がないと「飛行機も製造できない」ほどの実力差=中国