誰もが知るシェイクスピアの恋愛悲劇を元にフランスで生まれ、2010年に宝塚歌劇団によって日本初演されたのち、同じ小池修一郎の潤色・演出により<日本オリジナルバージョン>として誕生したミュージカルロミオジュリエット』。2011年の初演以来たびたび再演されてきた人気作の10周年を記念した公演が、5月21日(金)、TBS赤坂ACTシアターで開幕する。ジェラール・プレスギュルヴィックの音楽と小池修一郎の日本語詞が見事にマッチした、ロマンティックかつ疾走感あふれる楽曲が大きな輝きを放つ作品だ。

加えてこの<日本オリジナルバージョン>の魅力と言えばやはり、上演のたびに話題をさらうキャスティング。初演でタイトルロールを務めた4人は、ロミオ城田優と山崎育三郎こそすでに地位を確立し始めていたが、ジュリエットの昆夏美とフランク莉奈は“無名の新人”と言っていい存在だった。その後も古川雄大、柿澤勇人、大野拓朗、そして清水くるみ生田絵梨花、木下晴香、葵わかなと、小池がオーディションで選んだロミオとジュリエットたちは、今となっては日本ミュージカル界に欠かせない主役級の俳優ばかり。今回の新キャスト、黒羽麻璃央と甲斐翔真、伊原六花と天翔愛も、数年後には「ロミジュリの時からいいと思ってた」と自慢できるような存在になることだろう。

話題になるのはタイトルロールだけでなく、期待の若手が配されるティボルト、ベンヴォーリオ、マーキューシオ、舞踊界の才能が参入する“死”、そして実力派が揃う大人キャストも毎回注目の的。前回マーキューシオから今回ロミオの黒羽、前回ヴェローナ大公から今回ロレンス神父の石井一孝、前回キャピュレット卿から今回ヴェローナ大公の岡幸二郎と、ロングラン作品ならではの“役替わり現象”も活発化している。いずれは初演のロミオとジュリエットたちが大人キャストとして帰ってくることも、なくはないのかも……? そんな“妄想”を膨らませながら、まずは10周年を見届けよう。



文:町田麻子

演情報
ミュージカルロミオジュリエット』
原作:ウィリアム・シェイクスピア
作:ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出:小池修一郎(宝塚歌劇団
出演:黒羽麻璃央/甲斐翔真(Wキャスト) 伊原六花/天翔愛(Wキャスト)
味方良介/前田公輝(Wキャスト) 新里宏太/大久保祥太郎(Wキャスト) 立石俊樹/吉田広大(Wキャスト)
春野寿美礼 原田薫 石井一孝 宮川浩 秋園美緒 兼崎健太郎 岡幸二郎 松村雄基
小尻健太/堀内將平<K-BALLET COMPANY>(Wキャスト) 他
※小尻健太の「尻」の字は、正しくは旧字体です。

【東京公演】
2021年5月21日(金)~6月13日(日)
会場:TBS赤坂ACTシアター

【大阪公演】
2021年7月3日(土)~7月11日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール

【愛知公演】
2021年7月17日(土)~18日(日)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール

ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』メインビジュアル