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356をベースとしたGTLアバルト

textChris Chilton(クリスチルトン)
photo:Porscheポルシェ)/RM Auctions(RMオークションズ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
世界で最も名の通ったスポーツカーといえば、ポルシェ911は代表となる1台。一方で、モータースポーツ参戦に向けたホモロゲーション・モデルや台数限定のスペシャルなど、珍しいモデルに事欠かないのもポルシェといえる。

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ポルシェ初の量産車として誕生したオリジナル356は、注目度の高いモデルに変わりない。中でも、1960年から1963年に製造された356カレラ GTLアバルトは、遥か上を行く珍しさだろう。

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ポルシェ550 1500 RSスパイダー1954年

356の競争力を高めるために開発されたポルシェで、車重がベースモデルの95%を保持していれば新しいボディを用いても構わないという、当時のFIA(国際自動車連盟)の規定に準じている。

カルロ・アバルトのディレクションのもと、スカリオーネがボディをデザイン。20台の356B用のシャシーに、45kgと軽量なスペシャル・ボディが載せられた。空力特性にも優れ、ル・マン24時間レースでは3度もクラス優勝。戦闘力の高さを誇示した。

GTLアバルトよりひと足早く、550 1500 RSスパイダー1954年に作られている。356開発プロセスで制作されたプロトタイプを展開させたもので、ミドシップとしてポルシェ初でもあった。

550はレース参戦を目的に設計されたが、公道での走行も可能。鉄製のチューブラーフレームに4カムの水平対向4気筒エンジンフラット4を搭載し、111psを発生。車重590kgと極めて軽量に仕上がっている。

スカイラインと戦った904カレラGTS

生産台数は90台。その内の1台は、ハリウッド俳優のジェームズディーンが愛車としたことをご存知の読者もいるだろう。しかし彼は致命的な事故を起こし、惜しくも550とともにこの世を去っている。

1964年には、904カレラGTSが登場。911デザインしたフェルディナントアレクサンダーポルシェによる、グラスファイバー製ボディを採用している。エンジン水平対向4気筒のほか6気筒と8気筒も選べ、最高出力は最大で243psまで獲得できた。

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ポルシェ904 カレラGTS1964年

これまでに生み出されたポルシェの中でも、最も美しいモデルの1台だと筆者は思う。サーキットマシンとして誕生したが、これも公道走行が可能。日本ではスカイラインGT-Bとの戦いが有名だ。

現在の取引価格は個体によって異なるが、少なくとも手に届きやすいものではない。

ミドシップポルシェといえば、ボクスターやケイマンより以前に、民主化版モデルとして914が誕生している。フォルクスワーゲンとの共同開発で、エンジンフラット4のほか、914/6としてデチューンされたフラット6も搭載できた。

どちらもスピードは不足気味。そこで、汚名返上とばかりに916が生み出される。フェルディナント・ピエヒのために作られた、2.9Lのフラット6から350psを発揮する特別なワンオフのほか、プロトタイプは10台以上が作られている。

911 Tをベースにした911 T/R

デザインは914に準じているが、ルーフパネルは固定式のスチール製。大きく膨らんだフェンダーも与えられた。シャシー補強が施され、エンジンは192psの2.4Lか213psの2.7L、2種類のフラット6が組まれている。

916のプロジェクトは、911の販売へ及ぼす影響を考え中止に。プロトタイプポルシェの経営陣によって引き取られたが、一部は個人へ売却された。

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ポルシェ916(1972年

時折オークションに出品されることもある。2019年には、ピエヒへ作られた350psのプロトタイプが、100万ドル以上の高値で落札されている。

珍しい911も種類はふんだん。中でも1973年カレラRSは、少し有名過ぎるかもしれない。日本では「ナナサンカレラ」というあだ名まで頂戴している人気者だ。

少し趣向を変えて、911 Tをベースにした911 T/Rはどうだろう。こちらもロードリーガルなレーサーだ。ベースとなったポルシェ911のTは、最もパワーが少なく質素なモデル。そのぶん923kgと最も軽量だった。同時期の911 Sは、975kgほどあった。

当時のFIAの規定では、162psの911 S用エンジンの利用が許されており、911 T/Rは50psほどのパワーアップを実現。ほかにも、Sから譲り受けた多くのアップグレードが施されている。

ポルシェ純正のスポーツキット2を組めば、キャブレタージェットとカムシャフトが高性能になり、188psへパワーアップも可能。クロスレシオのトランスミッションと、LSDも装備できた。

911 T/Rの生産台数は、30台を少し超える程度だと考えられている。さらに23台か25台の、2.3Lと2.4Lの911 S/Tも作られている。

911フラットノーズから924カレラGTSなど、この続きは後編にて。


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