日本の探査機・はやぶさ2は2020年12月、小惑星リュウグウのサンプルリターンに成功した。世界がこの快挙に注目するなか、中国の無人月面探査機・嫦娥(じょうが)5号も月からサンプルを持ち帰ってきたが、はやぶさ2の快挙の影に隠れた感が否めない。

 中国人のなかには、今でもはやぶさ2に話題をさらわれたことを根に持っている人がいるようだ。中国メディアの快資訊は20日、日本が「はやぶさ2のサンプルを中国に自慢した」と主張する記事を掲載した。

 嫦娥5号は、はやぶさ2と同じ時期に地球に帰還したため、あまり注目されなかったというのは事実だろう。記事は、技術的には「嫦娥5号のミッションのほうが、はやぶさ2よりも難易度が高かった」ので、日本の成功は自慢にならないと主張した。その理由として、ミッションは同じ「サンプルリターン」だが、対象の「重力が違う」ためとしている。リュウグウ小惑星なので重力は極めて小さいが、月の重力は地球の6分の1もあり、重力の影響を受けながらミッションを行うのはずっと難しかったと主張した。

 また、ミッションの「複雑さ」においても、嫦娥5号に軍配が上がるという。はやぶさ2リュウグウについて全面的な探査を行ったが、そのほとんどが軌道上に留まって計測器で探査をしたのに対し、嫦娥5号は月の裏側に着陸してサンプルを採取して再び戻るというものであり、これは至難の業だったという。記事は、難易度では「アポロ計画」に匹敵するとした。
 
 とはいえ、惑星探査の「意義」に関しては甲乙つけがたく、はやぶさ2の持ち帰ったサンプルには生命の起源に迫る可能性があり、嫦娥5号のサンプルリターンは月の研究に弾みをつけると双方の成果を称賛した。日中どちらの成果も高く評価されるべきものだが、中国人としては「どちらが上か下か」がどうしても気になるようだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

「はやぶさ2」に話題をさらわれたこと根に持っている中国人の主張