今やスマホの普及により、いつでもどこでもリアルタイムで情報を見たり発信することができる。更にSNSで誰もが情報を発信することができる。
だがここで問題が生じる。すべてが正しい情報であるとは限らないからだ。意図的かどうかにかかわらず、誤った情報を投稿してしまうこともある。
そしてさらに問題が生じる。別のユーザーが丁寧にそれを指摘したとしよう。すると問題は悪化し、誤った情報を投稿したユーザーは、反論の材料を探し泥沼にはまっていくというのだ。
米マサチューセッツ工科大学のグループは、まず事実ではないニュース記事をツイートしたことがあるツイッターユーザー2000名を特定した。
そうしたニュースはたとえば、「ウクライナ政府は国家よりもクリントン財団に多額の献金をしている」、「トランプ前大統領は、彼が所有する土地で暮らしていた障害を持つ退役軍人を、セラピー犬を飼育していたという理由で追い出したことがある」といったものだ。
事実ではないニュースを投稿したユーザーに対して、次のようなツイート内容に疑問を呈し、それでいて喧嘩腰にならないようなメッセージを、正しい情報のリンク付きで送ってみた。
この情報に確信を持てません。間違っている可能性もあるのかもしれません。スノープス(米国の事実検証サイト)は、この記事が正しくない証拠を記載しています
さて、メッセージを受け取ったユーザーはどのような反応を示しただろうか?
別ソースの記事がリツイートされ、正確さが低下
その結果判明したのは、間違いの指摘から24時間以内に新しく別のソースがリツイートされるということだ。ただし、せっかく改めて紹介されたソースであっても、その正確さは1%低下していた。またリツイートの分析からは、政党的な偏りが1%増加し、さらに言葉の”荒さ”が3%増加していることも明らかになったという。
研究グループのデビッド・ランド氏によると、そうしたユーザーは比較的時間をかけて一番最初のツイートをつくっているのに対して、リツイートはそうではなさそうなのだという。
自分の誤りを指摘されたことを皆に知られると逆効果に
ランド氏によると、過去の研究では「中立的かつ非対立的な間違いの指摘は、シェアされる情報の質を向上させる」と結論づけられていたという。そうした研究と今回の研究との大きな違いは、前者ではそうした指摘が非公開で誰にも知られることがなかったのに対して、後者ではフォロワーなどに公然と知られてしまうことだ。
そのために、正確な情報を届けようとユーザーに反省をうながすよりも、「恥」といった社会的な要素を強く意識させることになる。その結果、かえって正確さから注意がそれてしまうと考えられるようだ。
指摘する時は一般論として注意を喚起
なお、ユーザーに屈辱を感じさせることなく内容を正すには、特定の投稿を否定するのではなく、一般論として正確であることの大切さを伝える方法が有効であるとのことだ。確かに人前でこき下ろされれば、誰だってプライドが傷つき、素直になるのは難しい。意地になってしまって自分の誤りを認めるどころか、それを補強する情報を集めてしまうだろう。チェリーピッキングというやつだ。
思想や信条の全く異なった人に対して、どんな科学的根拠のあるデータを突きつけたところで対立構造が深まるだけだ。
ただの勘違いや、誤解ならば、第三者を巻き込まずダイレクトメッセージでやりとりをするのが正解なのかもしれない。
この研究は『ACM Digital Library』に掲載された。
References:Correcting Online Falsehoods Can Make Matters Worse/ written by hiroching / edited by parumo
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