ハワイ州政府ビルの4階にある知事室にはプレスルームが併設され、過去6代にわたる州知事の肖像画が飾られています。
今回は前回に引き続きその知事を紹介する2回目、第5代から第7代までの州知事をご紹介します。
ハワイ州第5代知事 ベンジャミン・ジェローム・カエタノ（1994年～2002年）
会見台に向かって右側の一番奥に飾られている肖像画がハワイ州第5代知事 ベンジャミン・ジェローム・カエタノ（Benjamin Jerome Cayetano）です。
フィリピン人移民の父を持つカエタノ氏はホノルルで生まれました。
彼が6歳の時に両親が離婚したため父親に育てられましたが、その暮らしは貧しく法に触れるようなことをしたこともあったとか。
成績もそれほど良くなかったものの高校を卒業して18歳で結婚し、19歳で父親になりました。
トラックの運転手や肉体労働などで家族を支えていましたが、よりよい仕事に就くことができるようにと一念発起しカリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）へ入学。
その後ロヨラ大学法学部で法律を学んだ後、ハワイの法律事務所に就職しました。
低所得者を対象とした公共住宅の管理、および開発を担うハワイ州住宅局に勤めていたときにハワイの実情を知り、1974年ハワイ州下院議員に立候補して当選。
その後州上院議員を務め、ワイへエ Ⅲ世知事の副知事を2期勤めました。
1994年の知事選に立候補して勝利を収め、米国初となるフィリピン系アメリカ人の知事となりました。
高校時代は自身の成績が振るわず、大学への進学にも苦労したため、副知事の時代から教育問題に熱心で、アメリカ初となる公立の学童保育プログラムの企画、実施に携わりました。
また公立学校の予算削減にも否定的で、教師の賃金を上げる代わりに公立学校の授業日数を増やすという政策も行っています。
ハワイ州第6代知事 リンダ・リングル（2002年～2010年）
会見台に向かって右側の真ん中に飾られている肖像画が、ハワイ州第6代知事 リンダ・リングル（Linda Lingle）です。
リングル氏はミズーリ州セントルイスで育ち、カルフォルニア州立大学でジャーナリズムを学びました。
1975年にハワイに移住し、モロカイ島で地元新聞「モロカイ・フリー・プレス」を発行し、編集＆発行人として活躍しました。
1980年にマウイ島郡議会議員に選出され、その10年後にはマウイ島郡長に選ばれます。
当時リングル氏は37歳、最年少、初の女性、さらにはじめてマウイ島生まれではない人物が郡長になったことで注目されました。
1998年にハワイ州知事選に立候補したものの、現職のカエタノ知事に破れました。
2002年に再度立候補し、副州知事のメイジー・ヒロノ氏との選挙に勝利し、第6代ハワイ州知事になりました。
マウイ島郡長時代にも初物づくしで注目されたリングル氏でしたが、女性のハワイ州知事としてもハワイ初。
さらにハワイ州初代州知事のウィリアム・クイン氏以来、40年ぶりの共和党出身の知事ということでも注目されました。
2期にわたって知事を務めたリングル氏はマウイ島の観光業発展に尽力していたこともあって、知事就任後はハワイの観光業発展に注力し、中国などからの観光客も増えました。
また建設が進むホノルル・レール・トランジットがホノルル市議会で認可されたのも、彼女が知事の時代でした。
ハワイ州第7代知事 ニール・アバクロンビー（2010年～2014年）
会見台に向かって右側手前に飾られているのがハワイ州第7代知事ニール・アバクロンビー（Neil Abercrombie）の肖像画です。
アバクロンビー氏はニューヨーク州出身で、ニューヨークの大学で社会学を学びました。
州になって間もないハワイ州に移住したアバクロンビー氏はハワイ大学マノア校で学び、アメリカ研究で博士号を取得しましたが、この時のクラスメイトにはオバマ元大統領のご両親も。
その後小学校の先生や大学講師を務めた後、ハワイ州下院議員に。
ハワイ州上院議員を務めた後、アメリカ連邦議会下院議員としてワシントンD.C.に移りました。
再びハワイに戻るとホノルル市議会議員を経て2010年の知事選に立候補し、当時副州知事であったデューク・アイオナ氏を破り、第7代ハワイ州知事になりました。
アバクロンビー氏は公務員の給与削減などを提言し、財政危機に立ち向かいました。
また同性婚反対派に積極的に働きかけ、同性婚を認める法案に署名したことは注目を浴びました。
2014年には当時のオバマ大統領からの支持を受けた上で2期目を目指したものの、デイビッド・イゲ氏に破れ、1期4年で第8代州知事にバトンを渡しました。
第5代から第7代までの州知事をご紹介しましたが、名前を聞いたことがある知事もいたのではないでしょうか。ハワイ州政府ビルの州知事室には今回ご紹介したような歴代ハワイ州知事の肖像画のほかに、ハワイ準州時代の歴代知事の肖像画も飾られています。誰でも見学できるので、ダウンタウンを訪れた際などに訪れてみてはいかがでしょう。
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