2020-21シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝、マンチェスター・シティvsチェルシーが日本時間5月29日28時からポルトガルリスボンエスタディオ・ド・ドラゴンで開催される。初のファイナル進出で悲願のビッグイヤー獲得を目指す今季のプレミアリーグ王者と、2011-12シーズン以来2度目の優勝を目指すチェルシーによる、イングランド勢対決のファイナルだ。

本稿ではファイナリスト2チームの今シーズンここまでの勝ち上がりを振り返っていく。

マンチェスター・シティ
2020-21シーズンCL戦績
11勝1分け
25得点4失点

◆多数の離脱者も、恵まれたグループを無敗突破!

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ベスト8で涙を呑んだ昨季からの巻き返しを誓う中、グループステージではポルトマルセイユ、オリンピアコスという4大リーグ以外の3クラブと同居したグループCに入った。

グループステージ全体の流れではポルトとの初戦でいきなり先制を許してバタついたものの、その試合をきっちり逆転で飾ったことが勢いをもたらすことに。すでに突破を決めた中でのポルトとのリターンマッチは“塩試合”と揶揄される0-0のドローとなったが、オリンピアコスとマルセイユ相手には1ゴールも許さない圧倒ぶりをみせ、文句なしの首位通過となった。

この時期にはリーグ戦の不振に加え、FWアグエロとFWガブリエウ・ジェズスという2人のストライカーをケガで欠く状況が続いたものの、この緊急事態がFWフェラン・トーレスらのセンターフォワード起用、中盤の選手たちの得点意識を高める、チームとしての底上げに繋がった。

▽グループステージ結果

マンチェスター・シティ 3-0 ポルト
マルセイユ 0-3 マンチェスター・シティ
マンチェスター・シティ 3-0 オリンピアコス
オリンピアコス 0-3 マンチェスター・シティ
ポルト 0-0 マンチェスター・シティ
マンチェスター・シティ 3-0 マルセイユ

◆カンセロ躍動で古豪ボルシアMGを危なげなく撃破!
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決勝トーナメント初戦となったラウンド16ではインテル、シャフタールを退け、前身UEFAチャンピオンズカップ時代の1977-78シーズン以来となる決勝トーナメントに駒を進めたボルシアMGと対戦。なお、コロナ禍において今回のラウンドはいずれも中立地ブダペストプスカシュ・アレーナでの開催となった。

アウェイ扱いの1stレグに向けて公式戦18連勝と異次元の強さを見せていたチームは、試合の数日前にマルコ・ローゼ監督の今季限りでの退任および来季のドルトムント行きを発表し混乱に見舞われたブンデスの古豪を圧倒。戦術面では互いの特徴を出し合ったものの、個々のクオリティ、チームとしての完成度の差が顕著に表れた。とりわけ、左サイドバックのポジションで“カンセロロール”と名づけられた指揮官の求める多彩な役割を完璧に遂行したDFカンセロが“司令塔”として2-0の勝利に特大の貢献を見せた。

大きなアドバンテージを得て臨んだホーム扱いの2ndレグでは初戦で1ゴール1アシストの活躍を見せたMFベルナルド・シウバを“ゼロトップ”で起用。負傷明けのMFデ・ブライネもスタートから起用し、より中盤を厚くしたゲームコントロール優先の戦いを見せた。その中でデ・ブライネの見事な左足のミドルシュート、後半戦に入って“ストライカー”に変貌を遂げたMFギュンドアンの前半序盤の連続ゴールによって早々に突破を決定づけ、2戦共に2-0のスコア以上の力の差を見せつけた。

▽ラウンド16結果

ボルシアMG 0-2 マンチェスター・シティ
マンチェスター・シティ
ベルナルド・シウバ(前29)
ガブリエウ・ジェズス(後20)

マンチェスター・シティ 2-0(AGG:4-0) ボルシアMG
マンチェスター・シティ
デ・ブライネ(前12)
ギュンドアン(前18)

◆次代を担う若手の競演! ドルトムントに手を焼くもドイツ勢を連破
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昨季、格下リヨン相手に涙を呑んだ準々決勝ではボルシアMGに続き、ドイツ勢のドルトムントとの対戦となった。今回のラウンドでは古巣対戦のMFサンチョが負傷で間に合わなかったものの、MFフォーデン、FWハーランドという今後のフットボール界を担う大器の初競演に注目が集まった。

その注目の初戦ではホームのシティがボールを握り、ドルトムントがカウンターで応戦する構図の下、アウェイチームの善戦によって想定以上に拮抗した展開となった。デ・ブライネフォーデン、FWマフレズの見事なコンビネーションからデ・ブライネが前半序盤に先制点を挙げるが、その後は2点目が遠い。ボールを握って試合自体は支配したものの、相手キーマンのハーランドに存在感を示されると、84分にはそのハーランドのお膳立てからMFロイスに痛恨のアウェイゴールを献上。しかし、1-1のスコアでのタイムアップかに思われた90分にこの試合のもう一人の注目選手だったフォーデンが値千金の勝ち越しゴールを奪い、2ndレグに向けてアドバンテージを手にした。

迎えた2ndレグでも抜群の存在感を放ったのはシティの至宝。前半序盤にイングランド代表の後輩MFベリンガムに初戦のアドバンテージを引っくり返される先制ゴールを許す苦しい入りとなったが、フォーデンを中心に積極果敢に攻めたアウェイチームは後半序盤に相手MFジャンのハンドで得たPKをマフレズが決めて2戦合計スコアで再び一歩前に出た。さらに、どっちに転ぶかわからない一進一退の攻防の中、試合を決めたのがフォーデンの左足だった。75分、ボックス手前右から振り抜いた強烈な左足のシュートがGKヒッツの手を弾いて右ポストの内側を叩いてネットを揺らした。そして、ハーランドらとの初対決を制したフォーデンが2戦連発の活躍でチームをベスト4に導いた。

▽準々決勝結果

マンチェスター・シティ 2-1 ドルトムント
マンチェスター・シティ
デ・ブライネ(前19)
フォーデン(後45)
ドルトムント
ロイス(後39)

ドルトムント 1-2 マンチェスター・シティ
ドルトムント
ベリンガム(前15)
マンチェスター・シティ
マフレズ(後10[PK])
フォーデン(後30)

指揮官の修正力光り、自滅の昨季ファイナリストを撃破
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クラブ史上初のファイナル進出を目指して臨んだ準決勝の舞台では、同じく大会初制覇を目指す昨季の準優勝チームであるパリ・サンジェルマン(PSG)と対戦。戦前は世界屈指のタレント同士による個の勝負にスポットライトが集まったが、勝敗の行方を決めたのは世界屈指の名将ペップ・グアルディオラによる卓越した修正力だった。

今季途中からPSGの新監督に就任した元トッテナム指揮官のポチェッティーノは、ホームでの1stレグで立ち上がりからアグレッシブに前から圧力をかける戦い方を選択。すると、攻守両面で圧倒されたシティは15分にセットプレーからDFマルキーニョスに先制点を決められた上、以降もFWムバッペ、FWネイマール、FWディ・マリアビッグタレントに再三の決定機を許し、1点ビハインドで試合を折り返すのが精いっぱいという大苦戦を強いられた。

しかし、後半に向けてデ・ブライネベルナルド・シウバを最前線に並べた[4-4-2]への布陣変更と共に、フォーデンらの立ち位置に修正を加えたスペイン指揮官の采配が完璧に嵌った。デ・ブライネのクロスがそのまま入った幸運な同点ゴール、マフレズの直接FKが割れた壁の間を抜ける逆転ゴール、その後のMFグイエの愚行退場と、相手の自滅に救われた感もあったが、試合の流れ自体はシティが完璧に掴んでおり、勝利に相応しい内容だった。

敵地から2つのアウェイゴールを持ち帰る会心の1stレグを経て臨んだホームでの2ndレグでは、守護神エデルソン、DFルベン・ディアスやDFジンチェンコら守備陣の奮闘が光る勝利となった。試合前から降っていた雪の影響で、世界屈指のボールプレーヤーたちの輝きが少なからず弱まった中、エデルソンの見事なフィードを起点としたマフレズのゴールで前半の11分に先制したシティ。だが、以降はケガの影響でムバッペ不在となったものの、PSGの迫力のある攻撃に晒された。それでも、ルベン・ディアスが取り仕切る守備陣が再三の好守で失点を許さない。その守備陣の期待に応えた攻撃陣は63分に再び高速カウンターからマフレズがトドメの2点目を挙げると、ディ・マリアの愚行退場によって初戦に続き退場者を出した相手の攻撃を難なく凌ぎ切って2戦合計4-1の快勝で初のファイナル進出を果たした。

▽準決勝結果

パリ・サンジェルマン 1-2 マンチェスター・シティ
パリ・サンジェルマン
マルキーニョス(前15)
マンチェスター・シティ
デ・ブライネ(後19)
マフレズ(後26)

マンチェスター・シティ 2-0(AGG:4-1) パリ・サンジェルマン
マンチェスター・シティ
マフレズ(前11)
マフレズ(後18)

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