チャンピオンズリーグ(CL)決勝、マンチェスター・シティvsチェルシーが日本時間5月29日28時からポルトガルリスボンエスタディオ・ド・ドラゴンで開催される。初のファイナル進出で悲願のビッグイヤー獲得を目指す今季のプレミアリーグ王者と、2011-12シーズン以来2度目の優勝を目指すチェルシーによる、イングランド勢対決のファイナルだ。

2008年のアブダビ・ユナイテッド・グループによる買収以降、ビッグイヤー獲得を最大の目標に掲げてきたシティ。以降、超大型補強を敢行しマンチーニ、ペジェグリーニという2人の名将の下で悲願達成に全力を尽くすも、2015-16シーズンのベスト4進出が精いっぱいだった。

これを受け、2016年に稀代の名将グアルディオラ三顧の礼で迎え入れると、直近4シーズンでは獲得可能な国内タイトル12個の内、8つのタイトルを獲得。ただ、当初の目的だったCLでは直近3シーズン連続でベスト8の壁を越えられずにいた。しかし、今シーズンは鬼門の準々決勝でドルトムントを破り、準決勝では昨季準優勝チームのパリ・サンジェルマン(PSG)を撃破。クラブ史上初のファイナル進出を果たし、待望のチャンスが舞い込んできた。

また、国内の戦いにおいてはFAカップ敗退によって史上初のクアドルプル(4冠)の夢は潰えるも、圧倒的な強さで覇権を奪還したプレミアリーグ、EFLカップをすでに制覇しており、今回のCL初制覇で2018-19シーズン以来のトレブル達成を狙う。

一方、2011-12シーズン以来2度目のビッグイヤー獲得を目指すチェルシーは、就任2年目となったクラブレジェンドのランパード監督の下でシーズンをスタート。前シーズンにFIFAから補強禁止処分を科された影響もあり、コロナ禍において多くのクラブが財政難に陥った中で2億ポンドを超える超大型補強を敢行し、リーグとCLで一躍優勝候補の一角に名を連ねた。グループステージではその前評判通りの戦いを見せたが、リーグ戦での不振によって今年1月末にランパード監督を解任。そして、後任には同じく今季途中にPSG指揮官を解任されたトゥヘル監督を新指揮官に据えた。

すると、ヨーロッパ屈指の戦術家として知られる智将の下で堅守と安定したポゼッション、前線のタレントの推進力を生かした万能型のスタイルに生まれ変わったチームは、リーグ戦で逆転でのトップ4フィニッシュを決める共に、CLでもアトレティコ・マドリーポルトレアル・マドリーと難敵を退けて9シーズンぶりのファイナル進出を果たすことになった。

チェルシーは前述の初優勝時にビラス=ボアス監督をシーズン途中に解任し、暫定指揮官のディ・マッテオ監督の下で優勝を果たした経緯があり、2シーズン連続で異なるクラブをファイナル進出に導く初の監督となったトゥヘル監督の下でその再現を狙う。

マンチェスター・シティ
【4-3-3】
マンチェスター・シティ予想スタメン

(C)CWS Brains,LTD.

GK:エデルソン
DF:ウォーカー、ストーンズ、ルベン・ディアス、ジンチェンコ
MF:ベルナルド・シウバロドリ、ギュンドアン
FW:マフレズ、デ・ブライネフォーデン

負傷者:MFギュンドアン
出場停止者:なし

出場停止者はいない。主力全選手が遠征メンバーに名を連ねていたが、前日練習の終盤にフェルナンジーニョとの接触で足を引きずって練習を終えたギュンドアンのコンディションが唯一の気がかりだ。

スタメンに関しては最終調整となったリーグ最終節のエバートン戦(5-0で勝利)の先発メンバーをベースに、フェルナンジーニョ、スターリング、ガブリエウ・ジェズスに代わってロドリ、ギュンドアン、ベルナルド・シウバが復帰する見込みだ。ただ、ギュンドアンの状態次第ではフェルナンジーニョかスターリングが代役を務め、立ち位置や布陣に手を加える可能性もある。スタートの布陣に関しても[4-4-2]や3バックなど、グアルディオラによる奇策が用意されているかもしれない。

チェルシー
【3-4-2-1】
チェルシー予想スタメン
(C)CWS Brains,LTD.

GK:メンディ
DF:リース・ジェームズ、チアゴ・シウバ、リュディガー
MF:アスピリクエタ、カンテ、ジョルジーニョ、チルウェル
MF:ツィエク、マウント
FW:ヴェルナー

負傷者:なし
出場停止者:なし

出場停止者はいない。負傷者に関しても前日会見でトゥヘル監督が「負傷者はいない」と明言しており、負傷を抱えていた守護神メンディとカンテの復帰を示唆している。

スタメンに関しては直近のアストン・ビラ戦(1-2で敗戦)のメンバーをベースに、コバチッチとプリシッチに代わってカンテと、対シティ2戦連発中のツィエクの起用を予想。ただ、クリステンセンを3バックの右で起用する形や、コバチッチ、プリシッチ、ハヴァーツのスタート起用も想定される。

★注目選手
マンチェスター・シティ:MFケビンデ・ブライネ
Getty Images

シティの注目プレーヤーは絶対的司令塔のデ・ブライネ。今回の大一番ではウォーカールベン・ディアスフォーデン、マフレズと攻守両面で多くのキーマンが並ぶシティだが、やはり初のビッグイヤーを獲得する上でデ・ブライネの活躍は必須だ。今シーズンはハムストリングのケガや細かい負傷に悩まされて一時は精彩を欠く時期はあったものの、公式戦39試合に出場し、10ゴール18アシストと見事な数字を残してここまでの2冠達成の原動力となっている。

とりわけ、今シーズンはストライカー陣の離脱やパフォーマンスの問題もあり、これまで主戦場としてきたインサイドハーフだけでなくトップ下やゼロトップ起用など、ベルナルド・シウバと共により複雑なタスクを担っている。今回の一戦でもゼロトップ起用が見込まれており、相手のソリッドな3バック、難敵カンテとのマッチアップにおいて立ち位置、個の優位性をもたらす仕事が求められるところだ。

また、スタメンで出場した古巣対戦では3試合連続でゴールを決めており、チームにビッグイヤーをもたらすエースの仕事を期待したい。

チェルシー:MFメイソン・マウント
Getty Images

チェルシーの注目プレーヤーは若き司令塔のマウント。直近の2度の対戦においては、2戦連発のツィエクやエースのヴェルナー、アスピリクエタの活躍が印象的だったが、“本気”のシティに対しては負傷明けのカンテと共に、今季のクラブ年間最優秀選手に輝いた22歳の活躍が必須だ。

レンタル先のダービー時代からランパード前監督に重用された秘蔵っ子は、トゥヘル新体制移行後も絶対的な主力として扱われており、今や押しも押されもせぬブルーズの看板選手。フィニッシュの精度、プレス回避に課題はあるものの、ボールのオン・オフに限らず動き出しの質が高く、正確なキック、視野の広さを生かしたラストパスを武器にチームの攻撃をけん引。その貢献度は9ゴール8アシストという数字では計り知れないものがある。

また、今季公式戦53試合に出場するなど、恩師ランパードを彷彿とさせるタフさ、今季CLのポルト戦やレアル・マドリー戦でも見せたようにチームが苦しい状況で決定的な仕事を果たせる、その勝負強さは今回の大一番を制する上で重要な資質となるはずだ。

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