それによると、令和2年1~12月の累計妊娠届出数は 87万2227件。前年同期間の 91万6590件と比較すると 4.8%減で、過去最小を更新しました。
新型コロナウイルスの感染拡大により出産・子育てへの不安が増している状況で、少子化は今後も進んでいくと見られます。
妊娠届は前年比-4.8%、-17.6%の月も
それでは、令和2年度の妊娠届数を月ごとでチェックしていきます。
令和二年度 月別の妊娠届出数
※カッコ内は前年同月比
1月:8万2835件(-1.4%)
2月:7万1498件(-4.3%)
3月:7万8372件(3.9%)
4月:7万5578件(-0.3%)
5月:6万7321件(-17.6%)
6月:6万6736件(-5.8%)
7月:6万9349件(-10.8%)
8月:6万8337件(-6.2%)
9月:7万1669件(-1.2%)
10月:7万4973件(-6.6%)
11月:6万9804件(-4.8%)
12月:7万5755件(-1.8%)
合計 87万2227件(-4.8%)
ほとんどの月で前年同月比を下回りました。
特に、緊急事態宣言前後の5月と7月は下げ幅が大きくなっており、コロナ禍からの生活不安が下げ幅に影響している可能性もありそうです。
コロナ禍のなかで、子育て世代への補助が急務である現状が浮き彫りになりましたが、その一方で高額所得者への児童手当は廃止が決まったばかりです。
次に詳しく解説していきます。
高所得者向けの児童手当5000円が廃止に
年収1200万円以上の高所得世帯への児童手当を廃止する改正児童手当関連法が5月21日、参院本会議で成立しました。
2022年10月分から手当が廃止され、浮いた財源は待機児童解消のために充てられます。
こちらの児童手当廃止についても、見ていきましょう。
月5000円の特例給付が廃止に
まず、現在の児童手当について見ていきましょう。
現行の制度では、中学校卒業までの子ども1人について毎月手当が支給されます。金額は下記の通りです。
ただし、親の所得によって支給額が変わります。
たとえば会社員の夫と専業主婦の妻、子ども2人の世帯では夫の年収が960万円を超えた場合、「特例給付」として子ども1人につき月額一律5000円が支給されます。
この一律5000円の手当について、年収1200万円以上の高所得世帯は対象外となることが決まったのが、今回の法改正です。
これにより、夫婦どちらかの年収が1200万円を超える世帯への給付が2022年10月分からゼロになります。
廃止対象は児童手当をもらう世帯のうち4%、約61万人と見込まれています。
急速に進む少子高齢化
このままコロナ禍が収束しなければ妊娠・出生数の減少傾向が続く可能性があり、少子高齢社会へさらなる拍車をかけることになります。
「日本の少子高齢化」はいまや周知の事実で、世界の中でも飛びぬけて急速に進んでいます。
財務省によると、2014年において日本の総人口は1億2708万人で、そのうち65歳以上の方は3300万人。
現状では、65歳以上の方ひとりを20~64歳の方2.2人が支えています。
2022年以降は団塊の世代が65歳となることから、基礎年金の受給開始に伴い、社会保障費用が大きく増加することが見込まれています。
2025年には、65歳以上の方の人口は3657万人へ。65歳以上の方ひとりを20~64歳の方1.8人で支えることになると推計されています。
2040年には、第2次ベビーブーム世代(1971年~1974年生まれ)全員が65歳以上、その間に20~64歳人口は急速に減少し、2040年以降も減少が続くことが懸念されています。
支えなければいけない高齢者が増え続けるのに対し、それを支える現役世代は減り続けている現状が浮き彫りとなりました。
出産・子育てがしやすい環境を
ここまで、妊娠届出数が過去最小だった事実をもとに、決して楽観視できない日本の現状について解説してきました。
こうした状況下では、多くのカップルが結婚して子供を持ちたいと思っても、子どもは将来の負担を、親世代は経済的な負担を負うことを不安に思い、妊娠・出産に対し二の足を踏んでしまうのも仕方がないことなのかもしれません。
現状よりも多くの高齢者を、未来の子どもたちが支えなければならず、その負担が子ども、その親にまで重くのしかかっています。
誰もが安心して出産・子育てができる環境を作るためにどうするか、私たち全員が真摯に考えていく必要があります。
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