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加速力より重要な航続距離

text:AUTOCAR UK編集部
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

EV用バッテリーの技術開発は、搭載されているクルマ以上に急速に進んでいる。これまで以上にパワフルで効率的なバッテリーにより、メーカーは大幅な性能向上を実現している。

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しかし、実際に使用する上でより重要なのは、航続距離がかつてないほど長くなっていることだ。非常にコンパクトなEVでさえ、1回の充電で約320kmを走れるものもあり、購入時の不安払拭につながっている。今回は、電動化が急速に進む欧州で現在販売されているEVのうち、最も長い航続距離を誇るモデルのトップ10を紹介する。

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EVはただ航続距離が長ければいいというわけではないが、ユーザーにとって最も気になる点の1つであることは確かだろう。

同率8位:ヒュンダイ・コナ・エレクトリック

ヒュンダイは10年以上前からEV技術の最先端を走っており、コナ・エレクトリックはその努力が報われた証と言える。64kWhの大型バッテリーを搭載したこのコンパクト・クロスオーバーは、1回の充電で483kmの航続距離を実現する。

確かに、ハンドリングは大人しく予測可能なものであり、運転していて刺激的とは言えないが、204psのモーターは非常に生き生きとした加速を提供する。3万5000ポンド(545万円)強という価格設定も、このリストの中では手頃なものとなっている。

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ヒュンダイ・コナ・エレクトリック

同率8位:ヒュンダイ・アイオニック5

たまに、真のゲームチェンジャーのようなニューモデルが登場することがある。そんなクルマは得てして、どこからともなくやってきたように見えるが、ヒュンダイ・アイオニック5がまさにそうだ。

韓国のヒュンダイは電動化に精通しており、この点ではおそらく先行しているが、それでもこの最新モデルはかなりの衝撃を与えている。まず第一に、その外観は驚くべきもので、シャープエッジを持つハッチバックは、まるでデザイナーの設計図からそのまま飛び出してきたかのようだ。

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ヒュンダイ・アイオニック5

初期の試乗インプレッションでは、価格帯よりもはるかに高いレベルの高級感と洗練性、そして本物の個性が感じられた。さらに、容量の大きい73kWhのバッテリーを搭載した場合(58kWhのオプションもあり)、169psの後輪駆動モデルで483kmの航続距離を実現している。

7位:フォルクスワーゲンID.4

フォルクスワーゲンの「ID」シリーズの最新作であるID.4は、スコダ・エンヤクiVや近日発売予定のアウディQ4 eトロンとほぼ同じ構造と部品を備えている。最初に販売されるファースト・エディションでは、77kWhのバッテリー205psの電気モーターで前輪を駆動し、500kmの航続距離を実現している。

兄弟車のエンヤクiVほど広くはないが、フォルクスワーゲンならではの洗練されたラインと魅力が、より高級な雰囲気を醸し出している。今後、小型バッテリーを搭載した廉価モデルや、4輪駆動モデルも発売される予定だ。

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フォルクスワーゲンID.4

同率6位:スコダ・エンヤクiV

フォルクスワーゲンのMEBプラットフォームをベースにしたエンヤクiVは、2021年に最も注目されるモデルの1つになるだろう。ファッショナブルなSUVスタイルと、スコダらしい実用性(585Lの広大なトランクなど)、そして魅力的な価格設定を兼ね備えたこのチェコ製マシンは、EVの購入を検討している家族にとって、まさにうってつけのモデルだ。

重要なのは、大容量の80kWhバッテリーを搭載した場合(60kWhのオプションもあり)、204psのエンヤクiVは、509kmの走行が可能だということだ。

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スコダ・エンヤクiV

同率6位:キアEV6

585psの出力と、ポルシェ・タイカンを脅かすほどの加速力を持つキアのEVフラッグシップ、EV6 GTが話題をさらっている理由は容易に理解できる。ヒュンダイ・アイオニック5と同じE-GMPプラットフォームを採用したこのEV6 GTは、800Vの充電アーキテクチャーを備えており、理論的には77.4kWhのバッテリーをわずか18分で80%まで充電することができる。

廉価仕様である5ドアのクロスオーバーモデル(EV6)は、後輪駆動で229psのモーター1基を搭載しているが、それでも0-100km/h加速は6.2秒、航続距離はラインナップの中で最長の509kmに達する。

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キアEV6

5位:フォルクスワーゲンID.3

フォルクスワーゲンID.3ほど欧州で大きな反響を呼んだEVはないだろう。ファミリー向けEVの主流としては、日産リーフに先を越されてしまったが、ID.3の重要性を無視することはできない。最初からバッテリー駆動を前提に設計された後輪駆動のID.3は、まさに「クリーンシート」と呼ぶにふさわしいものだ。

ミニマルなインテリアは明るく開放感があり、ドライビング・エクスペリエンスも落ち着きがあって快適だ。82kWhのバッテリーを搭載し、541kmの航続距離を実現したこともプラス要素だ。

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フォルクスワーゲンID.3

同率3位:テスラ・モデルX

特徴的なガルウイングを持つモデルXは、100kWhの大容量バッテリーを搭載しており、その後続距離が他のモデルよりも長いことは驚くに値しない。モデルSと同様、モデルXもアップデートを受け、高性能のプレイドモデルが追加されたほか、インテリアも一新されている。

重要なのは、リチウムイオンバッテリーを改良した結果、航続距離がモデル3に匹敵する579kmにまで伸びたことだ。さらに、モデルXは4輪駆動で、大人7人を乗せることができ、3.8秒で100km/hまで加速することができる。もう少しお金を出して航続距離を32km犠牲にすれば、プレイドが同タイムを2.5秒に縮める。

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テスラ・モデルX

同率3位:テスラ・モデル3

世界で最も売れているEVだが、最も遠くまで走れるというわけではない。イーロン・マスクが世に送り出したなかで最も手頃な価格のモデル3は、テクノロジーを駆使したクールさと日常的な使い勝手の良さ、そして驚くべきスピード感が融合し、販売面でも大成功を収めている。

いくつかのバージョンがあるが、できるだけ多くの時間を移動に費やしたいのであれば、その名も「ロングレンジ・プラス」が必要だ。82kWhのバッテリーを搭載し、1回の充電で579kmという優れた航続距離を実現している。

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テスラ・モデル3

2位:フォード・マスタング・マッハE

このクルマをマスタングと呼ぶのは異端だと主張する人はまだたくさんいるが、マッハEは実際にポニーカーの仲間入りをする価値のあるクルマだ。まず、350psの4輪駆動モデルでは、5.1秒で0-100km/h加速を達成することができるなど、「マッスル」に不足はない。

俊敏性、グリップ、快適性を備え、運転していて気持ちがいい。室内はややチープな印象を受けるかもしれないが、テスラ風の巨大なインフォテインメント・タブレットを採用することで、相応のハイテク感を演出している。88kWhのバッテリーを搭載した後輪駆動モデルを指定すれば、610kmを走行することができる。

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フォード・マスタングマッハE

1位:テスラ・モデルS

テスラの最年長モデルは、1回の充電で最も遠くまで走ることができるモデルでもある。最新型では、「ルディクラス」なパフォーマンスを発揮するプレイドモデルや、K.I.T.T.(ナイト2000)を彷彿とさせるU字型のステアリングホイールを備えたミニマルなインテリアが話題を集めているが、航続距離もさらに伸びている。

アップデートの結果、100kWhバッテリーを搭載したロングレンジモデルでは、1回の充電で663kmの走行が可能となり、テスラはさらなる延長を目指している。最新のライバル車に比べて作り込みの良さやドライビングの魅力度は劣るが(ステアリングは無味で、ハンドリングは鈍く、乗り心地はぎこちない)、EVで可能な限り遠くまで移動するという点では、モデルSは無敵だ。

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テスラ・モデルS

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