未だ続く新型コロナウイルスの脅威によって、大小様々な影響が出ているエンターテインメント界。その中でも今、もっとも厳しい措置が取られているのが大阪府だ。三度目の緊急事態宣言の「すべての催しは無観客で」という要請が、府の独自の判断で継続され、日本で唯一「有観客ライブができない都市」となってしまった。

しかしその要請が、6月1日でようやく緩和されることに。とはいえ、土日については無観客が引き続き要請されるという、相変わらず厳しい状態が続いている。この前代未聞な状況に対して、6月1日(火)~13日(日)の間に大阪で開幕・再開予定だった主な舞台が、どのような対応をしているかを、開幕日順に並べてみた。

南河内万歳一座『ラブレター』は一部公演中止&劇団初の生配信公演の日程を変更。

南河内万歳一座『ラブレター』は一部公演中止&劇団初の生配信公演の日程を変更。

ミュージカルモーツァルト!』
6月5日(土)・6日(日) は全公演中止。その他の回は、当初のタイム&キャストスケジュールで上演。

南河内万歳一座『ラブレター
6月5日(土)・6日(日) は全公演中止。その他の回は、当初のタイムスケジュールで上演。5日に予定していたライブ配信は、4日夜公演に変更。

●『魔界転生
6月5日(土)・6日(日) は全公演中止。その他の回は、当初のタイムスケジュールで上演。

●「令和3年6月文楽鑑賞教室」
6月5日(土)・6日(日)・12日(土) は全公演中止。その他の回は、当初のタイムスケジュールで上演。※13日(日)は休演日。

●彩の国シェイクスピア・シリーズ『終わりよければすべてよし』
6月12日(土)・13日(日)は全公演中止。その他の回は、当初のタイムスケジュールで上演。

彩の国シェイクスピア・シリーズ『終わりよければすべてよし』は土曜・日曜の計3ステージが中止に。

彩の国シェイクスピア・シリーズ『終わりよければすべてよし』は土曜・日曜の計3ステージが中止に。

●ブルーシャトルプロデュース『応仁の乱
6月12日(土)・13日(日)は全公演を、無観客上演のライブ配信に変更。その他の回は、当初のタイムスケジュールで上演。※ライブ配信は、大阪の全公演で実施。

ミュージカル『メリリーウィー・ロール・アロング』
6月12日(土)は公演中止。11日(金)は、当初のタイムスケジュールで上演。

●新ロイヤル大衆舎『王将』
5/31の時点では、特に発表はなし。

●M&Oplays プロデュース『DOORS』
大阪公演をすべて中止。

土曜・日曜の2日間のみの公演だった、M&Oplays プロデュース『DOORS』は大阪公演がすべて中止に。

土曜・日曜の2日間のみの公演だった、M&Oplays プロデュース『DOORS』は大阪公演がすべて中止に。

首都圏は平日公演の観劇人口がかなり増えてきたというが、関西ではまだまだ週末が観劇日の主流。週末のみの開催だったため、結果的に全面中止となった催しは、演劇以外でも多数存在するはずだし、仕事や学校などで「平日の観劇は不可能」という観客も多いだろう。

この事態を受けて、大阪を拠点とする劇団で構成される組織「大阪現代舞台芸術協会(DIVE)」では、公式サイトに「緊急事態宣言 期間延長に関して」というタイトルで、「大阪府文化振興条例の第一章 第二条」を引用しながら、現在の大阪府自粛要請に疑問を呈する声明を発表した。また同時に、表現者・一般観客を問わず、幅広い層を対象にしたWEBアンケートを実施し、そこで集まった約300件の意見を、5月25日大阪府に提出。アンケートにはその後も声が集まり、28日9時の時点で400件を超えたという。

「大阪現代舞台芸術協会(DIVE)」が公式サイトのトップに上げた声明文。

「大阪現代舞台芸術協会(DIVE)」が公式サイトのトップに上げた声明文。

6月14日以降の公演の状況はここでは取り上げなかったが、少なくとも緊急事態宣言中の6月20日までは、この状況は続くと見込まれている。それに対して各団体が、様々な対応を見せると思われるので、SNSなどで最新の情報を随時チェックしておく方がいいだろう。そして月並みな言葉だが、まずは新型コロナの状況が落ち着いて、胸を張って劇場まで足を運べる日が、一日も早く来ることを願わずにいられない。

取材・文=吉永美和子

5月中の公演に続き、6月の公演も一部中止になった『モーツァルト!』。