好評放送中のTVアニメ「究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら」(以下「フルダイブ」)。土日月さんによる小説を原作とした本作は、リアルを極めたおかげでとんでもないクソゲーとなってしまったフルダイブRPG「極・クエスト」(以下「キワクエ」)の世界で、男子高校生の結城宏ことヒロが悪戦苦闘し続けるコメディ作品です。WebNewtypeではそんなアニメに出演するキャストにリレーインタビューを実施。第5回はヒロの妹ながら、手厳しい態度で接する結城楓役の古賀葵さんに、キャラクターや同じように兄を持つ妹としての思いを語ってもらいました。

TVアニメ「究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲ―だったら」より

――まず古賀さんが楓をどう捉えているか教えてください。

古賀 元はお兄ちゃん愛に溢れていましたが、ある事件をきっかけにギクシャクしちゃって。それからはお兄ちゃんの本当のよさを知っているがゆえに、強く当たってしまう複雑な子です。

――楓は今もヒロを好きなんでしょうか?

古賀 表向きは“嫌い”をガンガン出してますけど、結局のところ好きでしょうね。でも思春期だったり、過去の出来事が引っかかってしまって、ツンケンとなかなか素直になれないんだと思います。

――そんな楓を演じる際のポイントは?

古賀 この年頃の子は、身内だからこそ遠慮なしに自分の感情をぶつけちゃう事ってあると思うんで、勢いで口から出ちゃってる感じは意識していました。実際私が楓と同じ年の頃は、ちょっとしたことが気に食わなかったり、カッとしてキツく当たってしまって「なんであんなこと…」と、冷静になって一人反省して自分が嫌になったり、不安定で多感だったなと思います。楓も一人、部屋でそんなこと思ってたのかなとか。それでも「これくらいやるとヒロが傷つき過ぎるんじゃないか」と優しく言ってしまい、「もっとクズを見るような感じで」とディレクションを受けることもありました。ディレクションの内容も辛辣でしたね(笑)

――古賀さんお兄さんがいるそうですが、そのディレクションはすんなり飲み込めましたか?

古賀 私は以前の楓ちゃんのようにお兄ちゃん好きなところがありまして。最近はこんなに強く何かを言った覚えがないので、小学生、中学生の頃にケンカしたことなんかも思い出しつつ演じました。

――楓はわかりやすく属性を分類するとツンデレなんでしょうけど、今のところまったくデレがないですよね。

古賀 そうなんですよ! 少しデレてほしいと思ってそういうニュアンスを入れたらやっぱり「ちょっとデレが強すぎます」というディレクションがあって(笑)。いつデレるか、ここか⁉と結構楽しみだったんですが…。どうにかデレさせたかったんですけどね。ただ、それでもお兄ちゃんは好きだから、強い言葉の中に隠れた“好き”を感じてもらえると嬉しいです。

――楓も今後少しはデレるんでしょうか。

古賀 そこは…今後のお楽しみということで(笑)。

――そんな楓はヒロインの中で唯一現実世界でのみ登場しますね。

古賀 この作品はゲーム内のギャグやコメディに目が行きがちですが、そんな中でも少しずつヒロが前に進んでいて、現実世界の楓ちゃんとヒロが会話するシーンで「ヒロも成長しているんだ」と感じられるシーンも結構多いと思うんです。だから楓は、視聴者と同じような立場でヒロの成長を感じられるキャラクターでもあるのかなと思います。

――ちなみに「キワクエ」内はずっと賑やかですが、楓としてあちらの世界に行ってみたかったという思いはありますか?

古賀 確かに! そういうシチュエーションは見てみたいし、面白そうですね。でも向こうの人たちと仲良くなれるのかな……。楓は1回プレイしたら「私はもういい。こんなの捨てちゃいなさいよ!」とより強く当たっちゃうかもしれませんね(笑)。

――古賀さんは本作と同じ原作者のアニメ「慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~」にもエルル役で出演していました。土日月さんの作品はどんなところが魅力だと感じますか?

古賀 会話劇がとにかくすごいです。キャラクターの個性もハッキリしているし、会話のテンポが物凄く速くて、ギャグだと思ったら急にシリアスなシーンに突入するし。ジェットコースターみたいで観ている方は時が経つのがあっという間でしょうし、演じている側としてはめちゃくちゃ鍛えられます。「フルダイブ」だとヒロ役の山下(大輝)さんとレオナ役の竹達(彩奈)さんの間髪入れない会話の応酬とギャグセンスは流石だなと思いましたし、勉強になりました。

――これまでに放送された中で印象的なシーンを教えてください。

古賀 まず楓以外のシーンだとアリシアが豹変したシーンです。「この子はヒロインのひとりだよな……」と思いつつ、ファイ(ルーズ)ちゃんだもんな、と妙に納得できたり(笑)。楓関連だとやはり4話冒頭のヒロの事件のシーンです。元々好きだったお兄ちゃんにああいうことが起きて、しかも楓は完全に拒絶されちゃって……自分が同じ立場になったら、と思うとかなりしんどかったですね。

――兄がいる古賀さんだけになおさら、ですか。

古賀 そうですねはい。口では嫌々言っていても、結局は味方でいてくれる存在が家族だと思うんですよね。そんな大好きで尊敬する人にあんなに真正面から完全に拒絶されたら楓もダメージ大きいだろうな……と、私も一緒にしっかり傷付きました(笑)。

――少し話変わって、失礼な質問で恐縮なのですが……古賀さんブラコンなのでしょうか? そういう噂を聞きまして。

古賀 なんですか、それ(笑)。でも実際そうですね。改めて自分で言うのもアレですが。兄は私に対していつも塩対応なんですけど、お正月などに実家に帰ったときは、私が「構ってくれ~」ってちょっかい出してる感じです。めんどくさそうでも、なんだかんだドライブに連れて行ってくれたり、遊んでくれたり。なんでも話せますね。仲はいいと思います。

――なるほど。では本編の話の最後に現実世界側の今後の注目ポイントを教えてください。

古賀 ヒロをイジメていたヤンキーがいましたが、ああいう子たちとの関係やもちろん楓との仲を、ゲームで成長したヒロがどう変えていくかでしょうか。この作品のお話は非現実的ですけど、現代の悩める若者にありそうな要素も少し含まれているなと思っていて。今、人間関係で悩んでいる人にもぜひ観てほしいです。

――ありがとうございます。古賀さんはエンディングテーマ「キスイダ!」もヒロイン4人のひとりとして歌われています。曲の印象を教えてください。

古賀 最初に聴いた時は「なんてかわいいんだ!」とめちゃくちゃ感動しました。私が小さい時に観ていたアニメの歌という感じで少し懐かしくって。それから、そのかわいらしさや中毒性を楓としてどう表現しようかと悩みました。

――曲はかわいいけど、楓はデレられませんからね。

古賀 そうなんです。「歌くらいデレていいかな?」とウキウキしていたんですけど、収録のときに相談したら「楓なのであまりデレを出さずにいきましょう」となりまして。キャラクターソングでこんなに不機嫌そうに歌ったのは初めてでした(笑)。新しい挑戦ができて楽しかったです。

――特に好きなところは?

古賀 ヒロイン4人の台詞をじっくり聴いてほしいです。みんな工夫していて、「いい!」と思えたりクスって笑えたり、それぞれに個性が出ているので。

――改めて聴いてみます。それでは本編から離れた話を伺います。古賀さんはどれくらいゲームをプレイされてきましたか?

古賀 小さい頃は兄がよくゲームをしていたので、その隣で観ていることが多かったです。「危ない危ない危ない!」「うるさい!」なんて言い合いながら。でも大人になってからRPGに手を出して、今ハマっています。自由度が高くて、世界観にどっぷりつかれて楽しいですね。

――具体的にはどのゲームでしょう?

古賀 自分が出演している作品なんですが、アプリの「原神」です。本当にグラフィックがきれいで自由でキャラクターの個性もしっかり表現されていて……アプリの宣伝か、という感じですが(笑)。

――(笑)。それでは次に最近「クソゲー!」と感じたことを教えてください。

古賀 私、すごく人見知りなんです。初めて共演する方とコミュニケーションしようと思っても、「今話しかけて大丈夫かな、迷惑じゃないかな」とかすごく悩んじゃうんです。でもファイルーズあいちゃんがコミュ力の塊で、初対面でもすぐに仲良くなれちゃうんですよ。それを見てて「こういう星の下に生まれていたら……いや、頑張れ私!」と心の中で葛藤してます(笑)。

――確かおふたりの年齢は近いですよね。

古賀 たぶん同い年くらいかな?クソゲーだな!というより、彼女のそういうところは、すごく素敵だなと憧れますし、見習いたい見習いたいです。

――今日話している印象では古賀さんも充分なコミュ力をお持ちだと感じました。最後に「キワクエ」における「親友殺し(ベストフレンド・キラー)」のような称号に関するリレー質問です。まず前回登場した石谷さんからは「兄者大好き♡慈愛のボクっ娘」という称号を与えられました。古賀さんツイートを見ていて、やはりお兄ちゃん好きが印象に残っているようです。

古賀 よく覚えていて下さって…Twitterも…とても嬉しいしありがたいのですが…なんかめちゃくちゃ恥ずかしいです‼‼ 自分で言ってる分には平気なのに、改めて掘り起こされるとこんなにも羞恥心が溢れるのですね…。今後、兄の話をするときは気をつけようと思います。。。ありがとうございました。(笑)。

――続いて、次にインタビューが公開されるミザリサ役の井澤詩織さんに称号を与えてください。

古賀 井澤さんはカメラが好きで、特に女の子の美しさを引き出すのが得意なんです。だから「美少女図鑑」で。ご自身もきれいな美少女ですし。いつか撮影した子たちのフォトブックを出してくれたら嬉しいです。

【取材・文:はるのおと】

TVアニメ「究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲ―だったら」より/(C)土日月・株式会社KADOKAWA刊/究極進化した製作委員会