「ハイパーインフレ、デノミ、財産税」に備える

最近「グレート・リセット」という言葉をよく耳にしますが、これはいったい何でしょうか。この言葉がよく聞かれるようになったのは、今年のダボス会議のテーマが「グレート・リセット」になったからでしょう。

グレート・リセットを一言で言うと、戦後長く続いてきた社会経済システムや金融システムなど、あらゆるものが「ガラガラポン」になることだと私は理解しています。

つまり、今までの常識が非常識になったり、経済の仕組みが根本から変わってしまったり、世界のパワーバランスをも変えてしまう、そんな可能性があるということです。

そんな「ガラガラポン」が起きたときに、一番影響を受けるのは何を隠そう私たち一般人です。

世界的なリセットが起こることで、住むところを奪われたり、大切な資産が毀損したりする可能性はゼロではありません。中国の海洋進出や今ミャンマーで起きていることが、日本では起こり得ないと言い切れるでしょうか?

そこで今回は、そもそもダボス会議とは一体何なのか? なぜ今年のテーマがグレート・リセットになったのか? そして仮にグレート・リセットが起きたとき、あなたの大切な家族と資産を守るための「3つの方法」について解説します。

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「ダボス会議」「グレート・リセット」とは何か?

まず、グレート・リセットが今年のテーマになったダボス会議について解説しましょう。

ダボス会議は、毎年スイスのダボスで行われる世界経済フォーラムの年次総会のことで、世界中のトップリーダーが一堂に会して、世界が直面する重大な問題について議論する場になっています。

約3千人の選ばれた知識人やジャーナリスト、多国籍企業の経営者、各国の政治家などが参加するもので、昨年はアメリカのトランプ前大統領も参加しています。

今年はコロナの影響でスイスでの開催を断念し、シンガポールで5月に開催を予定していましたが、これもコロナの影響で8月に延期となり、最終的には先日中止が発表されました。そんなダボス会議の今年のテーマが「グレート・リセット」だった、というわけです。

ダボス会議は世界情勢の改善に取り組む国際機関で、世界をよりよい方向に導く会議です。そして、この会議には世界中のトップマネジメントが集まって世界が進むべき道について話し合うので、この会議で決定した方針がそのまま現実社会や経済に反映されやすくなると言えます。

そのため、毎年世界中がこのダボス会議に注目しています。

ちなみにグレート・リセットを提言したのは、ダボス会議の会長であるクラウス・シュワブ氏です。彼は昨年出版した『グレート・リセット』という本の中で、今回のコロナを契機に社会は変わらなければならないとして、社会秩序を再構築することをグレート・リセットと定義しました。

具体的には、次の3つです。

  1. 環境への取り組みについて

  2. デジタル技術革命について

  3. 貧富の差の是正

一見聞こえのいい提言に思えますが、裏読みをすれば増税や共産化の流れが来ているように私は感じてしまいます。

たとえば、環境については脱炭素化に伴う増税の強化が進むでしょうし、昨年から始まったレジ袋の有料化などはまさしくこの動きの始まりだと思っています。

デジタル化については、コロナワクチンを一律に接種させることで、国による個人情報の一元管理が加速しているような気がします。

さらに、貧富の差の是正に関しては、コロナの給付金を支給することで、ベーシックインカム化による共産化の流れも出てきているように思われます。

しかし、その給付金の原資になっているのは世界的に国債の発行によるものなので、各国がお金を刷り過ぎてしまった結果、それぞれの通貨価値の毀損を招き、日本で戦後に起きたようなハイパーインフレからのデノミ、財産税が起こる気がしてなりません。

そして、その予兆として2024年に新円への切り替えが予定されていて、大河ドラマが1万円札の肖像になる渋沢栄一さんであることも、とてもキナ臭く感じてしまいます。

インフレになっちゃったので、元に戻すために財産税を徴収しますね。それでもって、今日から新しいお札を使ってください。古いお札はもう使えませんよ」みたいなことになるかもしれません。

まぁこれは都市伝説のようなものなので、可能性は小さいとは思いますが、誰も予測できなかった今回のコロナのように、「まさか」は必ずあるものです。そして、グレート・リセットという予兆もすでにあるので、この「まさか」に備えておく必要があるのではないでしょうか。

起こり得るマクロとミクロのリセットとは何か?

では、もしグレート・リセットが起こるとしたら、具体的にどのようなことが起こり得るのでしょうか? アフターコロナの世界では、マクロとミクロで考える必要があると思います。

まずマクロのリセットとして、中国は以前から「真珠の首飾り戦略」として東南アジアへの進出を加速しており、日本や台湾、そしてフィリピンへの海洋進出も日増しにエスカレートしています。

しかも、今年は中国共産党の設立100周年を迎えますので、この節目に習近平も後世に残る手柄を立てようと焦っている気もします。

また、ミャンマーでは国軍のクーデターが起きて、市民に平気で銃口を向ける様子が毎日報道されています。このようなマクロ的なリセットは大きな国際紛争などや、最悪は戦争に発展する危険もあるでしょう。

次にミクロリセットについてですが、これはもう私たちの周りですでに起こっていますよね。

たとえば、コロナの影響で在宅ワークが当たり前になったことで、「働き方」というものが一瞬で変わってしまいました。

その結果として、個人の能力の差がハッキリと分かれるようになってしまいましたし、テレワークが主流になってどこでも働けるようになった結果、住むところはボーダーレスになり、能力次第でどんな働き方でもできるようになりました。

自分は本当はどんなライフスタイルを送りたいのか? 本当に大切なものは何なのか? そういったことを考えるようになって、根本から価値観が覆された人は多いのではないでしょうか。

そして、コロナの影響で将来の不安が大きくなったことから、副業をしたり、投資に興味を持ったりする人も多くなりました。

このように、グレートリセットの予兆は色々なところに出ています。

今後考えられる最悪のシナリオとしては、一つには中国が世界から孤立して国際間紛争が起きる可能性。もう一つは日本国内で財政再建のためにインフレ、デノミ、財産税が起こるリスクがあると私は考えています。

こういうことを言うと、「不安を煽ってなんのつもりだ!」「そんなこと起こるわけないじゃないか!」と言う人がいますが、本当にそうでしょうか? 今回のコロナだって、世界中がこんなことになるなんて誰も予測していませんでした。

もし、戦後の我が国で起きた、インフレ、デノミ、財産税の3点セットが起こる可能性が0%だと胸を張って言えるなら、何もせずにどんと構えていればいいでしょう。しかし、たとえ1%でも起こる可能性があると思うのなら、何かしら備えておかなければ、自分の資産は守れないと思います。

では具体的にどう備えればいいのでしょうか?

家族と資産を守る3つの方法について

そこで最後に、ミクロとマクロのグレート・リセットからあなたの大切な家族と資産を守る「3つの方法」について解説したいと思います。

それぞれの具体的な方法は今後機会を見て執筆しようと思いますが、YouTubeウラケン不動産の中ではすでに何回も解説していますので、今すぐ知りたい方はそちらをご覧いただければと思います。

1)円資産の半分を外貨にして運用する

1つ目の方法は、「円資産の半分を外貨にして運用する」ということです。

日本は世界でナンバーワンの財政赤字国で、その国債の累計発行額は1,400兆円あまりと、なんとGDPの約2.4倍もあります。この額は戦後の2倍よりも大きいのですが、戦後の日本は国の借金ハイパーインフレ、デノミ、財産税の3点セットで、国民の財産をある意味没収する形でチャラにした歴史があるのです。

今後、財政再建先送りされ続け、ずっとお金を刷り続ければ、円の価値は希薄化し続けていきますから、どこかで必ず「ガラガラポン」があると考えるのが普通です

MMT論者はまだインフレになっていないから問題ないと言いますが、円を刷り続けて価値がどんどん希薄化し、そのうちオモチャのお札のようになってしまったらどうなるでしょう。当然、誰も円を信用しなくなります。

そうなると、私たちの円資産の価値が10分の1、100分の1になってしまう可能性もあるわけですし、その可能性は決してゼロではありません。

しかし、そのリスクヘッジとして、資産のうち半分以上の外貨を持っていれば、仮にインフレになったとしてもあなたの資産全体の価値は変わりません。つまり、これはシーソーの真ん中に立つことと同じで、片方の価値が安くなれば、反対の価値が高くなりますので、結果全体の資産の価値は変わらなくなるのです。

仮に最悪の事態が起きて円の価値がゼロになったとしても、外貨で半分は残りますので、それで生き延びることができるというわけです。

2)不動産などの現物資産を持つ

2つ目の方法は不動産などの現物資産を持つということです。

YouTubeウラケン不動産の中でも何度も解説していますのでここでは省略しますが、不動産はインフレデフレに強く、経済の変化が起きたとしても価値が変わりにくいという特性があります。しかも、アパートなどの収益不動産で保有すれば、毎月家賃も入ってきます。

不動産の他には、金が現物資産として重宝されます。価値の保全として考えれば金もいいでしょうが、金は利息を一切生みませんので、その点は不動産にはかないません。そして節税の観点からも、不動産に勝る資産はないと思います。

3)移住ビザを取る

最後は移住ビザを取るということです。

コロナがそうであったように、グレート・リセットも、いつ、どこで、どのような形で起こるかは誰にも予測ができません。日本は地震などの天災リスクが常にありますし、もしかすると、私たちが日本を追われてしまう可能性もないとは言い切れません。

そういう意味では、いつでも日本以外の国に移り住める状態が理想だと思います。その点、私が住んでいるマレーシアや、フィリピン、タイなどは比較的移住ビザを取りやすく、日本からもアクセスしやすいので、移住先として人気です。

現実的には移住しないまでも、ビザを取れるときに取っておいて、いつでも海外で暮らせる状態にしておくに越したことはないと思います。

おわりに

さて、いかがでしたでしょうか? 今年のダボス会議は中止となってしまったものの、世界を動かしているリーダーたちが集まる会議のテーマが「グレート・リセット」だったのですから、私たちはグレート・リセットが起きると思って準備をしておくべきではないでしょうか。