稀に異種の子を受け入れる野生生物の姿が目撃されることがある。このほどニュージーランド沖合でもイルカがクジラの赤ちゃんと一緒に泳ぐ姿が捉えられた。
海洋専門家は、「イルカが自分より大きい異種の子を受け入れることは非常に珍しく、恐らく我が子を失ったイルカの母性が働いたのでは」と述べているという。『IFL Science』などが伝えている。
ニュージーランドのパイヒア沖で、今年3月と4月にバンドウイルカとヒレナガゴンドウクジラの赤ちゃんが一緒にいる光景が目撃され、Facebookでシェアされた。
撮影者は、海洋保護・研究を行う団体『Far Out Ocean Research Collective』の研究者らで、ヒレナガゴンドウの群れが去った後、バンドウイルカがクジラの赤ちゃん1頭に寄り添うようにして泳いでいたという。
5月17日にシェアされたFacebookには、同じペアと見られる2頭が5週間も一緒に泳いでいることが確認された写真がある。
イルカの母性が働きクジラの赤ちゃんを横取りした?
海洋研究者ヨッヘン・ジーシュマーさんは、ジブラルタル海峡でも、クジラがイルカに育てられた前例があるとして、異例の異種間相互作用について次のように述べた。
バンドウイルカは、他の種の子供を群れから横取りして育てることがあります。しかし、通常はマイルカなど似たサイズのイルカを育てると知られており、自分より大きいクジラの赤ちゃんを受け入れることは非常に珍しい。
他の種の子を盗む行為は、バンドウイルカの母性本能が誤った結果である可能性が高く、今回もおそらく我が子を失ったイルカの母性本能が働き、クジラの赤ちゃんの子育てをするようになったのではないかと推測しています。
ニュージーランド近海では、異種が同じ生息域で泳ぐことは、決して珍しくはないそうだ。
ジーシュマーさんによると、バンドウイルカが異種の子を育てるのは数週間~数か月ほどで、今後ヒレナガゴンドウクジラの群れに遭遇した場合、赤ちゃんは群れに戻る可能性があると話している。
ヒレナガゴンドウクジラは、共同で子育てをする生物です。自分の子を持たないメスのクジラでも母乳が出る可能性があります。
また、バンドウイルカとヒレナガゴンドウクジラの餌は異なる。そのため、授乳を終えたら自然と2頭は離れることになるだろうという見解もジーシュマーさんは述べている。
ヒレナガゴンドウは、分類上はマイルカ科ゴンドウクジラ属に属するイルカまたはクジラと称される。
クジラの仲間としては小型だが、イルカとして扱われる種の中では最も体長が大きく、成長するとバンドウイルカと比較して体重は倍以上になるという。
そういうことからも、今回の異種の子育て光景は非常に珍しいケースのようで、『Far Out Ocean Research Collective』はFacebookで「この興味深い現象をモニタリングできるよう、再びペアに再会できることを望んでいます」と締めくくっている。
written by Scarlet / edited by parumo
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