厚生労働省は2021年5月28日、長引くコロナ禍で緊急事態宣言が延長されることなどを踏まえ、「休業支援金」制度の申請期限を2か月延長することを公表しました。

具体的には、中小企業のシフト制労働者などの申請期限を5月末までとしていたところを、7月末に延長します。

休業支援金は、コロナ禍のために休業手当が支払われていない人を支援する制度です。そこで今回は休業支援金の制度について解説していきます。

休業支援金とは?

まず、休業支援金制度のキホンを解説していきます。

休業支援金制度の正式な名称は、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」です。コロナ禍の影響で休業させられた労働者のうち、休業中に賃金(休業手当)を受けることができなかった人に、一定の金額を支給する制度です。

主な対象者は下記のとおりです。

  • 中小企業令和2年4月1日令和3年6月30日までに、コロナ禍の影響を受けた事業主が休業させ、その休業に対する賃金(休業手当)を受け取っていない方

  • 大企業…以下の(1)(2)の期間について、大企業に雇用される契約上、労働日が明確でない方(シフト制、日々雇用、登録型派遣など)であって、コロナ禍の影響を受けた事業主が休業させ、その休業に対する賃金(休業手当)を受け取っていない方

(1)令和2年4月1日から令和2年6月30日まで
(2)令和3年1月8日から令和3年6月30日まで

それでは、具体的に支給額はいくらになるのでしょうか。

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休業支援金はいくらもらえる?

ここからは、休業支援金の支給額について見ていきます。

中小企業の方】支給額の算定方法(原則)
(休業開始前賃金日額) × 80%× {(各月の休業期間の日数)-(「就労等した日数」と「労働者の事情で休んだ日数」の合計)}

少しむずかしいですが、ざっくりいうと、もともともらっていた給料の8割が支給されるということになります。

なお大企業の方で2020年4月1日6月30日の休業の場合は、上記の80%が60%となります。

また、1日あたりの支給額にも上限額があります。具体的には下記の通りです。

ただ、コロナ禍で営業時間の短縮をした飲食店などの施設で勤務していた方の場合は、2021年5月1日~2021年6月30日までの期間でも1万1000円が上限になります。

では、実際にどれぐらい利用されているのでしょうか。

申請件数200万件、支給額は1000億円超に

厚生労働省の2021年6月3日時点の速報値によると、実績は以下の通り。

休業支援金の実績(累計)

  • 申請件数…201万6914件

  • 決定件数…155万5304件

実に200万以上の申請件数があったことになります。

また、累計の支給額は1162億9075万円(2021年5月27日時点)に上ります。

それでは、休業支援金の申請に必要な書類も解説します。

休業支援金に必要な書類とは?

休業支援金を請求するために必要な書類は下記の通りです。

  • 支給申請書

  • 支給要件確認書(基本的に労働者と事業主で協力して作成※)

  • 本人確認書類(免許証の写しなど)

  • 振込先口座の確認書類(キャッシュカードの写しなど)

  • 休業前および休業中の賃金額を確認できる書類(給与明細の写しなど)

  • 大企業の方のみ】シフト制、日々雇用又は登録型派遣である旨の疎明書及びその内容が確認できる書類(労働契約書など。ない場合はその旨申し出てください。)

※事業主の協力が得られない場合、その旨を支給要件確認書に記載すれば申請可能です。

申請はオンライン申請と郵送申請があり、労働者の方から直接申請が可能です。

オンライン申請ページへのリンクはこちら。

該当する方は遠慮なく申請を

休業支援金制度について、ここまで解説してきました。

長引くコロナ禍の影響で、生活に苦しむ人は今後も増えていくことが予想されます。2021年5月28日には生活困窮者に最大30万円の支援金を支給することが政府から発表されたばかり。

今後も支援策は拡充されていく可能性があるので、定期的に情報をチェックすることをおすすめします。

またこうした制度は活用されてはじめて意味を成すもの。ご自身が休業支援金の支給対象に当てはまる場合は、遠慮せずに申請しましょう。

参考資料