松坂桃李演じるスーパー店員の桃地のぞむが恋した漫画家の蟹釜ジョーこと唯月巴(ゆいづき・ともえ)(麻生久美子)の魂が、飛行機事故のショックで、さえない清掃員の田中マサオ(井浦新)に憑依してしまうという衝撃の入れ替わりラブコメディー「あのときキスしておけば」(毎週金夜11:15-0:15ほか、テレビ朝日系)。
本編とは別で、蟹釜ジョーが描いてきた漫画「SEIKAの空」(TELASAで配信中)の実写版スピンオフも制作され、 “あのキス”で「週刊少年マキシマム」編集部の木之崎を演じる藤枝喜輝が主人公のキャベ次郎を、マサオの息子・優太郎役の窪塚愛流がヒロインのリコピンを熱演。さらに松坂、井浦新、三浦翔平も全力コスプレで勇者を演じ、SF野菜スペクタクル冒険譚を繰り広げている。
芸能生活1周年を迎えたばかりのフレッシュな俳優ながら、スピンオフ「SEIKAの空」で主人公に抜擢された藤枝。本編“あのキス”とは違うコメディー作品「SEIKAの空」での難しさや、役者としての今後の目標を聞いた。
■とにかく真っ直ぐ一生懸命に
――「SEIKAの空」では主人公でしたが、プレッシャーは感じましたか?
キャベ次郎を演じることになるとは思っていなかったので驚きました。実写化すると聞いたときは誰がキャベ次郎なんだろう?と思っていたので、「僕ですか!?」と(笑)。
実写化の作品に出演することも初めてだったので、何を準備すればいいのかが分からなくて。皆さんは笑いを入れながら演じられていたんですけど、キャベ次郎は監督からも笑わせようとせずに真面目にやってほしいと言われていたので、とにかく真っ直ぐ一生懸命に演じようと思いました。
■かなり印象が違ったので不安になりました…
――松坂桃李さん、井浦新さん、三浦翔平たちを従えて、完全コスプレの「SEIKAの空」を撮影したわけですが、その現場はいかがでしたか?
「SEIKAの空」の現場は全員が揃うシーンが多かったので、プライベートの話からお芝居の話まで、皆さんといろいろお話しができてうれしかったです。例えば、最終話でキャベ次郎がモヤオに気持ちをぶつけるシーンに僕がすごく苦戦してしまって。それを井浦さんに相談したら、「自分が感じたままを素直に出せばいいんだよ」と言ってくださって。このシーンは最終話の大きな見どころにもなっていると思います。
――キャベ次郎は髪が緑ですが、その姿を自分で見たときの感想は?
すごく違和感がありました…(笑)。僕がイメージする勇者のキャベ次郎と、キャベ次郎に扮(ふん)した僕とはかなり印象が違ったので不安になりました。皆さんは「似合ってるよ」と言ってくださいましたが、個人的には…(笑)。
――似合っていたと思いますよ! リコピン役の窪塚愛流さんはかわいかったですね。
そうなんです! 見た瞬間、「リコピンだ!」って思いました(笑)。色白で背が高くてスラッとしていて、最初からリコピンに見えました。
■「SEIKAの空」ではたくさん笑わされました
――「SEIKAの空」はコメディー要素が強いですが、笑いを堪えるのが大変だったのでは?
はい。最初に勇者たちがモヤオの家に行ったときに、キャベ次郎がみんなの名前を端折るシーンがあるんですけど、そこでピーメン役の三浦さんが「おいおい! 端折るな! おいおいおいおい!」と、僕の目を見ながら真剣な表情でツッコミを入れてきて、堪えました。
ほかにもキャベ次郎が死んでしまうシーンで僕をツンツンしてきて。くすぐったくて動いてしまうので、「ツンツンしないでください」とお願いしたんですけど、それでもツンツンされました(笑)。「あのキス」本編では見られないような絡みもあって、「SEIKAの空」ではたくさん笑わされました。
――今回の取材の撮影でも、とても堂々とした印象を受けましたが、まだ事務所に所属して1年なんですよね?
そうなんです。堂々としてますか…?
僕、結構心配性で、実力でもまだまだ自信がないので、今できる最低限のことはしっかりしたいなと思っています。例えば、挨拶とか。でも、こうして話すことについてもちゃんとしゃべれているかな?と不安になります。
最近は「大人の語彙力」という本を買いました(笑)。例えば、「すみません」の同義語が書かれていて、それぞれの使い方などが記されているんです。言葉の引き出しを増やせたらいいなと思って、読んでいます。今は大きな目標よりも、初歩的なところを固めていきたいです。
――ちなみに大きな目標とは何ですか?
僕が言うのはまだ早いかもしれませんが…、最終的には「日本アカデミー賞」に選出されるような役者になることが目標です。まずは今できることを一つずつ、着実にやっていきたいです。
取材・文=及川静
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