―[貧困東大生・布施川天馬]―


 現役東大生の布施川天馬と申します。学生生活の傍ら、ライターとして受験に関する情報発信などをしています。

◆東大生が考える「成果につながる努力の方法」

 皆さんは何かを特別に頑張った経験があるでしょうか?

 僕は、もちろん東大受験に至るまでに勉強をしましたが、それよりも中高大と10年以上にわたって続けていた吹奏楽部での活動に力を入れていました。

 もちろん勉強や部活以外にもボランティアバイト、家業の手伝い、趣味などさまざまなことに興じた経験があるという人は少なくないかと思います。

 しかし、なかには頑張ったにもかかわらず、残念ながらあまりいい結果が出なかったという方もいるでしょう。

 努力をしなければ報われませんが、努力をしてもその分だけ100%成果が返ってくるというわけではないからです。成果を出すには、相応の努力の方法を考えなくてはいけません。

◆天才と凡人の違いはどこにあるのか?

 ですが、その一方で、インターハイで活躍したり、東大や京大に現役でスッと入ったりするような「すごい人」もいます。

 彼らは確かに天才なのかもしれませんが、「天才だから」という理由だけで片づけていては、一生そのような人たちに負け続ける人生になってしまいます。

 どんな天才であろうが、どんな秀才であろうが、彼らはみんな我々と同じ「人間」であるはずです。

「才能」の違いがあるとはいえ、人間の基本スペックからは大きく離れた場所にいるはずの天才たちと凡人たちとでは、いったいどこが違うのでしょうか?

◆「やらされている感」こそが凡人の証

 その答えは「楽しんでいるか否か」だと考えられます。

 少なくとも僕が聞いてきた限り、どんな天才たちも、自分の才能分野に対して「楽しい」という感情を抱いているのです。

 彼らはこの楽しみを知っていて、全幅の信頼を置いているからこそ、全力で苦しみ続けることができる。

◆「壁にぶち当たったあと」が実は重要

 もちろん、私たちも楽しみながら努力するシーンはあるでしょう。しかし、どんな競技や趣味であれ、絶対に壁にぶち当たる瞬間があるもの。

 誰でも練習の間に「これ以上、上達できるのだろうか」「これが自分の限界なのではないだろうか」と悩んだことがあるはずです。

 こうなってくると、練習に臨むのが大変辛くなります。意味のないことをやらされているように感じられるからでしょう。

 僕も高校のときにある程度、自分が上達したことを認識した途端、「これ以上、やる必要があるのだろうか」と感じて、急に楽器に対するモチベーションが下がってしまったことを覚えています。

◆「行けたら行くわ!」と言う人は絶対に来ない

 しかし、こんなモチベーションで努力しても、壁を乗り越えられるはずがありません。なぜなら「できればやってみたい」程度の意識になってしまっているからです。

「明日行けたら行くわ!」と言ってくる人の大多数が結局、来ないように、「できたらやってみたい」程度では壁を超えることはできません。

 そもそも現在の自分にできないことだから壁として立ちはだかっているのですから、「できないことを絶対にできるようになってやる!」という強い意志がなければ、突破口を開くことはできないのです。

 そうはいっても先の見えない努力をし続けるのは大変苦しいもの。これはスポーツだって、音楽だって、勉強だって、どんなことにも共通することでしょう。

◆「楽しい」こそがモチベーションの源泉

行けたら行くわ」程度の覚悟では、この努力を継続することができません。

 しかし、「天才」と呼ばれる人たちは、この努力の苦しみに耐えて、前人未到の領域へと踏み入っていきます。

 そのモチベーションこそが「楽しい」という感情なのです。

「もともと楽しかったことが、できるようになればもっと楽しくなる!」という思いがあるからこそ、進み続けることができます。

◆『ドラゴン桜』で描かれた「努力が報われる人の思考法」

 日曜劇場『ドラゴン桜』にも、そんな努力が報われる人と報われない人の違いが明確に描かれているシーンがありました。

 学校で一番勉強ができる小杉麻里さんという生徒は、東大の入学試験を模した模擬テスト「東大模試」の受験直後、「楽しかった」という感想を残していました。

 こんな感想、「勉強=苦しいもの」とインプットされている人なら間違いなく、「意味がわからない」と漏らすでしょう。

 そして、その後に「小杉さんは自分が勉強できるから楽しいんだよ」というはずです。

◆「楽しい」から自然と諦める選択肢がなくなる

 しかし、これは順番が逆で、彼女は楽しいからこそ勉強しています。

 勉強しているなかでいろいろな難問に突き当たっても、「問題が解けると楽しい」「難しい問題に立ち向かうことは面白い」ということを経験から知っているからこそ、諦めずにくらいついて考えるということができるようになるのです。

◆東大模試で「80点中3点」だった過去

 このような経験は僕にもあります。

 もともとまったく勉強をしていなかった僕は、初めて受験した東大模試数学の点数が80点中の3点しかありませんでした。

 それまで自分の学力にはそこそこの自信があったので、大変ショックな出来事でした。

 しかし、僕はここで「逆にいえば77点分のポテンシャルが自分にはあるということだ」と視点を変えることにしました。

◆「77点分の楽しみ」と考え方を改める

 もともとが「普通の人」でしかない僕がメンタルでさえも負けてしまったら、天才たちがひしめくであろう東大入試では絶対に勝てないと思ったからです。

 自分の周りにいた「僕よりもできる人たち」が、口を揃えて「勉強は楽しい」といっていたことを思い出したので、僕も「これは楽しみが増えたのだ」と思うようにしたのでした。

 こうして僕は「3点しか取れなかった悲しみ」を「77点分の楽しみ」としてモチベーションに変えることに成功したのです。

 このモチベーションを原動力にして猛勉強をした結果、東大入試数学の本番では「49点」と、50点近く得点することができました。

◆意識して楽しい部分を探すと、本当に楽しくなる

 勉強嫌いだった僕がここまで成長することができたのは、周囲の「勉強は楽しい」「模試は楽しい」という言葉のおかげだったわけです。

 もちろん最初から好きになることができたわけではありませんでした。

 しかし、意識して楽しい部分を探してみたり、あえてオーバーにリアクションをとってみたりしていると、段々本当に楽しくなってきたのです。

 もしもこれから何かに本腰を入れて取り組まねばならないことがある方は、まずそれについて好きになってみる努力をするのはいかがでしょうか。

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』が発売中(Twitterアカウント:@Temma_Fusegawa

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