多くのメディアでその名が挙がり、いまや大勢の人に認知されているネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」。近年、その2ちゃんねるの中でも話題のニュースや時事ネタをテーマにしたスレッドから、いくつかのレスを抽出してまとめ上げ、自身のブログで公開している「2ちゃんまとめサイト(以下『まとめサイト』)」が乱立しています。そのあまりの多さに現在は「まとめサイトまとめサイト」も複数あるぐらいです。

ではなぜ、まとめサイトがこれほどまでに乱立しているのでしょうか。ひょっとして結構儲かるのでは......? そこで、実際にまとめサイトを運営しているOさんにお話を伺い「まとめサイトって儲かるの?」「そもそもどういう仕組みで収入になるの?」という疑問をぶつけてきました!

「まず、まとめサイトで収入を得る仕組みですが、『アフィリエイト(成功報酬型広告)』を使います。自分が運営するまとめサイト内に、ネット通販サイトの商品リンクを貼って、そこをクリックした人がリンク先で実際に商品を購入すると、コチラに成功報酬が入ってくるという仕組みです。成功報酬の設定額は通販サイトによっても違いますが、基本的には『商品の値段の数パーセント』という形式が多いですね」

なるほど! まとめサイトを見てると、たしかに商品広告が沢山ちりばめてありますが、あそこをクリックして商品を買うと、サイトの運営者にもマージンが入ってくるってことですね。では、それで儲けるにはどうすればよいのでしょうか? 簡単に儲けられるんですかね!?


「簡単には儲かりませんよ(笑)。私も今でこそ月に数万円の利益になってますが、最初の数ヶ月は収入ゼロでした。多くの収入を得るためには大切なポイントは2つあるのですが、とにかく『サイトの閲覧者数を増やすこと』と『多くの人に広告をクリックしてもらうこと』です。この2つ目が意外と難しいんですよ」

たしかに、私もまとめサイトはよく閲覧していますが、広告をクリックしたことはほとんどないです。ましてやあの広告から商品を購入したことなんてあるかどうか......。

「そうなんです。多くの人は『記事を見るだけ』なので、実際に商品広告をクリックする人は閲覧者のごく一部、しかも商品を購入する人となると、ほんのわずかしかいません」

ではサイトの閲覧者数と、商品広告をクリックしてもらうにはどうすればよいのでしょうか。何かコツみたいなものはありますか?

「人によってやり方は色々あると思いますが、私の場合ですと『面白い時事ネタを取り上げること』と『記事にキャッチーなタイトルをつけること』ですかね。記事の閲覧者数が増えれば、広告をクリックしてくれる人の割合も相対的に増えますからね。そして、サイトを閲覧するのは比較的若い人が多いので、そういった層に人気のアニメや漫画などの話題を取り上げ、商品広告もそれに関連したものを配置するなどの工夫もしています。さらにこれはウラ技的な手法ですが、まず初めに、通販サイトの売り上げランキング上位の商品に目をつけ、その商品に関連した記事を作るんです。すると、元々が売れている商品なので人目をひきやすく、クリックされて購入に繋がるチャンスも増えるんですよ」

うへーーー! お話を伺っただけでもかなり大変そうですねぇ! 記事をまとめる作業だけでも結構な時間がかかりそうな印象ですが、実際どうなんですか?

「大変ですよ(笑)。でも、肝心なことは『分析』と『工夫』です。それが得意で、効率よく実践できる人であれば、向いてるかもしれないですね。そして作業時間ですが、私の場合はまとめツール(勢いのあるスレッドの一覧表示、レスの大きさ&色変換、スレにアップされている画像の取得やブログへのアップなどの、まとめサイトに必要な処理を手軽に実行してくれる便利なツール。通称「2ちゃんまとめツール」といい、有料のものから無料のものまで多数あるそうです)を使って1日分の更新は2時間ぐらいで済ませてます。それでも、どうすれば多くの閲覧者数を稼げるかについては、いまだに試行錯誤の毎日ですよ(笑)。まとめサイトの運営で収入に繋がる人は半分もいないでしょうし、それだけで生活できる人なんてほんの一握りじゃないんですかね」

そういえば2012年に複数の大手まとめサイトが、2ちゃんねるからのレスや画像の転載を全面禁止されるという一件がありましたが、それについてはどう思いました? Oさんもなにか対応みたいなことはされました?

「私はまとめサイトを始めて5年目ぐらいになりますが、あの件は結構衝撃的でしたねぇ。まぁ、大体のまとめサイト2ちゃんねるからの無断転載なので、派手になってくると『あいつは荒稼ぎしてる』と目をつけられ、規制されてしまうのは仕方のないことだと思います。ただ、あのときは1日に数十万から数百万以上の閲覧者がいるような、超大手まとめサイトだけが規制対象になったので、そこそこのサイトをやってる身としては、正直そこまでの危機感は抱かなかったですね。それに『閲覧者を増やす努力をする一方、あまり目立ちすぎないようにする』なんて、対策の立てようがありませんし(笑)。規制を受けた大手サイトは、一つのテーマに自分の感想をひたすら書き連ねたり、自サイトのコメント欄からレスを抽出して『2ちゃんまとめ風』にしたりと、四苦八苦してるようですけどね」

閲覧者が増えて、目立ちすぎてもいけないってのはある意味ジレンマですね。ちなみに、最近まとめサイトが乱立していますが、昔と比べてなにか変化などはありました?

「最近はまとめサイトの数も増えましたけど、以前からやってる身としてはそこまで大きな変化は感じませんね。急激に閲覧数が減ったりするようなこともなかったです。閲覧する方のサイト巡回ルートにいったん入ってしまえば、その方たちが満足できる記事のクオリティを維持し続ければ、突然ブックマークを外されることも、そうそうないのだと思います。しかし今、新しくゼロからまとめサイトを立ち上げる場合だと、まとめサイト同士のリンクも一から作っていかないといけませんし、利益を上げるようになるのは結構大変かもしれませんね」

当初は「ラクして儲けられるかも!?」なんて、スケベ心を抱いてた自分が恥ずかしいです。ともあれ、創意工夫しだいでビジネスチャンスに繋がるかもしれませんし、興味のある方は一度チャレンジしてみるのもイイかも!?

文●西山大樹(清談社)


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