パトカーjoel-t/iStock/Thinkstock/画像はイメージです)

アメリカ・アーカンソー州で、パトカーが速度違反の車に後方から意図的に衝突。これにより車は横転事故を起こした。車には妊娠中の女性が乗っており、大変危険で横暴な行為だったとして、このたびパトカーの隊員および警察を提訴したという。

NBC News』『Complex』など海外メディアが伝えている。


■ハザードランプ点滅で減速

事故は昨年6月、アーカンソー州ジャクソンビル付近の高速道路で起きた。赤いSUVを運転していて、パトカーに斜め後ろから意図的に追突され、横転事故を起こしたのはニコール・ハーパーさんという女性だ。

速度違反を犯していた彼女はある地点でパトカーに呼び止められ、ハザードランプを点滅させ、安全に止まれるのは次の出口かと考えながら、速度を徐々に落としていった。「教習所ではそう教わった」と主張している。


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■運転手は妊娠していた

だがパトカーはしびれを切らし、左斜め後方からハーパーさんの車に接近し、右方向にはじくよう衝突。これにより彼女の車はコントロールを失い、車線を横切った末に横転した。

当時、ハーパーさんは妊娠中だった。「私もお腹の赤ちゃんも、あわや死ぬところだった」と激怒し、このたびパトカーを運転していたロドニー・ダン隊員とアーカンソー州警察に対し、訴訟を起こした。

■「逃げるのかと思った」

裁判を前に、事故を起こさせて車を停止させるという発想自体が恐ろしい、あまりにも横暴なやり方だと訴えているハーパーさん。妊娠している女性、ショックに弱い高齢者、さらに赤ちゃんが同乗している車もあるというのに、パトカーはその確認すらしていなかった。

一方、パトカーを運転していたロドニー・ダン隊員は、「早く止まれと命じているのに、停止しないまま2分間も走り続けるほうが悪い。逃がしたら危険だと思った」と主張しているという。


■逃走車を捕獲するPIT作戦

カーチェイスも多いアメリカでは、逃走する車の斜め後ろにパトカーが近づき、外向きにはじくように車を衝突させることがある。スピンが起きることで車を強制的に停止させるその手法は、「PIT(Precision Immobilization Technique)」とも呼ばれ、周囲の安全確保を条件に実践される。

だがスピンに留まらず、高速道路の中央分離帯や壁に激突して大破する車は多く、ハーパーさんのように横転する車があってもおかしくないという。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

パトカーの意図的な衝突で車が横転 妊娠中だった女性が隊員と警察を提訴