政府は2021年6月9日、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」の原案を公表しました。財政健全化に向けて2025年度に国・地方の基礎的財政収支を黒字化するという従来の目標を堅持することが明記されました。 

また、最低賃金については、全国平均1000円にすることを目指します 。そこで今回は最低賃金をめぐる状況を解説していきます。

最低賃金「平均1000円」を目指す

骨太の方針によると、コロナ禍の影響で賃金格差が広がる中で、格差是正には最低賃金の引き上げが不可欠です。

また、雇用維持との両立を図りながら賃上げしやすい環境を整備するため、生産性向上等に取り組む中小企業への支援強化、下請取引の適正化、金融支援等に一層取り組むと明記しました。

そのうえで、最低賃金については、「地域間格差にも配慮しながら、より早期に全国加重平均1000円とすることを目指し、本年の引上げに取り組む」と早期に取り組む姿勢を見せています。

このほか2021年4月に中小企業へ適用が拡大した「同一労働同一賃金」に基づいて、非正規雇用の処遇改善を推進するとともに、非正規雇用の正規化を支援するとしています。

最低賃金をめぐっては、全国労働組合総連合(全労連)が2021年5月31日 、最低賃金を1500円に引き上げ、全国一律の最低賃金制度の実現を政府に求めています。

では、1500円という金額の根拠はなんでしょうか。

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毎月23万円程度が必要との試算

全労連の調査によると、25歳の単身者が生活するには、毎月23万円(時給1500円)程度の収入が必要というデータが出ています。  

また、コロナ禍は日本だけでなく世界中の経済に影響を与えていますが、海外事例もみていきましょう。

たとえば米国では、バイデン大統領が連邦政府と契約する企業の最低賃金を時給10.95ドル(約1194円)から15ドル(約1635円)に引き上げる大統領令に署名しています。

ドイツでは、2021年1月に9.5ユーロ(約1254円)へ引き上げられ、さらに同年7月に10.45ユーロ(約1379円)へ引き上げられるといいます。

全労連は、「最低賃金の据え置きによる賃金抑制が『経済復興』の足かせとなっている。経済危機を乗り切るために、賃金を抑制する『誤り』を繰り返してはならない。」と訴えています。

2020年度の最低賃金は902円

厚生労働省の「令和2年度地域別最低賃金改定状況」によると、最低賃金は全国平均で902円です。

最も高いのは東京都1013円ですが、最低は792円(秋田、鳥取、島根、高知、佐賀、大分、沖縄の7県)は792円と開きがあります。 

骨太の方針では最低賃金について「より早期に」引き上げると明記しています。今後の動向をチェックしていきましょう。

参考資料