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 14世紀後半、メキシコ高原に文明を形成したアステカ族。彼らは複雑な神話体系と多彩な農耕儀礼を生みだしたことで知られている。そんなアステカ族に古くから伝わるものの一つに「死のホイッスル」がある。

 このホイッスルが奏でる音はそれはそれは恐ろしい。心底ぞっとするような音なのだ。おびただしい死体がしぼり出す金切り声、あるいは生きながら焼かれる人間の断末魔の叫びに似た、とてつもない恐怖を呼び起こす響きなのだ。

【生贄を捧げる前、敵の戦意を消失させるために奏でた死のホイッスル】



DEATH WHISTLE

 考古学者によって頭蓋骨の形をしたこのホイッスルが発見されたのは20年前。だが、そのときは単なる玩具として捨て置かれてしまった。

 その形状ばかりが研究され、まさか吹いて音を出すものだとは誰も考えなかった。身の毛もよだつような音色が出ることがわかって以来、科学者やミュージシャン、歴史家などの関心を集めている。

 祖先であるアメリカ先住民の音楽を再現している、機械工学の専門家ロバート・ベラスケス(66)によると、アステカ族は神に生贄を捧げる前に悲しみに沈んだこの死のホイッスルを奏でたという。

 この死のホイッスルの音色で死者が黄泉の国へ旅するのをいざなったと信じる歴史家もいる。各部族が敵の戦意をくじくための戦闘前の心理作戦として、身も凍るようなこうした音を使うとも言われている。

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photo by iStock

死のホイッスルの音は人間の精神に強い影響を与える

 考古学者たちは、アステカ族が使ったさまざまなタイプの楽器が存在していたことを確認している。

 粘土、七面鳥の羽根、サトウキビカエルの皮など、自然の素材から作られたもので、それぞれ特定の目的別に使われていたという。例えば、法螺貝は儀式の始まりに使われ、狩りをする者は動物の形をしたオカリナで低くうなるような音を出してシカをおびき寄せたという。

 音を使って病気を治したと信じている医師もいるが、死のホイッスルが発するぞっとするような音は、人の精神に強い影響を与える。

 本物の死のホイッスルの音を耳にするチャンスはそれほどないが、このYouTubeの動画で悲鳴のようなその独特な音を聴くことができる。

 演奏の前にミュージシャンのXavier Quijas Yxayotlは、この死のホイッスルは、アステカ族が死者を祝う特別な儀式や、ほかの部族との闘いのときに使ったと語る。

 彼らは多数の楽器を奏でることができ、敵に大きな心理的影響を与えたという。そしておもむろにホイッスルを吹き始めた。

The Death Whistle made from jade Stone

 やはり、気弱な人にはお勧めできない。誰かに心臓発作を起こさせたくなかったら、携帯の着信音などにしないほうがいいだろう。

via:odditycentral・原文翻訳:konohazuku

 
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断末魔の叫び声が聞こえる。アステカ族の死のホイッスル(音声注意)